2025年6月18日
労務・人事ニュース
兵庫県の求人倍率1.00倍に停滞する中で企業が進めるべき採用方針【令和7年4月】
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「夜勤なし」/正看護師/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年6月19日 22:31
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「土日祝休み」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月19日 22:31
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「車通勤OK」/正看護師/介護施設/研修が充実で安心
最終更新: 2025年6月19日 22:31
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月19日 22:31
但馬地域1.68倍、淡路地域0.81倍の地域格差から見た採用活動の最適化とは
令和7年4月の兵庫県における有効求人倍率は1.00倍と、前月と同水準で推移していることが明らかになりました。この数値は、求職者1人に対して1件の求人が存在することを意味しており、雇用市場における需給バランスが取れているように見える一方で、企業側にとっては採用の難易度が依然として高い状況であることを示しています。とりわけ、正社員に限った有効求人倍率は0.77倍と全体の水準を下回っており、即戦力となる人材の確保が難しい実態が浮かび上がっています。
このような状況のなかで、企業の採用担当者が今後の採用戦略をどのように構築すべきかが問われています。兵庫労働局が公表したデータによれば、令和7年4月の有効求人数は80,030人、有効求職者数は79,849人であり、それぞれ前月から0.4%、0.2%の微減となっています。また、新規求人倍率は1.84倍と前月をわずかに上回り、3か月ぶりに上昇しましたが、これは新たな求人が求職の動きよりもやや活発であることを示しており、企業側の人材需要が高まっている可能性がうかがえます。
特に注目すべきは、地域によって有効求人倍率に差が見られる点です。例えば、令和7年4月時点での但馬地域の有効求人倍率は1.68倍と非常に高く、逆に淡路地域では0.81倍と全国平均を下回る水準となっています。この地域差は、各エリアにおける産業構造や人口動態の違いに起因するものであり、採用活動を行う企業は自社の拠点が存在する地域の求人動向を正確に把握したうえで、きめ細かな採用戦略を立てる必要があります。
また、産業別に見ても求人の動向には大きな差があります。医療・福祉分野では新規求人が前年同月比で9.0%増加しており、依然として人材需要が高い状況が続いています。一方、宿泊業・飲食サービス業では新規求人が14.4%減少しており、人材確保のためには柔軟な雇用条件や職場環境の改善が求められています。こうしたデータを踏まえ、企業は業界ごとのトレンドにも敏感に反応することが重要です。
企業の採用担当者にとって、有効求人倍率は単なる数字ではなく、市場全体の動向を読み解くための指標です。倍率が高ければ求職者が少なく、優秀な人材の争奪戦になることが想定されます。そのため、自社の魅力を最大限にアピールし、候補者が入社後に描けるキャリアパスや働きやすい環境づくりが極めて重要です。たとえば、兵庫県内では近年、テレワークの導入やフレックスタイム制度を活用する企業が増えており、こうした柔軟な働き方への対応が採用競争力を左右する要素となっています。
一方で、倍率が低い地域や業種においては、逆に多数の求職者がいることから、求める人材像にフィットする候補者を見つけやすくなります。しかし、そうした環境においても、選考基準の明確化や面接プロセスの効率化を進めることで、より効果的な採用活動を行うことが可能です。
兵庫労働局のデータはまた、企業規模別の求人状況にも示唆を与えています。1000人以上の大企業では新規求人が前年同月比で約4.6%減少しており、逆に中小企業では一部で増加傾向にあります。これは大企業に比べて中小企業がより積極的に採用を行っていることを示すものであり、中小企業にとっては採用市場におけるチャンスとも言えます。競合となる大手企業が採用数を絞る中で、待遇面や職場環境の訴求を工夫することで、より多くの人材にアプローチできる可能性が広がっています。
また、求職者の動向に目を向けると、在職中に転職活動を行う人や、定年退職後の再就職を希望する高齢者の割合が増えていることがわかります。こうした多様な人材層に対応するには、年齢やライフステージに応じた求人内容の見直しが求められます。たとえば、シニア層に向けては週3日勤務や時短勤務といった柔軟な勤務形態の提案が効果的です。また、女性や育児中の求職者に対しては、託児所併設や育児休業制度の充実など、実際的な支援体制を明示することが大きな信頼につながります。
企業の採用担当者が行うべき第一歩は、自社が展開する地域や業界の有効求人倍率を正確に把握し、それに応じた採用戦略を設計することです。兵庫県のように地域によって求人倍率に大きな差がある場合、同一県内であっても複数拠点を持つ企業はエリアごとの対応を変える必要があります。加えて、定期的に労働局の発表を確認し、雇用市場の変化を先読みする姿勢が、安定した人材確保につながるのです。
求職者の価値観が多様化し、働き方も変化を続けるなかで、採用担当者は単に人を採るだけでなく、「働き続けてもらう仕組みづくり」までを見据えた取り組みが求められています。有効求人倍率というデータは、単なる統計ではなく、その背景にある人材市場の動向や企業の競争環境を読み解くための鍵なのです。数字の変化を冷静に捉え、自社にとって最適な施策を導き出す力こそが、これからの採用担当者に求められる真の実力だといえるでしょう。
⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ