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2025年4月25日

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都市型ホテルの高級鉄板焼きが想定以上の売上、前年比120%を記録(令和7年3月調査)

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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 甲信越(現状)―(内閣府)

令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査によると、甲信越地域における経済動向は業種や業態、立地によって大きなばらつきがあり、回復基調と停滞感が交錯する複雑な状況にあることが明らかになりました。特に消費者の行動には、物価高に対する反応として生活必需品への支出を最優先する傾向が顕著であり、不要不急の消費やぜいたく品に対する支出は引き続き抑制されています。一方で、イベントや観光、春休みに伴う行楽需要が一部の業界を押し上げており、全体としての景気判断には細やかな視点が求められています。

まず小売分野においては、スーパーやコンビニエンスストアの売上が一部では前年を若干下回っているとの報告がある一方で、病院売店向けの弁当供給や春先のイベント需要の高まりが販売増につながるとの期待感も広がっています。具体的には、スーパーの来客数が前年比10%減、売上は1%減と厳しい数字ながら、4月から始まる新たな納品業務によって売上の回復が見込まれています。また、コンビニでは花見や春の行楽に伴う来客数の回復傾向が報告されており、徐々に売上も伸びてきているとのことです。ただし、デザートや嗜好品など生活に直結しない商品の売れ行きは依然として低調であり、消費者の可処分所得に余裕がないことが浮き彫りになっています。

飲食業では、都市型ホテルの和食レストランにおいて鉄板焼きコースの販売を再開し、単価1万2000円と1万6000円という高額コースが想定以上に売れているという報告があり、前年同月比で売上は120%に達しています。このように高単価商品が動く一方で、スナック業界では来客数が大幅に減少しており、酒類の需要にとどまらずランチ利用も落ち込むなど、節約志向の強まりが影響しています。居酒屋などでも安価なメニューへのシフトが見られ、原価の高騰を価格に転嫁しきれない苦しさが経営を圧迫している状況です。

観光業界では、スキーシーズンの長期化や春休みのイベントが集客を支えており、観光名所やレジャー施設、ボウリング場などの来場者数が増加しています。特に観光型旅館では、宿泊単価がコロナ禍前比で147%に上昇し、宿泊数が同水準であったとしても収益性が大きく改善したとの報告があります。宿泊者の中には1人旅を選ぶケースも増えており、高単価商品でも需要が見込めることが示唆されています。

一方、家電量販店や商店街では、消費者の購入意欲が戻っておらず、来客数の低迷や発注件数の減少が続いています。物価高の影響により、消費者は生活必需品を優先し、それ以外の支出には慎重になっており、この傾向が家電などの耐久消費財に如実に表れています。スーパーでは野菜や卵、米の価格上昇によって買上点数が減少する一方で、客単価は若干増加していますが、これは単価上昇によるものであり、購買意欲の高まりとは言い難い実情です。

自動車関連では、車検や整備の需要は前年比で1.5倍に増加している一方で、新車販売は依然として低迷しています。既存客による買い替え需要はあるものの、新規顧客の獲得には至っておらず、車両の価格や金利の上昇が購買意欲を抑制しているとみられます。また、消費者が米価の高騰などを話題に出すなど、日常生活のコストに敏感になっていることが、車のような高額商品への支出をためらわせる要因となっています。

製造業では、窯業・土石製品業においては大口受注が決まり、一時的に忙しくなる見込みがあるものの、その他の分野では先行きに対する不安感が広がっています。電気機械器具製造業では受注はあるものの単発案件が多く、持続的な成長には不透明感が残ります。宝石・貴金属業界では売上が前年比で10%増加したものの、地金価格の高騰が利益を圧迫しており、国内市場の低調さと合わせて厳しい状況が続いています。食品製造業でも、値上げによって販売価格に開きが生じた結果、消費者がより安価な商品に流れる傾向が強まり、業務用引き合いの減少によって在庫が積み上がっているとのことです。

建設業では、問い合わせ数自体は増えてきており、金額や内容に関する具体的な打診が始まっているという前向きな報告もあります。ただし、実際の受注や工事着手までには至っていないケースも多く、資材高騰の影響が受注率や利益率を抑える要因となっていることに変わりはありません。

雇用に関しては、人材派遣会社では「人はいないか」という問い合わせは多く寄せられているものの、企業側の採用条件が変わらないため、採用までにはつながりにくい状況が続いています。中小企業では賃上げへの対応が難しく、新規社員の採用に対して慎重な姿勢が強まっていると報告されています。また、職業安定所の報告によれば、労働者派遣業の求人数が前年同月比で半減しており、これは製造業の業績不振や人件費上昇による求人手控えの影響と見られています。求人のニーズはあるものの、採用実現には条件緩和や雇用形態の見直しが不可欠であり、企業の人材戦略における転換点が訪れているといえるでしょう。

こうした甲信越地域の現状は、採用担当者にとって、業種間の温度差や地域性を加味した柔軟な採用戦略が求められることを意味しています。業務に即したスキルマッチの徹底はもちろんのこと、雇用条件や職場環境の整備を進めることで、競争力ある人材の確保が可能となる局面に入っているといえます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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