2025年11月28日
労務・人事ニュース
令和7年9月 愛媛県の有効求人倍率1.42倍 採用競争が続く地方労働市場
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最終更新: 2025年11月27日 21:30
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管内の雇用失業情勢(令和7年9月分)について(愛媛労働局)
この記事の概要
令和7年9月の愛媛県における有効求人倍率(季節調整値)は1.42倍となり、前月から0.03ポイント低下し3か月ぶりの下落となった。正社員有効求人倍率(原数値)は1.21倍で、前年同月比0.04ポイント上昇し、19か月連続の上昇を維持した。地域別では中予地域が1.40倍と好調を示す一方、東予・南予地域では減少傾向が見られる。この記事では、愛媛労働局発表の統計をもとに、県内雇用の実情を詳しく分析し、中小企業がこの採用環境をどのように活かしていくべきかを解説する。
令和7年9月の愛媛労働局による発表では、有効求人倍率(季節調整値)が1.42倍となり、前月からわずかに低下した。これまで2か月連続で上昇していたが、3か月ぶりの減少に転じたことは、県内企業の採用意欲が一服したことを示している。一方で、全国平均の1.20倍を依然として上回り、愛媛県の労働需給は全国的に見ても依然として「売り手市場」にある。正社員の有効求人倍率は1.21倍で前年同月比0.04ポイント上昇しており、19か月連続で上昇を続けている。このことは、企業が引き続き安定雇用を前提とした人材確保を志向していることを示す重要なサインである。
地域別にみると、東予地域は1.33倍(前年同月差▲0.15ポイント)、中予地域は1.40倍(同+0.20ポイント)、南予地域は1.41倍(同▲0.06ポイント)となっている。中予地域では求人数の増加が顕著であり、松山市を中心とした企業活動の活発化が背景にあると考えられる。一方で、製造業が盛んな東予地域や、観光・農林業に依存する南予地域では求人倍率が低下しており、地域経済の構造的な差が浮き彫りになっている。
新規求人数(原数値)は9,847人で、前年同月比5.4%減となり、2か月連続の減少となった。特に減少が目立ったのは「卸売業・小売業」(▲20.0%)、「宿泊業・飲食サービス業」(▲19.2%)、「運輸業・郵便業」(▲11.0%)、「建設業」(▲6.9%)、「医療・福祉」(▲3.9%)、「製造業」(▲3.8%)である。一方で、「サービス業(他に分類されないもの)」は15.5%増と前年同月を上回り、デジタル化関連業務や業務委託型ビジネスの拡大が影響しているとみられる。
一方、新規求職者数は3,974人で、前年同月比1.6%減となり、4か月ぶりの減少であった。求職者数の減少は、労働市場の供給側の縮小を意味しており、特に若年層や女性の労働参加が限定的であることが課題として浮かび上がる。愛媛県では少子高齢化が進行しており、労働力人口の減少は今後も続くと予測されている。このような中で、求人倍率が高止まりすることは、企業がいかに優秀な人材を確保するかという「採用競争の激化」を示している。
愛媛労働局は「雇用情勢は求人が求職を上回って推移しているが、今後も物価上昇等が雇用に与える影響に注意が必要」と指摘している。つまり、採用意欲自体は底堅いが、コスト上昇による企業経営への負担が採用活動に影響を与える可能性があるということだ。企業が賃金を上げる圧力を感じる一方、収益環境が厳しくなる状況が続いている。
ここで、中小企業の採用担当者が注目すべきは「数値の裏にある動き」である。有効求人倍率が1.42倍ということは、求職者1人に対して1.42件の求人があるということだが、これはすなわち「求職者の選択肢が豊富である」ことを意味する。言い換えれば、企業側から見れば「選ばれる立場」にある。したがって、単に求人を出すだけでは人材を確保できず、自社の魅力を正しく伝え、求職者が納得して応募できる環境を整えることが求められる。
業種別に見ると、サービス業や医療・福祉業では引き続き求人が多く、特に介護職や看護職といった現場系の職種で人手不足が顕著である。これらの業種では、賃金面の改善だけでなく、勤務の柔軟性や研修制度の充実が求職者の関心を引く要素となる。また、宿泊・飲食業界では求人が減少傾向にあるが、これは一部企業が業務効率化やデジタルシフトによって人員を削減している影響もある。一方で、観光需要の回復を見越して採用を再開する動きも見られ、来春にかけて求人が再び増加に転じる可能性もある。
製造業では新規求人が前年同月比3.8%減となったが、これはエネルギーコストの上昇や為替変動による生産調整の影響を受けた結果である。しかし、東予地域を中心に技能人材の確保は依然として重要課題であり、特に若年層の育成を重視した採用戦略が必要である。たとえば、未経験者を対象とした研修制度や、入社後のキャリアパスを明確に提示することで、応募者の安心感を高めることができる。
中小企業が今後の採用活動を進める上で意識すべきは「地域の実情に根ざした採用戦略」である。愛媛県は県内でも地域ごとに産業構造が異なるため、同じ求人戦略が通用しない。松山市を中心とする中予ではオフィスワークやサービス業が中心であり、柔軟な働き方を打ち出すことで応募が集まりやすい。一方、東予では製造・物流関連の求人が多く、技能や資格をアピールする採用手法が有効だ。南予では農林水産や観光業など地域密着型の職種が多く、「地域に貢献できる働き方」を打ち出すと共感を得やすい。
また、デジタルを活用した採用活動も今後ますます重要になる。ハローワークインターネットサービスでは、オンライン上で求職登録を行う求職者が増加しており、企業はオンライン求人票の内容にも力を入れる必要がある。写真や動画、社員インタビューを活用して、企業文化や職場の雰囲気を具体的に伝えることが、採用成果を左右する。
さらに、リスキリング(再教育)の重要性も高まっている。愛媛労働局では、雇用のミスマッチ解消に向けてリスキリング支援を推進しており、企業にとっても「育てる採用」が求められている時代である。中小企業にとって、経験者を採ることは難しい場合も多いが、ポテンシャル人材を採用し、入社後に教育・育成する体制を整えることで、長期的な戦力化が可能になる。
最後に、愛媛県の雇用環境は安定しているが、労働力人口の減少と物価上昇の影響を受ける中で、今後の採用市場はますます厳しくなることが予想される。中小企業の採用担当者は、有効求人倍率という「指標の数字」だけでなく、その背後にある「人の動き」と「地域の変化」を読み解く力を持つことが求められる。採用はもはや単なる募集活動ではなく、経営戦略の一部であり、地域社会との共存を視野に入れた持続可能な人材確保こそが、これからの鍵となる。
この記事の要点
- 令和7年9月の愛媛県の有効求人倍率は1.42倍で3か月ぶりの低下
- 正社員有効求人倍率は1.21倍で19か月連続上昇
- 中予地域では1.40倍と上昇、東予・南予では減少傾向
- 新規求人は5.4%減、サービス業のみ前年を上回る
- 求人が求職を上回る構造が続き、採用競争が激化
- 中小企業は地域特性と柔軟な働き方を重視した採用戦略が重要
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ


