2026年3月18日
労務・人事ニュース
令和8年1月佐賀県有効求人倍率1.19倍と新規求人倍率1.66倍
令和8年1月佐賀県求職者増加6.0%の意味
令和8年3月3日、佐賀労働局は令和8年1月分の一般職業紹介状況を公表した。今回の発表によると、令和8年1月の有効求人倍率は受理地別かつ季節調整値で1.19倍となり、前月と同水準で推移した。全国平均の1.18倍、九州・沖縄の1.08倍をいずれも上回っており、佐賀県の雇用情勢は引き続き求人が求職を上回る状況にある。一方で、有効求人倍率を就業地別でみると1.31倍となり、前月から0.02ポイント低下している。地域内外の就業機会の違いが数値に反映されている点は見逃せない。
季節調整値での動きを詳しくみると、月間有効求職者数は15,748人で前月比3.3%増加し、月間有効求人数は18,664人で前月比3.0%増加した。求職者、求人数ともに増加したものの、増加率は求職者がやや上回っている。新規の動向では、新規求職者数は3,825人で前月比4.7%増加した一方、新規求人数は6,364人で前月比7.3%減少した。その結果、新規求人倍率は1.66倍となり、前月から0.22ポイント低下している。全国の新規求人倍率2.11倍と比較すると低い水準であり、新規採用市場の勢いはやや慎重さを帯びている。
原数値でみた求人の動向では、新規求人数は7,391人で前年同月比0.6%減少した。有効求人数は19,666人で前年同月比1.4%減少している。前年と比べると、企業側の求人意欲は全体として横ばいからやや弱含みといえる。一方で求職の動向は対照的だ。新規求職者数は4,472人で前年同月比11.3%増加し、有効求職者数も14,998人で前年同月比6.0%増加した。求職者の増加が顕著であることは、雇用環境に変化が生じている可能性を示している。
正社員に関する指標も重要である。正社員有効求人倍率は1.13倍となり、前年同月の1.25倍から0.12ポイント低下した。正社員新規求人数は3,369人で前年同月比9.1%減少し、正社員有効求人数は9,615人で前年同月比6.2%減少している。正社員採用においては依然として求人超過ではあるが、前年よりも競争環境は緩やかになっている。
産業別に新規求人をみると、建設業は前年同月比12.5%増、運輸業・郵便業は10.3%増、宿泊業・飲食サービス業は14.9%増、医療・福祉は1.9%増、サービス業は8.8%増と増加した業種も多い。一方で製造業は1.5%減、卸売業・小売業は21.3%減と減少が目立つ分野もある。特に卸売業・小売業の減少幅は大きく、消費動向や事業再編の影響がうかがえる。業種ごとのばらつきは、企業の採用戦略に直接影響を与える要素となる。
ハローワークのマッチング機能に関する主要指標では、1月の就職件数は1,074件、充足数は1,076件となった。雇用保険受給者の早期再就職割合は12月実績で47.0%となっており、一定の再就職支援効果がみられる。雇用保険の受給資格決定件数は934件で前年同月比9.5%増加し、受給者実人員は3,084人で前年同月比7.0%増加した。失業給付の動向からも、求職活動が活発化していることが読み取れる。
こうした状況を踏まえ、中小企業の採用担当者は有効求人倍率1.19倍という数字をどのように活用すべきだろうか。1倍を超えている以上、基本的には求人が優位な市場である。しかし前年同月の1.28倍からは低下しており、求職者の増加が目立つ現状は、採用環境に変化の兆しがあることを意味する。過度な売り手市場を前提とした高コストの採用競争から、より選考精度を高める戦略へと転換する余地がある。
特に正社員有効求人倍率が1.13倍まで低下している点は重要だ。以前よりも応募母集団を確保しやすい可能性があるため、求人票の内容を見直し、業務内容や評価制度、キャリア形成の道筋を具体的に示すことで、質の高い応募を引き寄せることができる。単に賃金条件を提示するだけでなく、自社の強みや実績、育成制度を明確に発信することが信頼性向上につながる。
また、産業別の動向を踏まえることも欠かせない。建設業や宿泊業が増加している一方、卸売業・小売業が減少しているという事実は、労働力の流動が起きる可能性を示唆する。異業種からの転職者を受け入れるためには、未経験者向けの研修制度や資格取得支援制度を整備し、その実績を具体的な数値で示すことが効果的だ。経験や専門性を示す情報開示は、求職者に安心感を与える。
さらに、新規求人倍率が1.66倍まで低下していることから、新規採用市場はやや落ち着きを見せている。求人を出すタイミングや募集方法を戦略的に検討し、オンライン媒体やハローワークの機能を積極的に活用することが重要だ。応募経路が多様化している現在、デジタル対応の有無が応募数に直結する。
令和8年1月の佐賀県の有効求人倍率1.19倍は、単なる統計値ではなく、企業経営に直結する指標である。求職者数の増加、求人の横ばい傾向、正社員求人の減少など、複数の要素を総合的に読み解く必要がある。中小企業にとっては、採用の難易度がわずかに緩和している今こそ、自社の人材戦略を見直し、育成と定着を重視した長期的視点の採用活動へと舵を切る好機といえる。公的データに基づいた客観的な分析と、自社の実績を裏付ける具体的な情報発信を組み合わせることで、変化する労働市場の中でも安定した人材確保が可能となる。
⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ


