2025年12月6日
労務・人事ニュース
求人横ばいで採用抑制続く、2025年10月先行き四国労働市場の現実
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景気ウォッチャー調査（令和７年10月調査）― 四国（先行き）―（内閣府）
この記事の概要
令和7年10月に実施された四国地方の景気ウォッチャー調査では、新政権の誕生と株価上昇を背景に経済への期待感が高まる一方で、物価高や最低賃金の引き上げによる企業経営への影響が顕在化していることが明らかになった。小売・観光業では年末商戦を控えて売上増加の見込みが示される一方、製造業や建設業では資材高と採算悪化により慎重な姿勢が続く。雇用面では求人は例年並みを維持しているが、最低賃金上昇に伴う人件費増加が採用意欲を抑える傾向にあり、有効求人倍率の上昇は限定的である。
令和7年10月の四国地方では、新政権発足により経済政策への期待が高まり、地域全体に心理的な明るさが広がった。商店街では初の女性首相誕生を歓迎する声が多く、株価上昇も相まって「久しぶりに景気が良くなるのでは」との期待感が見られた。特に年末を控えた酒類やギフト関連商品の販売が好調で、歳暮需要により売上増加が見込まれている。ショッピングセンターでも来客数が回復傾向にあり、近隣イベントの開催を背景に売上が上向いている。
一方で、物価高の影響は依然として深刻である。スーパーでは客単価の上昇傾向が続くものの、来客数は減少しており「売上は前年割れが始まっている」との報告がある。特に人件費と光熱費の上昇が経営を圧迫しており、採算確保が課題となっている。コンビニエンスストアでは時給上昇に対して売上が追い付かず、経営者の間で「買い控えが増えており、今後は消費意欲がさらに低下する」との懸念が強まっている。衣料品専門店でも物価高が消費を直撃しており、「顧客との会話の中で購買意欲の低下を感じる」との声が相次いでいる。
観光業では年末年始の9連休を見据えて観光客の増加が見込まれており、遊園地や宿泊施設では稼働率上昇が期待されている。特に年末行事やイベントが重なる12月には来客が増加する見込みで、観光産業が地域経済の下支え役となる可能性がある。タクシー業界でも年末の宴会シーズンに向けて利用増が見込まれているが、「保有台数がコロナ禍前の半分に減っており、対応が難しい」との声もあり、人手不足が回復を阻む要因となっている。
製造業では、半導体関連の電気機械器具製造や木材製品製造で堅調な動きが見られる。木材業では「住宅メーカーの受注が好調で、価格転嫁を進めて下期は利益を確保したい」との前向きな声が聞かれた。また、食料品製造業では「原材料や物流費の高騰が続いているが、販売価格を調整し利益を確保できている」とし、収益改善に手応えを感じる企業もある。しかし、金属製品や繊維業では採算が悪化し、「採用コスト増で人件費を吸収できない」との悲鳴が上がっている。
建設業では新政権の積極財政方針への期待感が強く、「公共事業の拡大により受注が増加する可能性がある」との見方が示された。設計事務所では「建築費高騰の影響で設備投資を控えていた企業がようやく動き出した」との報告もあるが、全体としては資材価格の高止まりが続き、利益率は依然として低水準にとどまっている。通信業や広告業では販路拡大への動きが見られる一方、販売促進費用を抑制する企業が増えており、経済の持続的な活性化には至っていない。
雇用情勢においては、求人は横ばいながらも年末にかけてアルバイト募集が増加傾向にある。求人情報誌制作会社では「年末年始の繁忙期に向けて短期求人が増加している」との報告がある一方、人材派遣会社では「最低賃金の上昇が予想以上に大きく、利益を圧迫している」との声も上がる。職業安定所によれば、「パートやアルバイトでは時給が上がっても年収の壁の影響で実質的な収入増は限定的」とされ、家計への効果は薄い。民間職業紹介機関は「都市部では求人が増加しているが、地方では横ばいが続く」とし、地域間格差の広がりを懸念している。
また、新聞社の求人広告担当者からは「最低賃金の上昇で地方の中小企業は厳しくなり、採用活動を縮小する可能性がある」との指摘もある。実際、採用担当者の間では「コスト増が経営を直撃しており、求人を出す余力がない」との声が増えている。求人関連企業の担当者は「製造業では受注量が増えつつあり、観光サービス業でも人手不足が続いている」とし、人材需要の底堅さを評価する一方で、「企業の採用姿勢は慎重」と述べている。
総じて、四国地方の経済は新政権の誕生による期待感と株高を追い風に回復の兆しを見せるが、物価上昇と人件費増が企業経営に影を落としている。観光や製造業の一部では堅調な動きがあるものの、求人動向は横ばいで、有効求人倍率の上昇は鈍化している。今後の景気回復は、賃金上昇を実質所得増につなげられるかどうかが鍵となる。
この記事の要点
- 新政権発足と株高で経済への期待感が高まる
- スーパーやコンビニで物価高の影響が続き売上が鈍化
- 観光業では年末年始に向けて需要増加が見込まれる
- 製造業では木材・半導体関連が堅調だが採算悪化企業も存在
- 最低賃金上昇により中小企業の採用意欲が抑制
- 求人は横ばいで有効求人倍率の上昇は限定的
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ
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