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2025年6月27日

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東海地域の観光ホテルが前年比8〜10%の売上増を見込む背景と採用への影響(令和7年5月先行き)

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景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 東海(先行き)―(内閣府)

令和7年5月に実施された景気ウォッチャー調査では、東海地域の経済の先行きに対する多様な見通しが浮き彫りとなりました。この地域は自動車産業をはじめとする製造業が集中しているほか、観光、飲食、小売業など多様な業種が共存しており、それぞれが現在の経済情勢に対して異なる評価を持っています。

まず、小売や飲食関連の業種では、季節的要因と企業側の販売促進策が相まって一定の期待が寄せられています。特にコンビニやスーパーでは、夏の暑さが例年並みに厳しくなるという気象予報を前提に、冷たい飲料や簡便食材の販売増が期待されています。また、コンビニ本部が創立記念企画を展開するなど、短期的には消費の底上げが図られそうです。家電量販店では、エアコンや冷蔵庫など季節商品の販売については、前年の高販売実績の反動減が予想されるものの、買い替え需要は引き続き存在しているとの声が聞かれました。

観光業については、特に宿泊業と旅行代理店から明るい見通しが示されています。観光型ホテルでは、宿泊予約が前年比で8〜10%増加する見込みで、夏休みを前にした予約の動きが堅調です。加えて、2025年の大阪・関西万博への関心が高まっており、公共交通や車を利用する国内旅行の需要が増加する兆しがあります。旅行代理店では、万博関連の団体旅行の問い合わせが急増しており、9月頃までこの動きが続くと見込まれています。さらに、年末年始のカレンダーの並びが良く、最大9連休になるため、早期の予約も進んでいる状況です。

一方で、全体としては物価上昇への不安が広がっており、特に食料品や日用品に関しては家計への負担が重くなっているという指摘が多く見られました。スーパーでは商品の価格が上昇し続けており、消費者は生活必需品に絞って買い物をする傾向が強まっています。また、ボーナス支給が近づいているにもかかわらず、その支給をあてにした耐久消費財への支出が控えられていることからも、消費マインドの慎重さがうかがえます。

製造業の中では、米国の関税政策が与える影響に対する懸念が色濃く、輸出関連産業では業績の悪化が懸念されています。特に自動車関連企業では、原材料価格や金利の上昇もあり、購買意欲が抑制されている現状が報告されました。輸送業では、軽貨物輸送の需要は一定を保っているものの、新たに導入された安全管理者制度への対応が必要で、費用面での負担が増加する見通しです。今後は運賃の見直しが発生する可能性もあると見られています。

建設業や住宅関連業種では、資材や人件費の高騰により見積額が上昇し、案件数が減少していることから、売上の維持が難しい状況が続いています。また、建材の価格が引き続き上昇しており、新築よりも小規模リフォーム案件の比重が高まっている現状が伝えられています。不動産業界では、天候の影響を受けつつも外出需要の増加を背景に売上が前年を上回ると予測されていますが、賃金の上昇が追いつかず、全体としては先行きに対する慎重な見方が支配的です。

雇用面においても企業の動きは分かれています。民間職業紹介機関では、ボーナス支給後に転職活動が活発になるとの見通しを持っていますが、地政学的リスクや物価高の影響を踏まえ、求人を慎重にする企業も少なくありません。特に中小企業においては、従業員の給与引き上げが困難であり、結果として求人活動が停滞気味であると報告されています。

全体的に見て、東海地域の景気先行きには一部に明るい兆しがある一方、物価上昇や外的リスクへの不安が広く共有されており、企業も消費者も慎重な姿勢を保っています。経済活動を大きく左右する米国の関税政策やウクライナ情勢、国内のエネルギー価格や天候など、複数の要素が複雑に絡み合う中、今後の展開は予断を許さない状況です。今後、政府による具体的な景気刺激策やインフレ対応策の実施が、景況感の改善には不可欠となるでしょう。消費者心理の安定や企業の投資促進のためにも、効果的かつ迅速な政策対応が求められています。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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