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2026年3月19日

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令和8年1月茨城県有効求人倍率1.10倍が示す求人減少10.8%の背景

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令和8年1月茨城県有効求人倍率1.10倍と求人減少10.7%

令和8年3月3日午前10時30分、茨城労働局は令和8年1月分の県内雇用情勢を公表した。発表によると、茨城県の有効求人倍率は季節調整値で1.10倍となり、前月を0.03ポイント下回った。県内の雇用情勢については、求人が求職を上回って推移しているものの、改善の動きが一段と弱まっているとの判断が示されている。なお、この基調判断は令和7年4月以降10か月連続で据え置かれており、物価上昇など外部要因が雇用に与える影響を引き続き注視する必要があるとされている。

具体的な数値を確認すると、月間有効求人数は季節調整値で41,690人となり、前月比1.4%減で2か月ぶりの減少となった。有効求職者数は37,729人で前月比0.5%増と3か月連続の増加である。この結果、求人側の減少と求職者側の増加が重なり、倍率は低下した。全国の有効求人倍率は1.18倍であり、茨城県の1.10倍は全国34番目の水準となっている。

新規求人の動向を見ると、原数値で15,885人となり、前年同月比10.8%減と13か月連続の減少である。新規求人倍率は季節調整値で1.78倍となり、前月を0.32ポイント下回った。新規求職申込件数は8,113件で前年同月比1.7%減と2か月ぶりの減少であるが、求人の落ち込み幅の方が大きいことがわかる。就職件数は1,486件で前年同月比4.8%減、充足数は1,393人で3.5%減となり、企業と求職者のマッチングもやや弱含んでいる。

正社員の状況に目を向けると、正社員有効求人倍率は原数値で1.03倍となり、前年同月を0.11ポイント下回った。正社員の月間有効求人数は21,265人で前年同月比6.1%減、常用フルタイムの有効求職者数は20,552人で3.2%増である。正社員求人は依然として求職者数を上回っているものの、その余裕幅は縮小している。採用の質を重視する企業にとっては、慎重な環境が続いているといえる。

産業別に新規求人をみると、増減の差が顕著である。運輸業・郵便業は1,001人で前年同月比9.0%増、生活関連サービス業・娯楽業は760人で3.8%増となった。一方で、サービス業(他に分類されないもの)は2,209人で25.9%減、医療・福祉は4,881人で9.8%減、卸売業・小売業は1,056人で28.0%減と大幅な減少が続いている。製造業は2,100人で0.3%減とほぼ横ばいであるが、内訳を見ると生産用機械器具製造業が132人で69.2%増、金属製品製造業が283人で20.4%増と分野ごとの差がある。地域経済の中核である製造業でも業種によって明暗が分かれている。

規模別では、29人以下の事業所が9,521人と全体の過半を占めている。中小規模事業所の動向が県内雇用を大きく左右している構図であり、特に30人未満の企業における採用戦略が地域全体の雇用安定に直結する。

雇用保険の動向では、受給資格決定件数は前年同月比0.1%減と小幅な減少であったが、受給者実人員は9.2%増と9か月連続で増加している。資格喪失者数は6.0%減、うち事業主都合離職者は31.4%減と大きく減少している点は注目される。企業都合による離職が抑制されている一方で、受給者数が増えている背景には自己都合離職や雇用保険の受給期間の影響も考えられる。

これらのデータを踏まえると、有効求人倍率1.10倍という数字は単純な人手不足を示すだけではない。求人総数が前年同月比10.7%減、正社員求人も減少傾向にある中で、求職者数は増加している。中小企業の採用担当者は、この構造変化を冷静に読み解く必要がある。

まず、求人倍率が1倍を超えているとはいえ、求職者が増えている局面では、従来よりも応募者との接点を持ちやすくなる可能性がある。特に正社員有効求人倍率が1.03倍まで低下している現状では、待遇面だけでなく、職務内容や教育制度を具体的に提示することで選ばれる確率が高まる。曖昧な表現ではなく、年間休日数、平均残業時間、初年度研修時間などを明示することが信頼につながる。

また、新規求人が13か月連続で減少している事実は、競合企業も採用を抑制していることを意味する。こうした局面では、景気回復時を見据えた計画的採用が差別化要因となる。特に製造業や運輸業で需要が底堅い分野では、技能承継や若手育成を目的とした中長期視点の採用が有効である。

さらに、事業主都合離職者が31.4%減少していることから、雇用の安定性は一定程度維持されている。転職市場においては自己都合離職者が中心となるため、キャリアアップ志向の人材に対し、自社で実現できる成長機会を具体的に示すことが重要である。

有効求人倍率1.10倍という数字は、売り手市場と買い手市場の境界線に近い水準ともいえる。中小企業は統計データを表面的に受け止めるのではなく、自社の業種、規模、地域特性を照らし合わせて戦略を構築すべきである。公的統計という客観的データに基づき、透明性のある情報発信を行うことが、求職者からの信頼獲得につながる。採用活動は単なる人員補充ではなく、企業価値を示す重要な機会である。茨城県の雇用情勢が転換点を迎えつつある今こそ、数値を根拠とした戦略的な取り組みが求められている。

⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ

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