2025年8月8日
労務・人事ニュース
障害者差別の相談件数が前年比78.8%増、令和6年度は438件
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看護助手/甘木鉄道/西鉄甘木線/甘木駅から徒歩7分/徒歩8分
最終更新: 2025年8月14日 15:34
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介護職員/福岡市営地下鉄七隈線/別府駅/福岡県福岡市城南区
最終更新: 2025年8月14日 15:34
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介護職員/JR筑肥線/今宿駅福岡県/福岡市西区
最終更新: 2025年8月14日 15:34
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介護職員/朝倉市/西鉄甘木線/甘木駅から徒歩7,8分福岡県
最終更新: 2025年8月14日 15:34
「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和6年度)」を公表しました(厚労省)
厚生労働省は2025年6月25日、障害者の雇用における差別禁止と合理的配慮の提供義務に関する相談等の実績をまとめた令和6年度の結果を公表しました。この報告は、全国の都道府県労働局および公共職業安定所、いわゆるハローワークに寄せられた相談内容をもとに集計されたものです。特に注目すべき点として、障害者差別および合理的配慮の提供に関する相談件数が前年比78.8%という大幅な増加を示し、合計で438件に達したことが挙げられます。これは前年の245件から193件増加した計算となり、障害者雇用に対する企業や労働者の関心がより高まっていることを示しています。
この制度は、障害者の働く機会の確保や職場環境の整備を目的としており、企業に対しては差別的な取り扱いの禁止や、業務遂行に必要な合理的配慮を提供することが法律上求められています。厚生労働省は、こうした制度の趣旨に則り、寄せられた相談については迅速かつ丁寧な対応を行うとともに、関係する事業主に対して必要な指導・助言を行う体制を整えています。
今回の報告によると、ハローワークから事業主に対して実施された助言件数は13件で、前年の12件から微増となりました。また、法令違反が疑われるケースに対して行われた指導は1件ありましたが、都道府県労働局長による勧告件数については、前年同様0件となっています。このことは、違反が確認された場合でも、助言や指導によって是正が図られている可能性がある一方で、制度運用上の抑制的な対応姿勢も読み取れます。
さらに、雇用に関する紛争が発生した際に、労働局長が行う紛争解決の援助申立の受理件数は2件にとどまり、前年度の10件から大きく減少しています。一方で、障害者雇用調停会議による調停申請の受理件数は11件と、前年の9件から増加し、調停という中立的な手続による解決を志向する動きが徐々に広がっているといえます。
厚生労働省は、こうした相談や紛争解決の動向を受け、障害者の雇用環境をより良いものにするため、今後も制度の周知と相談対応の質の向上に努めるとしています。特に、事業主側が制度を正しく理解し、適切な対応が行えるよう、引き続き周知・啓発活動を展開する方針です。働きやすい社会の実現には、制度の存在だけでなく、それが実際に機能し、運用される環境の整備が欠かせません。今回のデータからは、社会全体として障害者雇用に対する認識と対応力が少しずつ進化している様子がうかがえます。
障害者の就労支援は企業の社会的責任の一環でもあり、人材確保の観点からも重要性が高まっています。特にダイバーシティ推進に積極的な企業では、合理的配慮のあり方や、相談対応の実例を参考に、社内体制の見直しを図る動きが活発化しています。今後も制度運用の透明性や公平性が保たれるよう、関係機関との連携のもと、的確な対応が求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ