2024年6月22日
労務・人事ニュース
訪問系事業所向けBCP訓練の重要性と具体的内容を解説
7.机上訓練(訪問系)(厚労省)
訪問系事業所のBCP(事業継続計画)を効果的に活用するための訓練方法について解説します。この訓練は、介護報酬改定に伴いBCP作成が義務化されたことを受けて実施されます。具体的には、令和6年3月までの経過措置期間終了後、BCPを策定していない事業者には報酬の減額が行われることが決まっています。
BCP作成の義務化により、事業所は感染症と自然災害の両方に対応する計画を作成し、定期的に研修訓練を実施する必要があります。訪問系サービスでは年間1回以上の研修と訓練が必要です。この動画では、訓練の重要性を考え、具体的な研修訓練の内容について説明します。
まず、訓練が義務化された理由について考えます。多くの人がショッピングモールなどで非常ベルが鳴っても「点検だろう」「避難しなくても大丈夫」と正常性バイアスによりリスクを過小評価しがちです。このような心理に打ち勝ち、災害を正しく認識するためには訓練が重要です。訓練を通じて災害時の状況を擬似体験し、BCPの有効性を高めることが求められます。
次に、研修や訓練の具体的な内容について説明します。BCPの研修では、防災意識の啓発、自宅の防災、ルールの徹底、安否確認の重要性などが取り上げられます。特に、防災意識の啓発では地域に想定される災害について学ぶこと、自宅の防災では家具の固定や備蓄品の準備が重要です。また、ルールの徹底では、災害時の行動基準や安否確認の方法を職員に周知することが求められます。
BCPの訓練には、以下の6種類があります。対策本部メンバーが中心に実施する三週訓練、対策本部設置訓練、機上訓練、安否確認訓練、実動訓練、総合訓練です。三週訓練では、夜間や休日に対策本部メンバーがどれくらいの時間で集まれるかを確認します。対策本部設置訓練では、避難先や普段使わない場所に対策本部を設置する方法を確認します。機上訓練では、災害発生から復旧までの流れをシミュレーションします。
訪問系事業所の場合、地震発生直後の初動対応の訓練が重要です。まず、緊急地震速報を知り、身の安全を確保します。その後、利用者の安否確認や負傷者への対応、利用者宅の被災状況の確認、災害状況の確認を行います。BCPを発動する際には、職員の安否確認を迅速に行い、情報を収集し対策を講じます。
業務継続のための訓練では、人員や物資の確保、利用者の安否確認、業務継続や休業再開の手順などを確認します。特に、訪問系サービスの場合、災害時には利用者の避難所情報を把握し、地域全体での対応を考慮することが重要です。また、長期化する場合には、ガソリンの入手や帰宅困難者への対応も検討が必要です。
最後に、訓練後には反省会を開き、訓練の評価とBCPの改善点を洗い出すことが重要です。これにより、BCPがより実際に役立つものとなり、災害時の対応がスムーズに行えるようになります。
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