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2025年6月15日

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食料白書に見る農業の未来図、国内農地412万haと担い手4.8万人を維持へ

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令和6年度食料・農業・農村白書を本日公表(農水省)

令和7年5月30日、農林水産省は「令和6年度 食料・農業・農村白書」を公表しました。今年度の白書では、2024年に改正された食料・農業・農村基本法に基づき、新たな基本計画の策定とその初動5年間における構造改革の方向性が明確に示されています。特に、国内の食料供給体制を強化するための農業構造転換、価格の透明性と合理性の確保、そして最先端技術によるスマート農業の推進が柱とされています。

新たな基本計画の最大の特徴は、「国民一人ひとりの食料安全保障」を確立するために、農地、農業者、技術、資材といった資源の持続的活用と組み合わせた農業体制への移行です。例えば、農地面積は412万ヘクタールを維持しつつ、49歳以下の担い手農業者数を2023年水準の4.8万人から下回らないよう維持することが掲げられています。さらに、農業者の収益性向上を目指して、水田政策の見直しやコメ輸出用の低コスト生産体制の整備も進められます。

また、合理的な価格形成の取り組みでは、「フェアプライスプロジェクト」などを通じて生産コストの明確化や適正な価格転嫁の促進が図られています。これにより、2024年以降の農産物価格指数の上昇にもかかわらず、農業生産資材価格とのバランスを保つための政策が本格化。農業交易条件指数も改善傾向にあります。農業生産資材価格が高止まりする中、農林水産省は2023年に「適正な価格形成に関する協議会」を設置し、関係者間の建設的な対話を促進しています。

一方、スマート農業の分野では、2024年10月に施行された「スマート農業技術活用促進法」に基づき、農業者や事業者による「生産方式革新実施計画」および「開発供給実施計画」の認定制度がスタートしました。この制度では、精密出荷予測やドローンによる防除作業など、デジタル技術を活用した先進的な事例が続々と現場で実践されています。たとえば、株式会社NTT e-Drone Technologyが供給する国産大型ドローンは、傾斜地での作業効率化と環境負荷の低減に貢献しています。

そのほかにも、2024年の農林水産物・食品の輸出額は過去最高の1兆5,071億円に達し、農泊や農福連携といった地域資源を活かした取組が全国各地で展開されています。中でも、農福連携を進める主体数は7,179に達し、2024年度の目標であった新規創出3,000主体を前倒しで達成。さらに、女性の農業参画や若年層の担い手育成も進展しており、農業経営における多様性と活力の向上が顕著となっています。

環境面でも、「みどりの食料システム戦略」が加速されており、2027年度からは環境負荷低減に関するクロスコンプライアンス制度(通称:みどりチェック)の本格運用が予定されています。また、温室効果ガスの削減目標は2013年度比で1,176万トンの削減を掲げ、地域単位での実効性のある取り組みが求められています。

地震災害への対応としては、2024年1月の能登半島地震により被災した奥能登地域の営農再開率が8割に達しており、農林水産省は現地相談窓口を設置して復旧・復興のための伴走支援を実施しています。特に約400ヘクタールの被災農地については、2025年の作付けに間に合うよう早期復旧工事が進行中です。

このように、「令和6年度 食料・農業・農村白書」は、農業の持続可能性と国民生活の安定、そして地域社会の再生に向けた多角的な政策が緻密に盛り込まれており、国民の食と暮らしを支える重要な指針となっています。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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