2025年5月31日
労務・人事ニュース
全産業で基本給283,070円、前年比2.1%増の底上げが進行中
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
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毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)
令和6年の毎月勤労統計調査によって明らかになった賃金の動向は、日本の企業における人材戦略を検討する上で非常に重要な指標となります。とりわけ人手不足や物価上昇といった複合的な要因が企業経営に与える影響が増す中で、労働者に対する処遇改善や給与の見直しは、もはや選択肢ではなく必要不可欠な経営課題として位置づけられています。今回の調査結果からは、業種ごとに異なる賃金の水準と、その変化の背景を丹念に読み解くことができます。
調査結果によると、全産業における平均の現金給与総額は349,388円で、前年と比較して3.0%の上昇となりました。これは名目上の金額であり、企業全体で人材確保や物価上昇への対応策として給与水準を引き上げている傾向が見て取れます。特に「きまって支給する給与」、いわゆる基本給部分は283,070円で前年比2.1%の増加となっており、恒常的な給与水準の底上げが進められている様子が伺えます。また、所定内給与も263,381円で同じく2.1%の伸びを記録しており、定時内勤務を基本とした労働に対しての報酬も強化されていることが確認できます。
特に注目すべきは「特別給与」の増加幅です。これは賞与や一時金、インセンティブなどを含むものであり、66,318円と前年から7.5%増加しています。この大幅な伸びは、企業が業績に連動した報酬制度を強化していることを示しており、成果に対する評価や従業員への還元意識が強まっていることを物語っています。働きがいのある職場環境の整備においては、こうした柔軟な報酬体系の導入が欠かせません。
業種別に見ると、その賃金水準には大きな差異があります。最も高い現金給与総額を記録したのは「電気・ガス業」で609,804円という水準に達しており、前年比では5.1%の増加となっています。これは基幹インフラを支える業種であることに加え、専門性の高い技術職や長期雇用が前提となる職場環境が影響していると考えられます。中でも「きまって支給する給与」は471,627円と非常に高く、生活安定性の高い職種であることが反映されています。さらに、「所定外給与」も57,116円(前年比4.0%増)、「特別給与」では138,177円(前年比10.3%増)という非常に高い数値が見られ、全体として待遇の良さが際立つ結果となりました。
次に高かったのが「情報通信業」で、現金給与総額は532,171円と前年から2.9%の上昇でした。この業種はテクノロジーの進化により常に人材需要が高く、専門性が求められる分野でもあるため、報酬水準の高さは必然とも言えます。「きまって支給する給与」は412,906円で3.7%の増加、「所定内給与」も377,738円で3.8%増と、継続的な人材投資の結果が反映されています。また、「所定外給与」が35,168円(前年比2.7%増)、「特別給与」が119,265円(前年比0.7%増)となっており、安定的に高水準の報酬が支払われていることがわかります。
一方、「建設業」では現金給与総額が455,080円で前年比5.2%の増加と高水準を維持しており、労働者の不足が深刻化する中で賃金の引き上げが行われていることが明らかです。「きまって支給する給与」では363,528円(前年比2.7%増)、「所定内給与」では338,978円(前年比2.9%増)と、安定した上昇が続いています。また、「所定外給与」も24,550円(前年比0.4%増)、「特別給与」では91,552円と前年比で16.6%もの増加が記録されており、現場へのインセンティブ支給が進んでいると見られます。
「製造業」においても、全体の現金給与総額は416,001円で前年比3.6%の増加、「きまって支給する給与」が326,549円で3.1%増、「所定内給与」が296,195円で前年比3.0%増となっており、堅調な賃金上昇が続いています。特に「所定外給与」は30,354円で前年比3.3%増と、需要変動への対応力の一端が数値に表れています。「特別給与」は89,452円と前年比5.6%の伸びであり、ボーナスや一時金による報酬強化が行われていることが示唆されます。
一方、「鉱業、採石業等」は給与水準が425,900円と高めでありながら、特に前年比で7.6%という大幅な伸びが記録されています。これは基幹素材やエネルギー資源の安定供給という社会的責任を担う業種として、近年注目が高まっていることが背景にあると考えられます。「きまって支給する給与」が327,067円(前年比5.4%増)、「所定内給与」では301,156円(前年比5.6%増)、「所定外給与」も25,911円(前年比2.5%増)と、総じて安定的に賃金が上昇しており、待遇面の強化が着実に進められている状況です。
このように、各業種ごとに異なる賃金構造が明らかになることで、企業の採用担当者は自社の報酬体系が業界標準と比べて適切であるかを判断する材料を得ることができます。とりわけ給与の基本部分である「きまって支給する給与」や、成果に基づく「特別給与」の傾向を把握することで、優秀な人材の確保と定着に向けた戦略をより効果的に構築することが可能となります。また、給与の上昇率にも着目することで、自社の賃上げが時代の要請に合致しているかを見直す契機にもなり得るでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ