2025年6月26日
労務・人事ニュース
都心百貨店は来客数が前年比超え!消費回復で求められる接客人材の再配置戦略(令和7年5月)
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看護師/他/糟屋郡宇美町/福岡県
最終更新: 2025年6月25日 14:03
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看護師/福岡県/福岡市南区
最終更新: 2025年6月25日 14:03
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ネイリスト/西鉄福岡 駅/社員募集/6月26日更新
最終更新: 2025年6月26日 01:05
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アイリスト/西鉄福岡 駅/社員募集/6月26日更新
最終更新: 2025年6月26日 01:05
景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 南関東(現状)―(内閣府)
令和7年5月に公表された南関東地域の景気ウォッチャー調査では、家計消費の回復と物価高の影響、業種別の業績格差、そして雇用市場の不均衡が複雑に交差する現状が浮き彫りになりました。この調査は、首都圏経済の動向を現場レベルで把握するうえで貴重な情報を提供しており、企業の採用担当者にとっては人材確保や雇用戦略を見直すうえでの重要な判断材料となります。
まず家計動向について、都心部の百貨店では来客数が前年を上回る勢いで推移しており、特にインバウンド需要の回復が売上増に寄与している様子がうかがえます。高級ブランドや旅行関連商品、催事などへの関心が高まり、消費マインドの回復傾向が見られました。一方で、郊外の量販店や中小規模店舗では、価格に敏感な消費者による買い控えが続いており、同じ地域内でも消費の二極化が進行している現状が確認されました。ある量販店では、食品の販売数量が減少し、米やパンといった基礎食品でさえ売上が前年比を下回っているとの報告がありました。ガソリン代や電気料金の高騰が可処分所得を圧迫し、生活必需品でさえ購入を躊躇する消費者が増加していることが背景にあります。
家電業界では、エアコンや冷蔵庫、洗濯機といった季節家電の売れ行きが回復基調にある一方、デジタル関連製品の動きは鈍く、家庭内の消費傾向が「必要最低限」にシフトしていることがうかがえます。また、衣料品業界では夏物の販売に天候が大きく影響しており、5月に入っても気温が安定せず、春物在庫が残る店舗も少なくありません。来店者の中にはウィンドウショッピングが目的の人も多く、購買につながらないケースが目立ちました。
飲食業においては、回復と停滞が混在する結果となりました。特に都心部の高価格帯飲食店では、ビジネス需要やインバウンド観光客による利用が戻りつつあり、売上が前年を上回る店舗も増えています。一方、郊外型のファミリーレストランや個人経営の飲食店では、来店頻度の低下と客単価の伸び悩みが続いており、食材費や光熱費の高騰によって経営圧迫が深刻化しています。また、アルコール類の提供が主な収益源である居酒屋業態では、平日の来店数がコロナ禍前に戻らず、宴会需要の本格回復には時間がかかる見通しです。
企業活動の側面では、業種ごとに明暗が分かれる結果が得られました。製造業では、半導体関連や精密機器分野で受注が堅調に推移している一方、自動車部品や一般機械では注文の停滞が見られ、輸出に依存する業種ほど為替変動の影響を強く受けています。特に米国の金利政策や通商政策への懸念が根強く、今後の見通しには不確実性が伴っています。小売業界では、EC化がさらに進行しており、実店舗の営業戦略や人材配置に影響を与えています。一部のチェーンでは、営業時間の短縮やレイアウト変更によって経費削減を図る動きが見られました。
広告や出版などの情報関連業界では、インフレによる広告費の抑制が続いており、イベントの延期や縮小によって関連業務が停滞しているとの報告が複数寄せられました。特に中小の制作会社では、取引先の業績悪化に伴い案件がキャンセルされる事例もあり、フリーランス人材の稼働率にも影響が出ています。建設業に関しては、資材価格の高騰が依然として計画に影響を与えており、住宅関連では新築よりもリフォーム需要が目立ちつつあるという新しい傾向も確認されました。
雇用動向については、地域や業種によって需給の差が大きく、慢性的な人手不足と求職者側の慎重な動きが共存している状況が明らかになっています。特に接客業や医療・介護分野では、採用活動が困難を極めており、長期化する求人が増加しています。一部では、時給を引き上げたり福利厚生を強化したりすることで人材確保を図る企業も出てきている一方、予算的な制約から採用自体を見送る動きも報告されています。また、学生の新卒採用活動においても、企業側が優秀な人材を早期に囲い込む傾向が強まっており、インターンシップ制度の活用や動画説明会といった非接触型の採用手法の導入が広がっています。
さらに、派遣市場でも状況が変化しています。短期派遣の案件が減少する中で、長期就業を希望する派遣スタッフが増加しており、安定した収入と労働条件を求める声が強まっています。これに応じる形で、派遣先企業が正社員登用前提の求人を出す動きが見られ、雇用の安定性を重視する社会的傾向が顕著になってきました。
このように、南関東地域の経済は、都市部の消費回復と地方や郊外における生活コスト上昇の影響が同時進行しており、雇用環境も業種や地域によってばらつきがある複雑な局面にあります。企業の採用担当者にとっては、こうした多様な要因を踏まえたうえで、自社の雇用戦略を再構築することが求められます。特に、待遇の見直しや就業環境の改善、柔軟な雇用形態の導入といった取り組みが、今後の人材確保において重要な役割を果たすことになるでしょう。
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