2025年6月27日
労務・人事ニュース
来客数前年比106.5%を記録した東北の商業施設、夏の消費回復に期待が集まる理由とは(令和7年5月先行き)
-
「車通勤OK」/准看護師・正看護師/介護施設
最終更新: 2025年6月26日 22:39
-
介護職員/福岡市営地下鉄七隈線/賀茂駅/福岡市早良区福岡県
最終更新: 2025年6月26日 14:05
-
「夜勤なし」/准看護師・正看護師/デイサービス/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年6月26日 22:39
-
「夜勤なし」/正看護師/精神科/訪問看護/車で通えます
最終更新: 2025年6月26日 22:39
景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 東北(先行き)―(内閣府)
令和7年5月に実施された景気ウォッチャー調査に基づく東北地方の先行きに関する報告は、地域経済の複雑な動きと消費者心理の変化を細やかに映し出しています。この調査は公益財団法人東北活性化研究センターによって取りまとめられたものであり、商業、小売、観光、製造業、サービス業、雇用といった多岐にわたる業種からの声をもとに、今後数か月の景気動向を予測しています。
調査結果では、明るい兆しと懸念の入り混じった景況感が浮かび上がっています。たとえば、スーパーやコンビニ、家電量販店などの小売業では、気温上昇による夏物商品の需要増加、イベントによる人流増加への期待がある一方で、物価高の継続によって個人消費の抑制が続くとの見通しも多く聞かれました。とりわけ、米の価格が家計に与える影響は非常に大きく、コンビニ経営者や一般小売店の意見では「備蓄米の価格が5キロ2000円を超える水準で推移している」ことが家計の圧迫につながっていると指摘されています。このことは、飲食店の仕入コストや家庭の食費に直結しており、消費の回復には一層の価格安定が必要とされています。
東北地方の観光関連業界では、夏祭りや旅行シーズンに向けた期待感が広がっており、都市型ホテルや旅行代理店からは「インバウンドおよび国内旅行の先行予約が好調」との声も寄せられました。テーマパーク関係者も「繁忙期を迎えるため客数・客単価共に上昇が見込まれる」としており、一定の経済効果が見込まれています。特にゴールデンウィーク期間中の来客数は前年比106.5%と高い水準を記録しており、今後のイベントシーズンにも期待が寄せられています。
一方で、物価高と賃金上昇のギャップに不安を抱える声も多く、百貨店関係者や衣料品専門店では「生活防衛意識が依然として高い」「高齢者層の消費が鈍ってきている」との指摘があります。お中元や季節商品の売上に関しても、送り先の縮小や購入自体の見送りが想定されるなど、先行きに不透明感が残っています。加えて、夏物商品の販売タイミングが合わず、秋物への需要もまだ立ち上がらないことから、仕入価格上昇との板挟みで価格設定に苦慮している状況も伝えられました。
製造業においても先行きへの懸念が根強く存在します。一般機械器具製造業や金属製品製造業の経営者からは「米国の関税政策による設備投資の先送り」や「受注の伸び悩み」への不安が語られ、特に輸送用機械関連では「電子デバイス事業の下振れ」「半導体事業の回復は秋以降」といった、短期的にはプラス材料に乏しい状況が報告されました。加えて建設業では「資材価格の高騰が続き、利益確保が難しい」との声もあり、事業継続への影響が懸念されています。
人材派遣や雇用関連の分野でも、採用の難しさが際立っています。人材派遣会社では「求人の動きはあるが、求職者の確保が難しい」「特に専門職の人材確保に苦労している」との声が多く、また職業安定所の職員も「有効求人数は前年並みであるが、物価高の不安が続く限り求人拡大は期待できない」との見解を示しています。新聞社の求人広告担当者からも「企業経営の不透明感から広告出稿に消極的」との指摘があり、労働市場においても景気の先行き不安が色濃く影を落としています。
特筆すべきは、消費に影響を及ぼす物価高が家計だけでなく企業活動にも直結しているという点です。例えば、自動車備品販売業では「食費以外の支出が抑制され、売上に直結する」と述べられ、また飲食料品卸売業では「販売価格への転嫁が難しく、利益圧迫が続く」との報告がありました。さらに広告代理店や企画業においても「先行き不透明な経済状況により、販促費を抑える企業が増加している」としており、経済全体への影響が連鎖的に広がっている実態がうかがえます。
このように、東北地方では一部に好材料が見られるものの、景気全体としては依然として厳しい状況が続いています。特に米国の通商政策や国内の物価上昇といった外的要因への懸念は根強く、消費マインドの回復には時間を要するとみられています。一方で、夏のイベントや旅行需要への期待感、暑さによる商品の動きなど、季節要因を活かした販売戦略が鍵となる場面も多く見られ、個別企業の努力次第で局地的な回復が図られる余地も残されています。企業や行政、地域社会が連携し、安心して消費・投資ができる環境を整えることが、今後の景気回復に向けた重要な課題となるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ