2025年6月29日
労務・人事ニュース
本社機能移転で従業員増1万人へ、採用のチャンス広がる地方創生2.0の真価
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非常勤・サービス業界の看護師/駅近/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年6月29日 10:07
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「夜勤なし」/正看護師/デイサービス/オンコールなし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
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「時短勤務可」/准看護師・正看護師/内科/循環器内科/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年6月28日 23:04
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「高給与」/正看護師/訪問看護ステーション/訪問看護/夜勤なし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
地方創生2.0基本構想(内閣府)
令和7年6月13日に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」は、これまでの地方創生政策の成果と課題をふまえ、新たな時代に即した地方振興のあり方を提示しています。この構想では、若者や女性にも選ばれる地域を目指し、地方における安心して働き暮らせる環境の整備、付加価値の高い経済基盤の構築、人や企業の地方分散、新時代のインフラ整備、そして広域的な連携の推進という5つの柱を軸に据えています。特に、企業や採用担当者が注目すべきは、労働力不足と若年層の流出に対する対応策として示された各種施策の実効性と、地域における人的資源の活用方法です。
本構想では、人口減少を一過性の現象としてではなく、社会構造の変化として正面から受け止め、その中でどのようにして経済を活性化し、社会機能を持続させていくかに重点が置かれています。特に若者や女性の地方離れが深刻化する中で、地方が彼らにとって魅力的な生活と職業の選択肢を提供できるかどうかが重要な課題とされています。そのため、全国68自治体において「地域働き方・職場改革ネットワーク」を形成し、アンコンシャス・バイアスの解消を含む職場改革の取り組みを今後3~5年間で全国に波及させる方針を明示しています。これにより、性別や年齢にとらわれない柔軟な労働環境が各地で実現されていくことが期待されます。
さらに、生活環境の創出に向けた具体的な施策としては、「地域くらしサービス拠点構想」が挙げられます。これは、スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアなどの民間施設に行政機能を併設し、一か所で複数の生活必需サービスを提供するというもので、ドローン配送やオンライン技術の活用により、遠隔地にもサービスが届く体制の整備を目指しています。こうした取り組みは、労働者が家族とともに地方で安心して生活を続けられる環境づくりに直結しており、企業側が地方進出を検討する上での大きな魅力となります。
また、地方経済の再生に向けては、「地方イノベーション創生構想」が核となっています。この構想の下では、地域の伝統産業や農林水産物、文化資源などを活かした高付加価値な事業展開を促進することが掲げられており、その具体策の一つが「新規輸出1万者支援プログラム」です。これは全国に設けられた支援拠点を活用し、中小企業の海外展開を支援するもので、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円という目標の実現とも連動しています。観光・インバウンド需要の地域誘導を通じた地方活性化は、特に観光・サービス業における人材確保の面で企業の関与が強く求められる分野です。
加えて、スタートアップ支援については、現在8都市ある「スタートアップ・エコシステム拠点都市」を13都市に拡大し、創業支援から成長支援までを一体的に行う環境の整備が進められます。地方公共団体によるスタートアップとの契約促進や知的財産保護などの多面的な支援も含まれており、地方での起業環境は格段に整備される見通しです。企業の採用担当者にとっては、こうしたスタートアップとの連携による新たな人材確保や、地域イノベーションへの参加が、採用戦略上の大きな武器となり得ます。
地方への人と企業の分散に関しても明確な目標が示されています。例えば、2027年度までの3年間で本社機能の移転や拡充に伴う従業員の増加数を約1万人とし、都市部から地方への人材移動を具体的に促進します。また、「ふるさと住民登録制度」の創設によって、住所地以外の地域と継続的に関わる関係人口の実人数を1,000万人、延べ人数で1億人に拡大することが目標とされています。この仕組みにより、従来の定住者だけでなく、二地域居住や副業・兼業など、多様な形で地方に関与する人材が可視化され、地域の担い手としてより柔軟に活躍できる環境が整備されていきます。
さらに、2030年代までにオール光ネットワークを全国に展開し、AIやデジタル技術による新たな産業集積の促進も図られています。これには、電力と通信の連携、脱炭素地域へのデータセンター誘致、自動運転やドローンを用いた物流網の整備などが含まれており、インフラ整備と技術革新の両輪による地方の競争力向上が期待されます。これにより、地方でも高品質なテクノロジー活用が可能となり、テック人材やデジタルスキルを有する若者の地方定着を促すことができます。
このように、令和7年版の構想は、単なる地域活性策にとどまらず、構造的な人口問題への対応策としても機能しており、特に人材獲得を重視する企業にとっては、新たな採用チャネルの開拓と多様な働き方への対応が求められる時代の羅針盤といえます。企業が地方と連携し、地域課題の解決や人材の循環に積極的に関与することで、社会的信頼を高めるとともに、持続可能な経営基盤の確立にもつながるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ