2025年4月3日
労務・人事ニュース
農業景況が5年ぶりにプラス転換!景況DIが37.4ポイント上昇
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
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米をはじめとした農産物価格の上昇等を背景に、農業景況DIが大幅に上昇 ~生産コスト高は継続、畜産を中心に引き続き景況が厳しい業種も~ <農業景況調査(令和7年1月調査)>(日本公庫)
日本政策金融公庫は、令和7年1月に実施した「農業景況調査」の結果を発表し、農業全体の景況DIが5年ぶりにプラスに転じたことを明らかにした。この調査は、全国の農業者を対象に行われ、景況感や生産コスト、販売単価、設備投資の動向などを詳しく分析することで、日本の農業の現状と今後の展望を示す重要な指標となっている。
今回の調査結果では、令和6年の農業景況DI(動向指数)は10.5となり、前年の▲26.9から37.4ポイントの大幅な上昇を記録した。特に稲作においては、北海道の景況DIが64.8、都府県では50.8と、いずれも大幅なプラス値を示しており、米価格の上昇が生産者にとって好影響を与えていることが分かる。一方、酪農や肉用牛などの畜産分野では依然として厳しい状況が続いており、北海道の酪農景況DIは▲28.2、都府県の酪農は▲29.7、肉用牛は▲37.7と、依然としてマイナス圏にとどまっている。
令和7年の見通しについては、景況DIは7.6と予測されており、前年から2.9ポイント低下するものの、プラス値は維持される見込みだ。これは、農業全体の景況感が回復傾向にあるものの、依然としてコスト上昇や市場変動の影響を受ける業種が存在することを示している。
また、販売単価DIも令和6年に大きく上昇し、47.2となった。前年の10.6から36.6ポイントの上昇を記録しており、特に稲作では北海道が85.9、都府県が89.1と非常に高い水準を示した。この背景には、米の需給バランスが改善し、価格が安定的に推移していることがある。また、養豚の販売単価DIも62.7と上昇しており、需要の増加が単価の押し上げ要因となっている。
一方で、生産コストDIは▲79.4となり、前年の▲84.6からわずかに改善したものの、依然として大幅なマイナス値が続いている。これは、農業資材価格の高止まりや燃料費の上昇などが影響していると考えられる。全業種で生産コストDIはマイナス圏にあり、特に畜産業では飼料価格の高騰が引き続き経営を圧迫している。
設備投資については、令和7年に「設備投資予定あり」と回答した農業者の割合が52.0%となり、前年の48.9%から3.1ポイント上昇した。特に稲作では、都府県における設備投資予定率が64.6%と高く、新たな機械導入や施設整備が進む見通しである。一方で、酪農や肉用牛の分野では、設備投資予定率が4割を下回っており、資金調達の難しさや先行き不透明感が影響していると考えられる。
資金繰りに関しても改善傾向が見られ、資金繰りDIは▲0.7となり、前年の▲26.4から25.7ポイント上昇した。特に稲作においては、北海道で41.5、都府県で34.9と大幅にプラスに転じており、米価の上昇が農家の資金繰りを改善させる要因となっている。しかし、酪農や肉用牛においては依然としてマイナス圏が続いており、安定的な収益確保が課題となっている。
また、令和6年に実施された設備投資の状況を見ると、農業全体では76.4%が何らかの設備投資を行ったと回答している。特に稲作(北海道80.8%、都府県83.2%)、露地野菜(81.3%)では8割以上が設備投資を実施しており、収益性向上や生産効率の向上を目的とした投資が活発に行われている。一方で、肉用牛(38.1%)、ブロイラー(38.9%)、茶(38.0%)では投資実施率が低く、業種による差が見られた。
令和7年に予定されている設備投資の種類については、「効率化投資」が55.1%と最も多く、次いで「更新投資」が44.2%、「拡大投資」が29.5%となっている。特に、酪農(北海道51.4%)、養豚(54.7%)では、設備の更新が課題となっており、資金支援や補助制度の活用が重要になると考えられる。また、果樹や肉用牛においては、新たな事業拡大を見据えた投資が計画されており、成長分野としての期待が高まっている。
今回の農業景況調査の結果は、日本の農業が回復基調にある一方で、業種間での格差が依然として存在することを示している。特に、稲作や一部の畑作では価格の回復により経営が改善しているが、酪農や肉用牛などの畜産業は依然として厳しい状況が続いている。また、生産コストの高止まりが全業種において課題となっており、持続可能な農業経営の実現に向けた取り組みが求められている。
今後の農業政策においては、資金支援や補助制度の活用に加え、スマート農業技術の導入や環境負荷の低減といった持続可能な農業への転換が重要となる。特に、コスト削減や収益向上につながる設備投資を促進するための支援策が求められるだろう。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ