2025年4月26日
労務・人事ニュース
南関東先行き 求人情報誌制作企業で求人数増加傾向も、物価高で企業の選別志向が強まる予測(令和7年3月調査)
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最終更新: 2025年5月2日 22:31
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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 南関東(先行き)―(内閣府)
令和7年3月に行われた景気ウォッチャー調査において、南関東地域の景気先行きに関する判断は、さまざまな分野で明暗が分かれる結果となりました。新年度を迎えるこの時期、イベントや新生活のスタートに伴う消費拡大への期待が一部にある一方で、物価高騰や不透明な国際情勢、賃金上昇の遅れといった要因が重くのしかかり、景気の持ち直しには依然として時間がかかるという見方が多くみられます。とくに企業の採用担当者にとっては、人手不足の継続とともに、人件費上昇に対する経営圧力、採用と定着の両立といった課題に直面していることが浮き彫りとなっています。
まず、家計関連の分野においては、文房具や衣料品、百貨店などで一部前向きな声が聞かれました。東京都内の文房具店では、新学期需要により高価格帯の筆記用具や学童用品が売れており、客単価の上昇が顕著です。同様に、衣料品専門店では新商品の投入や店舗体制の刷新が進められており、新年度に向けた商戦への備えが整いつつあるとされます。また、百貨店では外商招待会のプロモーションに対する富裕層からの反応が良好で、6月にかけての売上増が期待されているという声も挙がっています。こうした動きに共通するのは、一定の可処分所得を持つ層が消費を主導しているという傾向です。
一方で、庶民的な消費行動に目を向けると、スーパーやコンビニでは客単価の上昇にもかかわらず、買上点数の減少が続いており、物価高に対する生活防衛意識が根強いことがわかります。実際にコンビニ経営者からは、「今後も無駄遣いを避け、必要最低限の買物しかしない傾向が続く」との声があり、賃金上昇が一部で進んでいても、家計の実感としては追いついていない状況がうかがえます。賃上げが中小企業にも波及し、実質所得が向上するまでにはまだ時間がかかるとの認識が広がっており、政府の支援策への期待感もにじみ出ています。
飲食業界においても、需要回復への期待はあるものの、仕入価格や光熱費の上昇が経営を圧迫し、価格転嫁にも限界があるという現実があります。高級レストランや一般レストランでは、歓送迎会シーズンの需要がある一方で、4月以降の価格上昇が続けば消費が再び冷え込むとの見通しが示されており、安定的な成長には不安が残ります。また、コーヒー豆の価格高騰や円安の影響を指摘するカフェ経営者もおり、仕入れ面からのコスト圧力が飲食業全体に波及していることがわかります。
観光業では都市型ホテルや旅行代理店でインバウンド需要の継続に対する期待が高く、既に大口の予約が入っていることから稼働率・単価ともに好調を維持しているという報告もあります。ただし、ゴールデンウィーク明けの閑散期には予約が落ち込み、固定費負担や人件費増による収益圧迫が懸念されており、波のある経営が続く見込みです。観光需要は季節や為替、国際情勢に強く左右されるため、継続的な収益確保のためには柔軟な価格設定と人員体制の見直しが不可欠です。
企業動向に関しては、業種ごとの二極化が鮮明となっています。電気機械器具製造業では、大型再開発事業に伴う受注の増加や、特許商品による価格優位性が報告され、安定した利益率を確保できている企業もあります。AI関連事業においても成長基調が続いており、設備投資や新規採用の意欲が高まっているという前向きな傾向が見られます。その一方で、出版・印刷業、食料品製造業、輸送機械器具製造業などでは、原材料価格の上昇、外注先の廃業、関税政策の影響による先行き不透明感が強く、受注減や価格転嫁の難しさから経営の厳しさが増しているという報告も相次ぎました。
とくに輸出依存度の高い企業にとっては、米国の関税政策が新たなリスクとして浮上しており、大手自動車メーカーの生産動向次第では取引量の減少につながる可能性も否定できません。このような環境下では、調達先や販売先の多様化、コスト構造の見直しといった経営戦略の転換が急がれる局面にあるといえます。
雇用関連については、人材不足が依然として解消されていない一方で、人件費の上昇により企業の採用意欲が抑制される動きが見られます。人材派遣会社では、「週5日勤務ができる人材の不足により、短時間勤務の人材を複数採用する形にシフトしている」との報告があり、フルタイム人材への依存から柔軟な雇用形態への転換が進んでいる実態がうかがえます。また、職業安定所の報告によると、新規求人数が低調で、特に中小企業では金利上昇や人件費負担の増大によって廃業に追い込まれるケースも目立っており、安定した雇用環境の構築が地域経済の喫緊の課題となっています。
このように、南関東地域の景気先行きは、春先の季節需要やインバウンドによる一時的な回復基調が見られるものの、物価高、コスト上昇、人手不足という構造的課題が足かせとなっており、本格的な景気回復には制度的支援と企業努力の両輪が求められています。採用担当者にとっては、賃金や待遇の見直しだけでなく、働き方の柔軟性や職場環境の改善を含めた包括的な人材戦略が不可欠であり、同時に採用後の定着支援にも注力する必要があるでしょう。
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