2024年10月6日
労務・人事ニュース
令和5年の地球温暖化影響レポート公表!全国で農業に大きな影響
「令和5年地球温暖化影響調査レポート」の公表について(農水省)
農林水産省は、令和5年に実施された地球温暖化の影響調査の結果を「令和5年地球温暖化影響調査レポート」として公表しました。このレポートは、都道府県の協力を得て、主に農業生産現場における高温障害などの影響を取りまとめたものです。レポートは、地球温暖化が引き起こす具体的な農業への影響と、その対策について詳細に報告しています。
まず、水稲においては、出穂期以降の高温が原因で白未熟粒の発生が確認され、特に全国の約5割でこの影響が見られました。地域別では、北日本や東日本で約5割、西日本で約4割に上るとされています。この問題に対しては、水管理の強化や適期移植・収穫の実施、高温耐性品種の導入が行われており、現在、約18万ヘクタールの作付面積で高温耐性品種が使用されています。
また、果物への影響も報告されており、りんごでは高温による「着色不良・着色遅延」が全国の3割で確認されました。ぶどうにおいても同様の現象が全国の2割で見られ、うんしゅうみかんでは高温により日焼け果の発生が全国の3割で確認されています。これらの対策として、着色優良品種の導入や、日焼け果を防ぐための遮光資材の利用などが進められています。
トマトやいちごといった野菜も高温の影響を受けています。トマトでは着花・着果不良が全国の4割で発生しており、いちごでは花芽分化の遅れが同様の割合で報告されています。これらの対策には、遮光資材の使用や冷房システムの導入が行われています。
乳用牛についても、高温が乳量や乳成分の低下を引き起こしており、全国の1割でその影響が確認されました。対策としては、牛舎内の換気や冷房設備の導入が推奨されています。
さらに、温暖化による新たな作物の取り組みとして、さつまいもが北海道や秋田県で栽培されています。これにより、地域ごとの気候変動への適応力を高めるための試みが進行中です。
このレポートは、各都道府県が地球温暖化の影響を受ける農業生産現場で行っている適応策の取組状況をまとめたものであり、普及指導員や行政関係者にとって重要な参考資料となっています。農林水産省は今後もこのレポートを基に、地球温暖化対策を各地で推進していくことを期待しています。
令和5年地球温暖化影響調査レポートは農林水産省の公式ウェブサイトで閲覧可能です。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ