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2024年8月9日

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令和5年度雇用均等基本調査結果発表!女性管理職割合12.1%、育児休業取得率は男性30.1%に上昇

令和5年度雇用均等基本調査(厚労省)

令和5年度に行われた雇用均等基本調査の結果は、雇用の均等性と仕事と家庭の両立に関する現状を詳しく示しています。この調査は、厚生労働省が全国の企業と事業所を対象に実施し、男女間の雇用の不均衡を解消するための施策の効果や今後の課題を浮き彫りにしました。

まず、女性の管理職割合について見ていきます。部長相当職に女性がいる企業は全体の12.1%にとどまり、課長相当職は21.5%、係長相当職は23.9%でした。このデータからも分かるように、女性が管理職に就く割合は依然として低く、特に部長クラスではその差が顕著です。しかし、前年度と比較すると若干の改善が見られ、女性の進出が徐々に進んでいることも示唆されています。

次に、育児休業の取得状況についてですが、女性の育児休業取得率は84.1%と、前年度の80.2%から4ポイント近く上昇しました。一方で、男性の育児休業取得率も大幅に上昇し、30.1%に達しています。これは、育児に関する男性の関与が増えていることを示しており、仕事と家庭のバランスを取るための制度がより広く利用されるようになっていることが分かります。

さらに、企業規模別に見ると、大規模な企業ほど女性管理職の割合が高い傾向があり、特に5000人以上の規模の企業では、部長相当職の女性管理職割合が80.8%に達しています。これは、大企業がダイバーシティに対する取り組みを強化していることの表れと言えるでしょう。また、業種別に見ると、医療・福祉業界では女性の課長相当職以上の管理職が52.7%と突出して高く、次いで教育、学習支援業、生活関連サービス業、娯楽業、宿泊業、飲食サービス業が続いています。これらの業界は、女性が活躍しやすい環境が整っていることがうかがえます。

また、昇進に関するデータも注目すべき点です。令和4年から令和5年にかけて、課長相当職以上に昇進した女性がいる企業の割合は8.6%であり、前年度からわずかに上昇しました。これは、女性のキャリアアップを支援する企業が増えていることを示していますが、依然として多くの企業で女性の昇進が難しい現状が続いています。

ハラスメントに対する企業の取り組みについても触れておくべきです。セクシュアルハラスメントを防止するための対策を講じている企業は86.0%、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについての対策を講じている企業は82.7%と、多くの企業がハラスメント防止に向けた取り組みを行っています。これにより、働きやすい環境を整える動きが広がっていることが分かります。しかし、規模の小さい企業ではこれらの取り組みが十分に進んでいない現状も浮かび上がっています。

以上の結果から、雇用の均等化と仕事と家庭の両立に向けた取り組みは、徐々に進展しているものの、特に女性のキャリア形成や育児休業の利用促進といった面では、まだまだ改善の余地があることが分かります。今後も、企業の規模や業種にかかわらず、平等な職場環境を提供するための取り組みが求められます。

企業が取り組むべき育児と仕事の両立支援策の強化ポイント

令和5年度の雇用均等基本調査の結果から、企業が取り組むべき具体的な課題や施策が浮き彫りになっています。以下に、企業に求められる取り組みをいくつか挙げます。

女性の管理職登用の推進
調査では、女性の管理職割合が依然として低いことが明らかになりました。企業は、女性のキャリアパスを明確にし、管理職への登用を促進するための制度設計やトレーニングプログラムの導入が求められます。また、女性が管理職に就きやすい環境を整えるための柔軟な勤務体制や支援策も重要です。

男性の育児休業取得促進
育児休業の取得率は男性でも30.1%に上昇しましたが、依然として低い水準にとどまっています。企業は、男性社員が育児休業を取得しやすい文化を醸成するための取り組みが必要です。具体的には、育児休業取得を推奨するキャンペーンや、取得を支援するためのガイドラインの整備、また取得者に対する支援制度の充実が求められます。

ハラスメント防止対策の徹底
調査結果によると、多くの企業がセクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策に取り組んでいますが、まだ一部の企業では取り組みが不十分です。企業は、全従業員に対してハラスメント防止に関する研修を実施し、明確なポリシーを制定することが重要です。また、ハラスメントに関する相談窓口を設置し、被害者を支援する体制を整えることも必要です。

ダイバーシティとインクルージョンの推進
企業規模が大きいほど、女性管理職の割合が高い傾向がありますが、中小企業でもダイバーシティとインクルージョンを推進することが求められます。これには、多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、性別に関わらず公平な評価制度の導入が含まれます。

育児と仕事の両立支援策の強化
育児休業取得後の復職支援や、育児中の社員に対する柔軟な勤務体制の提供も重要です。企業は、育児休業後のスムーズな復職をサポートするためのカウンセリングや、時短勤務制度、リモートワークの選択肢を増やすことが求められます。また、育児中の社員がキャリアを継続しやすい環境を整備することが必要です。

これらの取り組みを通じて、企業は雇用の均等化と仕事と家庭の両立を支援し、全ての従業員が働きやすい職場環境を作り出すことが期待されています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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