2026年3月21日
労務・人事ニュース
令和8年1月高知県有効求人倍率1.11倍と正社員0.96倍
令和8年1月高知県有効求人倍率1.11倍と就職率20.8%
高知労働局が令和8年3月3日に公表した令和8年1月の雇用失業情勢によると、高知県の有効求人倍率は受理地別の季節調整値で1.11倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。これで3か月連続の上昇となります。有効求人数は14,216人で前月比387人増、増加率は2.8%でした。有効求職者数も12,797人と前月より232人増え、1.8%の増加となっています。求人と求職の双方が増加する中で、求人の伸びが上回った結果、倍率は改善しました。ただし、水準としては全国平均1.18倍を下回り、全国順位は33番目となっており、地域間での差も見逃せません。
新規求人倍率は1.91倍で、前月より0.14ポイント低下し3か月ぶりの減少となりました。新規求人数は5,142人で前月比21人増の0.4%増加、新規求職者数は2,690人で前月比190人増の7.6%増加でした。足元では求職者の動きが活発化している一方で、新規求人倍率は低下しており、採用市場における需給バランスはやや変化の兆しを見せています。
正社員有効求人倍率は原数値で0.96倍となり、前年同月と同水準でした。1倍を下回る状況が続いていることは、正規雇用に限定すると依然として求職者数が求人数を上回っていることを意味します。企業が正社員採用に慎重な姿勢を保っていることや、求職者側の希望条件とのミスマッチが背景にある可能性があります。
原数値でみた新規求人数は5,781人で、前年同月比197人減、減少率は3.3%となりました。新規求職者数も2,959人で前年同月比77人減、2.5%減少しています。産業別にみると、増加したのは農林漁業で17人増の22.7%増、卸売業・小売業で64人増の8.9%増、公務・その他で235人増の51.1%増などでした。一方、製造業は76人減で17.6%減、生活関連サービス業・娯楽業は67人減で35.3%減、医療・福祉は157人減で9.2%減となり、9業種で減少が見られます。業種ごとの動向には明確な差が生じており、地域経済の構造変化が採用動向に影響を与えていることが読み取れます。
就職件数は616件で前年同月比47件減の7.1%減少、4か月連続の減少となりました。就職率は20.8%で前年同月を1.0ポイント下回っています。採用活動が行われている一方で、実際の就職に結び付く割合は低下しており、企業と求職者の間で条件やスキルのすり合わせが十分に進んでいない可能性があります。
雇用保険被保険者数は186,600人で、前年同月比2,658人減の1.4%減少となり、74か月連続の減少です。長期的に見ると労働力人口の減少傾向が続いており、地域の中小企業にとっては採用母集団そのものが縮小している現実に直面しています。
また、就業地別有効求人倍率は1.18倍で前月比0.01ポイント低下しました。就業地別新規求人倍率は1.98倍で前月より0.28ポイント低下しています。就業地ベースでみると求人は一定水準を維持していますが、新規求人の勢いにはやや陰りが見えます。安定所別では高知所が1.42倍、須崎所が1.26倍、四万十所が0.77倍、安芸所が0.94倍、いの所が0.73倍となっており、地域内でも大きな差があります。
こうした数値を中小企業の採用担当者はどのように読み解くべきでしょうか。有効求人倍率1.11倍という水準は、全体としては求人が求職を上回っている状態を示しますが、全国平均を下回る現状を踏まえると、他地域と比較した人材流出リスクも考慮する必要があります。特に若年層や専門職は都市部へ流れる傾向があるため、地元企業は地域に根差した働きがいや生活の安定性を具体的に示すことが重要です。
正社員有効求人倍率0.96倍という結果は、正社員枠では比較的応募を集めやすい可能性を示唆します。ただし、就職率20.8%という数値からは、単に求人を出すだけでは採用成功に直結しないことがわかります。選考プロセスの迅速化や、応募者との丁寧なコミュニケーションが不可欠です。求人票には賃金や労働時間だけでなく、研修制度やキャリアパス、評価制度を明確に記載し、信頼性の高い情報提供を行うことが求められます。
また、産業別で医療・福祉や製造業の新規求人が減少している点は、業界全体の構造的課題を示している可能性があります。人材確保が難しい業種では、既存社員の定着率向上に力を入れることも戦略の一つです。賃金改善が難しい場合でも、柔軟な勤務制度や福利厚生の充実、資格取得支援など具体的な施策を打ち出すことで、応募者の関心を引くことができます。
雇用保険被保険者数が74か月連続で減少している事実は、長期的な労働力不足を裏付けています。採用活動を単年度の計画で終わらせるのではなく、中長期的な人材育成計画を策定し、地域の高校や専門学校との連携を強化することも有効です。インターンシップや職場見学の機会を設けることで、将来的な応募者層を育てる取り組みが求められます。
令和8年1月の高知県有効求人倍率1.11倍という数値は、一見すると安定した水準に見えますが、その内訳を丁寧に分析すると課題と機会の両面が浮かび上がります。公的統計に基づく客観的なデータを活用し、自社の立ち位置を冷静に把握することが採用成功の第一歩です。地域経済の動向を踏まえた戦略的な採用活動こそが、持続的な企業成長につながります。
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ


