2025年6月21日
労務・人事ニュース
木材自給率43%に回復、令和6年度森林・林業白書が示す国産材の可能性(令和6年度)
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最終更新: 2025年6月20日 22:32
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令和6年度 森林・林業白書を本日公表(林野庁)
令和6年6月3日、林野庁は「令和6年度森林・林業白書」を閣議決定し、正式に公表しました。今回の白書では、初めて「生物多様性の向上」に焦点を当て、森林と林業のあり方、そして木材の利用が環境保全とどのように結びつくかについて詳細に解説されています。特に生物多様性に資する林業経営のあり方や、持続可能な形で生産された木材の利活用の方向性などが豊富な事例とともに紹介されています。林野庁ではこの白書を通じて、国民全体が森林の価値を再認識し、その保全と活用への理解を深めることを目指しています。
白書は毎年、森林・林業基本法に基づいて作成されており、国の森林および林業に関する施策と動向を体系的にまとめています。令和6年度版では、国内外の企業や自治体が注目する「生物多様性」を中心テーマとすることで、SDGsやESG投資にも通じる森林の多面的価値を強調しています。日本の森林は約7割が人工林と天然林で構成されており、その多様な生態系は国際的にも高く評価されています。こうした自然資源をどのように持続可能に利用していくかが、今後の林業の成否を左右するとして、政策の舵取りがより重要になっています。
特集内では、企業活動における生物多様性への配慮が強まる中、林業が果たす役割についても取り上げられました。特に、単一樹種に頼らない多様な樹種の植栽や、伐採と再造林のバランスを取った管理が、生態系を守りながら持続的な収益にもつながる事例として紹介されています。また、これらの取り組みから生産される木材を、都市部の中高層建築に積極的に活用する動きも広がっています。木造建築の普及により、カーボンストックの観点からも注目が集まり、企業の環境戦略にも直結しています。
令和6年度のトピックスとしては、林業経営管理制度の導入から5年が経過し、その成果が具体的に示されました。全国の市町村が主体となって管理が進められたことで、放置林の減少や地域雇用の創出につながっています。また、今年度から新たに「林業技能士」という国家資格がスタートし、技能検定制度が林業分野でも整備されました。これにより、技術者の育成と職業としての魅力向上が期待されています。
さらに注目すべきは、木材自給率が43%にまで回復した点です。これは近年で最も高い数値であり、国産材の利用が急速に進んでいることを示しています。特に住宅以外の低層非住宅建築物や商業施設での活用が増加しており、地元産材の需要が地方経済の活性化にもつながっています。例えば、岡山県の津山信用金庫二宮支店では、地域材を用いた木造建築が採用され、環境性能とデザイン性の両立が実現されました。
林業と山村に関する章では、林業労働力の現状と課題、特用林産物としてのきのこや薪炭の活用、そして過疎化が進む中山間地域の振興策が紹介されています。また、違法伐採への対策や木材輸出の拡大、建築分野における木材の積極的な利用が記されており、林業の成長産業化に向けた布石が感じられます。
国有林の管理では、公益性を重視した経営が進められており、水源の保全や地球温暖化の防止など、多面的な機能の発揮が意識されています。さらに、東日本大震災からの復興における森林の役割も整理され、安全な特用林産物の供給体制や放射性物質対策の継続が重要視されています。
加えて、今年発生した令和6年能登半島地震や大雨による山地災害への対応状況も取り上げられました。治山対策や早期の復旧支援が講じられ、被災地域の再建に向けた取り組みが進められています。これらの災害は森林の防災機能を改めて浮き彫りにし、国民の防災意識の向上にも寄与しています。
令和7年度に向けた森林・林業施策についても、予算に基づいた具体的な方向性が示されており、今後の施策推進の軸となる内容が丁寧にまとめられています。気候変動や人口減少といった社会課題に対し、森林の持つ力をどう活かしていくかが問われる中で、本白書は企業や自治体、そして国民一人ひとりが果たすべき役割を考える貴重な資料となっています。
⇒ 詳しくは林野庁のWEBサイトへ