2025年9月28日
労務・人事ニュース
過去最大の最低賃金1,121円に対応、中小企業向け支援策を包括的に発表
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最終更新: 2025年9月28日 00:34
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最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します(経産省)
この記事の概要
2025年度の最低賃金が全国加重平均で1,121円と過去最高額に引き上げられたことを受け、中小企業庁は中小企業・小規模事業者が賃上げに対応できるよう、補助金や税制優遇、制度緩和を含む包括的な支援策を発表しました。賃上げへの不安を解消し、持続的な成長につなげるための実践的な取り組みが多角的に進められています。
2025年9月5日、各都道府県の地方最低賃金審議会により、今年度の最低賃金が正式に決定されました。全国加重平均は1,121円となり、前年と比べて6.3%の引き上げとなる非常に大きな変化です。これは過去に例を見ない高水準であり、働く人々の生活安定に寄与する一方で、経営資源に限りのある中小企業・小規模事業者にとっては大きな負担ともなり得ます。こうした背景を踏まえ、中小企業庁は、賃金引上げに対応するための新たな支援策を含む包括的な取り組みを発表しました。これは、労働環境の改善と同時に、地域経済の持続的な発展を促すものとして注目されています。
まず、賃上げの原資を確保するための取り組みとして、価格転嫁の促進が大きな柱となっています。特に、2026年1月に施行が予定されている中小受託取引適正化法、いわゆる「取適法」の実施に向けた準備が着実に進められています。価格交渉力に乏しい中小事業者が適切な利益を得られるよう、3月に続き9月も価格交渉促進月間として強力なフォローアップが行われます。この取り組みにより、取引先との価格交渉の環境が整い、収益確保の体制強化が期待されています。
次に、財政的な支援については、複数の補助金制度が継続および強化されます。持続化補助金では、販路開拓や事業の効率化など、最低賃金引上げによって経営に影響を受ける企業を対象とし、個別のニーズに対応する支援が行われます。また、赤字企業であっても利用可能な賃上げ促進税制が中小企業向けに用意されており、将来の黒字転換を見据えた柔軟な支援が実施されます。さらに、生産性革命推進事業を通じて、業務の自動化・省力化といった経営基盤の強化も同時に支援されます。これらの制度は、単なる経費補填にとどまらず、将来的な競争力の向上を視野に入れた構成となっています。
今回新たに示された支援策として特に注目されるのが、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金の3つに関する要件の緩和および審査における優遇措置の導入です。これにより、今まで補助金の申請にハードルを感じていた事業者でも、申請しやすくなる環境が整えられます。例えば、省力化投資補助金の一般型では、賃上げを進める企業が機械設備やITツールへの投資を行う際に、審査時に優遇されることで、採択率の向上が見込まれます。このような制度改正は、人的コストが上昇する中で、生産性を維持・向上させるための現実的な選択肢を提供するものです。
また、地域経済全体への波及効果を意識した支援として、売上100億円規模を目指す成長意欲のある中小企業に対する集中支援も行われます。これは、単なる中小企業支援にとどまらず、地域全体の産業構造を底上げするための戦略的な施策です。加えて、事業承継や再生支援といった経営上の課題に直面している事業者に向けた相談体制も強化され、経営者が抱える不安や悩みに対して、専門的な伴走支援が提供される体制が構築されます。
これらの施策に加え、最低賃金の引き上げという現実を前向きな経営改善のきっかけとして活かせるよう、中小企業・小規模事業者が「稼ぐ力」を身につけられる支援にも注力されます。これは単なる助成金の給付にとどまらず、企業自身が経営を見直し、成長の方向性を見出すための「気づき」を促す仕組みとして位置づけられています。専門家による経営診断や実践的なアドバイスを通じて、企業が主体的に行動できるよう支援が行われるのです。
中小企業庁は今後も、最低賃金引上げにともなう事業者の経営環境の変化に柔軟に対応しながら、持続可能な経済成長を支える基盤としての中小企業を力強く後押ししていく方針です。過去最大となる今回の賃上げ幅に対し、制度的、財政的、実践的な支援を重層的に整備することにより、企業の不安を解消し、前向きな経営判断を支える土壌が築かれようとしています。企業の採用担当者にとっても、従業員の処遇改善が企業イメージの向上や優秀な人材確保につながることを踏まえると、こうした支援策を積極的に活用し、自社の成長戦略と整合させることが極めて重要です。
今回の支援策の発表は、単なる一時的な対応ではなく、構造的な賃上げと経営力向上を同時に目指す中小企業政策の転換点ともいえる内容であり、これからの企業経営に大きな影響を与える可能性があります。
この記事の要点
- 2025年度の最低賃金が全国平均で1,121円に引き上げられた
- 中小企業向けに価格転嫁を促進する制度的支援が強化されている
- 持続化補助金や賃上げ促進税制を通じて財政的支援が拡充される
- ものづくり補助金やIT導入補助金で要件緩和・審査優遇が実施される
- 売上100億円規模を目指す企業への成長支援が新たに展開される
- 事業承継や再生支援に関する相談体制の強化が図られている
- 企業の「稼ぐ力」を引き出す伴走型の支援が重視されている
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ