2025年6月22日
労務・人事ニュース
製造業の基本給335,948円、3.7%増加の背景にある技能人材の争奪戦(令和7年4月)
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「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月21日 22:37
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「夜勤なし」/正看護師/訪問看護/残業ありません
最終更新: 2025年6月21日 22:37
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「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年6月21日 22:37
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「夜勤なし」/正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月21日 22:37
毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果速報 第1表 月間現金給与額(厚労省)
2025年4月分の毎月勤労統計調査によって明らかになった給与の動向は、企業が今後の人事戦略を検討するうえで極めて重要な情報となります。特に採用活動においては、業界ごとの給与水準やその増減傾向を正確に把握することが、優秀な人材の確保や離職防止に直結します。本調査は、事業所規模5人以上の従業員を対象に行われたものであり、各産業の給与構造や変動の実態を浮き彫りにしています。
まず、「調査産業計」における全体の平均現金給与総額は302,453円で、前年同月比で2.3%の増加となりました。この増加傾向は、きまって支給される給与、所定内給与、特別に支払われた給与のすべてで見られ、特にきまって支給する給与は289,551円で前年より2.2%上昇し、所定内給与も269,325円で同じく2.2%の増加でした。所定外給与も2.2%増となり、時間外労働や休日出勤等に対する支払いも増えていることが分かります。これらの傾向は、企業全体として人件費の増加を受け入れている状況を示唆しており、賃上げやインフレ対応として給与水準を調整している様子が伺えます。
一方で、産業別に見ると、著しい伸びを示した業種も存在します。特に「鉱業、採石業等」では、現金給与総額が384,603円で前年同月比30.7%の大幅な増加となっており、これは全産業中で最も高い伸び率でした。きまって支給する給与も366,809円で24.8%増加し、所定内給与も339,341円で26.1%の増加と、基本給を中心に大幅な上昇が見られました。加えて、特別に支払われた給与も17,794円と前年比11.6%の伸びを示しており、賞与や一時金の増額も顕著です。このような賃金構造の変化は、人材確保が困難な業種における競争力の強化策と考えられ、今後も高水準の賃金が継続する可能性があります。
「建設業」もまた、注目すべき産業の一つです。同業種の現金給与総額は392,296円で、前年比2.0%増となり、きまって支給する給与は370,298円(2.7%増)、所定内給与は345,255円(2.2%増)でした。また、所定外給与は25,043円で、特別に支払われた給与は21,998円と、それぞれ前年比9.9%と大きな伸びを見せています。インフラ整備や再開発プロジェクトの増加などを背景に、建設業界では賃金水準の上昇が続いており、特に熟練技術者の確保が急務であることから、企業側の給与面でのアプローチが積極的になっていると考えられます。
また、「製造業」も安定した給与上昇を見せており、現金給与総額は347,518円で前年比3.1%の増加となりました。きまって支給する給与は335,948円(3.7%増)、所定内給与は303,959円(3.3%増)であり、産業全体として堅実な成長を見せています。製造業では、技能人材や工場労働者の確保に向けて待遇の見直しが進んでおり、とりわけ工場の自動化に伴う技術職の需要が増していることから、給与水準の引き上げが求められています。
さらに、所定外給与および特別に支払われた給与の項目にも着目すべきです。全体的に見れば、賞与や臨時手当などの「特別に支払われた給与」は12,902円で前年比4.1%の増加でした。これは、企業が定期給与のみに依存せず、業績連動型の報酬体系を採用していることの表れでもあります。また、所定外給与は20,226円で前年比0.8%の増加とやや控えめですが、それでも多くの業種で残業代等の上昇傾向が見られます。
企業の採用担当者にとっては、これらの産業別データを踏まえて、自社の給与体系が市場平均と比較してどの程度の競争力を持っているのかを常に検証する必要があります。特に、若年層や転職希望者にとって給与は重要な判断基準の一つであり、基本給や賞与、手当の構成についても透明性の高い説明が求められます。また、労働市場全体で賃金上昇が進んでいる現在、賃上げに踏み切れない企業は採用活動で苦戦する可能性が高くなっているため、待遇の柔軟な見直しが不可欠です。
加えて、パートタイムや非正規雇用に対しても、給与の水準や労働条件の整備を進めることが、企業ブランドの向上と人材確保の鍵となります。今後の人口減少社会においては、多様な働き手を支援する環境整備が、企業の持続的成長に直結すると言えるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ