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2025年6月22日

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パートの時給は1,362円に上昇、待遇改善が企業評価の鍵に(令和7年4月)

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毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果速報(厚労省)

2025年4月に公表された家計調査および毎月勤労統計調査の最新結果から、日本の家計と労働市場における消費・収入動向を詳しく読み解くことができます。企業の採用担当者にとっては、労働者の所得状況や消費傾向を把握することは、採用戦略や福利厚生の見直しに直結する重要な視点となります。ここでは、最新の統計データに基づき、実質的な生活水準、消費意欲、収入水準について深く掘り下げて解説していきます。

まず、総務省が公表した家計調査によれば、2025年4月における二人以上の世帯の消費支出は、1世帯あたり325,717円でした。この金額は前年同月比で名目4.0%増加している一方で、実質では0.1%の減少となっており、インフレの影響を強く受けていることが分かります。物価上昇により支出額は増えていても、実際に購入できるモノやサービスの量は減っているという現実がここから読み取れます。さらに前月比では季節調整値で1.8%の減少となっており、消費者が支出を慎重にしている傾向が見てとれます。

一方、勤労者世帯に限定した実収入のデータでは、1世帯あたりの収入は589,528円で、前年同月比で名目4.1%の増加を示しています。しかしながら、これを消費者物価指数で実質化すると、持家の帰属家賃を除いた指数では0.0%、総合指数で見ると0.5%の実質増に留まっています。つまり、名目では昇給や賞与によって給与が増加していても、実際の購買力としてはほとんど変化していないことが明らかです。これが消費支出の抑制にもつながっている可能性があり、企業にとっては従業員の生活満足度をどう高めるかが課題となります。

支出の内訳に目を向けると、教養娯楽や教育への支出が実質的に増加しており、特に教養娯楽は前年同月比で7.9%の増加、寄与度も0.75ポイントと非常に高くなっています。また、自動車関連費は2.4%の増加、教育費は5.1%の増加であり、これらは生活の質を高めるための投資と捉えることができます。一方で、諸雑費や仕送り金、保健医療費、被服費などの分野では支出が減少しており、優先順位の低い支出を削減する傾向が顕著です。特に諸雑費の実質減少率は8.6%と大きく、寄与度もマイナス1.51ポイントに達しています。

さらに、厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査の結果を見ると、賃金の推移にも興味深い動きがあります。就業形態を問わず現金給与総額は302,453円で、前年同月比で2.3%の増加となり、40か月連続でプラスを記録しています。特に一般労働者に限ると388,583円で2.6%の増加、パートタイム労働者の時間当たり給与も1,362円で3.6%の増加となり、賃金全体としては着実な上昇が続いています。

しかしながら、物価上昇の影響を加味した実質賃金指数は芳しくありません。現金給与総額を物価指数で実質化した結果、持家の帰属家賃を除いた消費者物価指数では83.7と前年比で1.8%の減少、総合指数で見ると85.2で1.3%の減少と、4か月連続でマイナスとなっています。これは名目の賃金上昇が実際の生活コストに追いついていないことを意味し、働く人々の実質的な生活水準が低下していることを示しています。

企業の採用担当者にとっては、このような賃金と物価のバランスに敏感である必要があります。特に新卒や若年層、中途採用者に対して、単に名目の給与を提示するだけでなく、その金額でどの程度の生活が可能か、また物価上昇にどう対応しているかを明示することが、求職者からの信頼につながります。また、福利厚生の一環として、教育費や通勤費の補助、娯楽費の支援などを柔軟に取り入れることで、従業員満足度を高める施策が重要になってくるでしょう。

パートタイム労働者についても同様です。彼らの時間当たり賃金は上昇しているものの、フルタイムと比較すると依然として生活に必要な水準には遠いと感じている労働者が多いのが現状です。採用活動では、給与面だけでなく働き方の柔軟性やキャリアアップ支援、生活支援制度の充実度が評価のポイントになります。

また、平均消費性向の動きにも注目です。2025年4月時点で、勤労者世帯の平均消費性向は季節調整値で63.9%となり、前月比で3.8ポイントの低下が見られました。これは所得のうちどれだけを消費に回しているかを示す指標であり、消費を控える傾向が高まっていることを意味しています。この傾向は、将来の不安や物価上昇による生活防衛意識の高まりによって生じていると考えられます。

このような状況においては、企業が単に賃金を引き上げるだけでなく、従業員が安心して働き、生活を維持できるような包括的な支援体制を整えることが求められます。柔軟な勤務体系、福利厚生の拡充、リスキリング支援などを組み合わせることで、求職者との信頼関係を築くことができ、結果として優秀な人材の確保と定着につながっていきます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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