2025年6月7日
労務・人事ニュース
訪日消費額8.1兆円、過去最高更新で注目されるインバウンド市場の地域展開戦略
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月6日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月6日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年6月6日 22:32
- 「ブランクOK」/准看護師・正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年6月6日 22:32
「令和6年度観光の状況」及び「令和7年度観光施策」(観光白書)について(観光庁)
令和7年版の観光白書が2025年5月27日に閣議決定され、日本の観光産業に関する最新の動向と政府の施策が詳しく報告されました。本白書は、観光立国推進基本法に基づき、毎年国会に提出されるもので、令和6年度の観光の状況と、令和7年度に講じようとする施策の両面について体系的にまとめられています。特に、今回の白書では、「国内交流の拡大」を重要な柱とし、日本人の国内旅行の実施率向上や滞在の長期化、そして地方への誘客促進に向けた取り組みが詳しく分析されています。
まず、観光のグローバルな動向について触れると、2024年の国際観光客数は14億4500万人に達し、コロナ前である2019年比でわずかに1.3%減にとどまるなど、回復基調が明確に示されています。その中で日本は、2023年における外国人旅行者受け入れ数で世界第15位、アジアで第2位に位置しており、訪日観光市場の存在感が一段と増しています。2024年には訪日外国人旅行者数が3,687万人となり、2019年比で15.6%増という過去最高の記録を更新しました。この背景には、東アジア地域からの観光客、とりわけ韓国、中国、台湾からの渡航者が多くを占めており、全体の約78.8%をアジア地域が占めています。
訪日外国人の旅行消費額についても注目すべき成果が見られ、2024年は総額で8兆1257億円に達し、2019年と比較して68.8%の増加となりました。これは単なる観光客の数の増加にとどまらず、体験型コンテンツや高付加価値なサービスへの需要が高まっていることを示しています。国別では中国が最も多く、台湾、韓国、米国、香港と続き、消費の分布にも地域的な偏りがあることが分かります。
一方、日本人の国内旅行に目を向けると、2024年の国内延べ旅行者数は5.4億人に上り、コロナ前の9割程度にまで回復しました。国内旅行の消費額は25.1兆円と過去最高を記録し、国内旅行全体の34.3兆円の消費額のうち約73%を占めています。特に宿泊旅行の割合が高く、4億8668万人泊となり、2019年比で1.3%の増加となりました。これに対して、日帰り旅行も4.8兆円の消費額を記録し、全体の14%を占める結果となっています。
世代別の旅行傾向を見ると、若年層を中心に宿泊旅行の経験率が高く、特に20代以下では約62.8%が旅行経験ありと答えています。一方で、高齢層になるほど経験率が下がる傾向にあり、健康上の理由や家族との日程調整などが障壁となっていることが明らかになっています。また、旅行をしない理由としては、「休暇が取れない」「家計の制約がある」「健康上の不安」が上位に挙げられており、働き方改革や休暇制度の見直しが国内旅行活性化のカギとなることが示唆されています。
こうした課題に対応するため、各地では先進的な取り組みが進められています。例えば、香川県琴平町では、若者との継続的な関係構築を図るための「帰る旅」プログラムを展開し、地域との結びつきを強めています。福島県岳温泉では、登山と温泉を融合させた「山旅」によって、リピーターの創出と地域ガイドの育成を進めています。さらに、宮崎県日向市では企業研修型のワーケーションを導入し、4年間で110社1600名が参加するなど、新たな働き方と観光の融合が地域活性化に貢献しています。
また、ユニバーサルツーリズムの推進も重要なテーマの一つとして取り上げられています。三重県伊勢志摩地域では、高齢者や障害者も安心して旅行できる環境づくりとして「伊勢おもてなしヘルパー」の活動が拡大しており、利用件数も年々増加しています。施設のバリアフリー化やパーソナルバリアフリー基準に基づく旅行プランの提供も進み、誰もが「行きたいところへ行ける」観光環境の整備が着実に進展しています。
2025年度における政府の観光施策としては、国内旅行需要の平準化、高付加価値旅行者の誘致、観光産業のDX化、そして人材不足への対応などが重点項目として掲げられています。特に、デジタルツールの導入支援やスマートチェックイン・アウトの推進など、観光地での利便性向上に資する取り組みは、観光業全体の生産性向上に寄与すると期待されています。
こうした観光施策は、企業の採用戦略とも無関係ではありません。例えば、ワーケーションの推進は、多様な働き方の実現と人材の地方定着に直結しますし、地域体験型の研修制度を導入すれば、従業員の満足度向上やスキル開発にもつながります。さらに、観光地の多様化やユニバーサルデザインの普及は、社員の出張先・研修先の選択肢を広げるという実務的なメリットも生み出します。企業がこうした国や自治体の観光政策と連携することで、人材育成と地域活性化を両立させる道が開けるのです。
⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ