2025年6月22日
労務・人事ニュース
75歳以上の医療費比率40%超、介護と医療をつなぐ人材採用の現実と課題(令和6年度1月)
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「高給与」/准看護師・正看護師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「夜勤なし」/正看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「高給与」/正看護師/病院/うれしい土日祝休み
最終更新: 2025年6月22日 22:38
最近の医療費の動向-MEDIAS- 令和6年度1月 最近の医療費の動向[概算医療費](厚労省)
2025年4月に発表された医療費概算データによると、日本の医療費全体は引き続き増加傾向にあり、社会保障制度の維持や医療人材の確保に対して大きな課題を投げかけています。この統計は、国民一人ひとりの健康管理や生活の質に直結するだけでなく、医療・介護業界における人材戦略や経営判断にも密接に関わる重要な情報であり、とりわけ企業の採用担当者が医療関連職種の採用や福利厚生制度の設計を行ううえで見逃せない要素が数多く含まれています。
まず、2023年4月から2024年3月までの1年間における医療費の総額は46兆円を超えており、前年度と比較しても着実に拡大しています。これは高齢化の進行、医療技術の進歩、そして医療機関の設備強化など、複数の要因が複雑に絡み合って生じている結果です。年齢階級別にみると、特に75歳以上の後期高齢者層に対する医療費が顕著に増加しており、全体の4割以上を占めるという構造が明らかとなっています。高齢者医療制度における公費支出が増え続ける現状は、将来的な社会保障費の財源問題とも直結しており、政府だけでなく民間企業にとっても長期的な視野での対応が求められています。
外来医療費と入院医療費の内訳をみると、外来費用は約18兆円、入院費用は約17兆円と、いずれも高水準で推移しています。特に外来診療においては、慢性疾患の継続的な管理が求められる患者数の増加が要因として挙げられます。これに伴い、医師・看護師・薬剤師といった専門職種の業務負担も増加傾向にあり、現場では人材の確保と定着が喫緊の課題とされています。こうした背景を受けて、企業の採用担当者は医療職の待遇改善や労働環境の整備を進める必要があり、単に給与水準を引き上げるだけでなく、ワークライフバランスやキャリア形成支援の充実が求められます。
また、入院医療費の増加には、重症化する前に治療介入を行う予防医療の普及がまだ十分に進んでいない点も影響しています。現場では、急性期医療と慢性期医療の両立が求められる中で、特に回復期やリハビリテーション医療の提供体制が充実している医療機関ほど、業務が多様化し人材への依存度が高まっています。このような環境においては、医療従事者の採用・育成を戦略的に進めるために、企業が地域医療との連携や、職場内教育の仕組みを整備する必要があります。
加えて、調剤医療費についても、2024年度の総額は約8兆円に達しており、薬剤費が全体の医療費に占める割合も無視できない水準にあります。特に高額な新薬の登場や、がん・自己免疫疾患といった難治性疾患への対応が進む中で、薬剤師の専門性や役割はますます重要になっています。この点からも、薬局や病院における人材配置の最適化と、専門職の継続的なスキルアップ支援が企業の対応として求められます。
なお、地域別にみた医療費の分布にも大きな特徴があります。都市部では外来中心の医療提供が多く、地方では入院医療や訪問診療の比重が高まる傾向にあります。これは人口構成や医療インフラの差異によるものであり、採用活動においても地域特性を踏まえた戦略が必要になります。例えば地方では医師や看護師の確保が都市部以上に難しいケースが多く、企業は地域医療との連携強化や住居支援制度などを通じて、人材の呼び込みと定着化を図る必要が出てきます。
さらに、国民一人当たりの医療費は年間でおよそ37万円を超えており、これは数年前と比較しても約5%の増加です。この上昇傾向は今後も続くと見られており、企業の健康保険組合における負担増にもつながっています。したがって、採用担当者は福利厚生制度の見直しにおいて、医療費補助や健康支援プログラムの導入、産業医による健康管理体制の強化など、社員の医療支出を軽減する方策を積極的に取り入れる必要があります。
以上のように、医療費の増加が示す社会構造の変化は、採用戦略の見直しに大きな影響を与えています。今後、企業が医療・福祉人材を確保し続けるためには、処遇の改善だけでなく、労働環境・教育・福利厚生など、あらゆる側面からの支援が必要不可欠です。また、単に即戦力を採るだけでなく、育成可能性のある人材を長期的に育てる視点が重要となってきます。採用活動においては、医療現場の実態を理解した上で、それに即した採用方針を打ち出し、求職者に対して明確なビジョンと安心感を与えることが、競争優位性の確保につながります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ