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2025年6月17日

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有効求人倍率1.18倍で迎えた令和7年4月、埼玉県企業が取るべき次の一手

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さいたま市の有効求人倍率1.19倍が意味する中核都市の採用動向

令和7年4月の埼玉県における有効求人倍率は1.18倍で、前月からは横ばいとなり、全国平均の1.26倍を下回る結果となりました。全国的に見れば比較的落ち着いた数値ではありますが、県内の企業にとっては、引き続き求職者の確保が容易ではない状況が続いています。求人倍率が1.0を上回っているということは、依然として求人が求職者数を上回っており、企業間での人材獲得競争が熾烈であることを意味します。採用担当者にとっては、単に募集をかけるだけでは人材を確保できない時代に突入しており、自社の魅力をどのように伝えるか、そしてどのような人材にアプローチすべきかという観点が、今後ますます重要になってきます。

埼玉県全体の新規求人数は前年同月比で5.5%増の36,756人となっており、産業別に見ると医療・福祉分野が7.7%増、製造業が7.9%増と目立った伸びを示しています。特に医療・福祉分野は人手不足が恒常化しており、採用活動の在り方が問われる業種でもあります。これに対して新規求職申込件数は前年同月比0.3%の微減にとどまっており、全体としては求人の増加に対して求職者の動きが追いついていない状況です。このギャップが示すのは、企業にとって一層の採用努力が求められているという現実であり、特に待遇面や職場環境の魅力付けに加えて、働く目的や社会的意義をどのように訴求できるかが求められます。

正社員に絞ってみると、有効求人倍率は1.02倍となっており、安定した雇用を望む求職者が増えていることが明確に読み取れます。企業側がこれに応じた採用方針を採ることは、長期的な人材の定着と育成につながります。従来の非正規雇用から、待遇の良い正規雇用へとシフトすることで、企業の人材力は安定し、離職率の低下にもつながると考えられます。求職者の多くが安心して働ける職場を探している今、企業は募集段階から長期的なキャリアパスを明確に提示する必要があります。

採用担当者にとって求人票の内容は、単なる情報提供にとどまらず、「企業の顔」としての役割を担っています。仕事内容を単に箇条書きで示すのではなく、具体的な一日の業務の流れや職場の雰囲気、社員の声などを交えて記載することで、応募者にとっての心理的ハードルを下げることができます。特に若年層にとっては、業務内容だけでなく「働く意義」や「成長のビジョン」を感じられるかどうかが、応募するか否かの重要な分岐点となります。

地域別に見ると、県内でも有効求人倍率にはばらつきがあり、川越市や所沢市などの都市部では1.3倍前後の高い倍率を記録しているのに対し、秩父市や北部地域では1.0倍を下回るエリアも存在します。これは、採用戦略においてエリア特性を考慮した柔軟な対応が必要であることを示唆しています。企業は採用エリアを広げたり、通勤支援や転居支援制度を整備することで、広範囲からの人材確保を可能にする仕組みを構築することが効果的です。また、テレワークやフレックス勤務制度の導入も、特に都市部での採用競争を勝ち抜くための有効な施策となるでしょう。

一方で、65歳以上の求職者数が前年同月比で3.8%増加している点も見逃せません。高齢者の就業意欲は年々高まっており、健康で意欲のある高年齢者の活用は、企業の人手不足解消に大きな力となります。ただし、体力的な負担や働き方の柔軟性を配慮した職務設計が不可欠であり、例えば短時間勤務制度の導入や作業負担の軽減策を講じることで、シニア層にとっても働きやすい職場づくりが可能となります。

離職理由については、依然として自己都合によるものが大半を占めており、職場環境のミスマッチが大きな課題として残っています。採用担当者は応募者との接点段階から、職場の実情をできるだけ丁寧に説明し、期待と現実のギャップを最小限にする努力が求められます。さらに、入社後のフォロー体制や、メンター制度、キャリア相談の機会を設けることで、職場に早期に定着しやすい環境づくりが可能となります。

求人情報の発信においても、単にハローワークや求人媒体に頼るのではなく、自社のホームページやSNSを活用して職場の魅力を発信する姿勢が重要です。社員インタビューや業務風景の動画、1日のスケジュール紹介などを通じて、求職者が「ここで働いてみたい」と感じる情報を提供することが、応募の動機付けに直結します。特に若年層はSNSを通じて企業をリサーチする傾向が強いため、採用広報においてもブランディングの視点が不可欠です。

以上のように、埼玉県の令和7年4月の求人倍率1.18倍という数値は、単なる統計ではなく、企業が今後の採用戦略を見直すべき重要なシグナルです。人材確保は経営課題の一部であり、単なる人員補充ではなく、将来的な成長を見据えた戦略的投資として位置付ける必要があります。採用の成功とは、人を集めることだけではなく、組織に根付き、活躍し続ける人材をいかに育てていけるかにかかっています。採用担当者は、求人倍率というデータを正しく読み解き、自社にとって最適な人材を引き寄せるための方針を日々更新し続ける姿勢が求められています。

⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ

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