2026年4月20日
労務・人事ニュース
令和8年2月 北海道有効求人倍率0.90倍から見る求人減少の影響
令和8年2月北海道有効求人倍率0.90倍から見る職種別需給
令和8年3月31日、北海道労働局が公表した令和8年2月の雇用失業情勢によると、北海道の有効求人倍率は0.90倍となり、前年同月の0.96倍を0.06ポイント下回る結果となった。これは求人よりも求職者の方が多い状況を示しており、全国平均と比較しても厳しい雇用環境にあることが読み取れる。実際に同資料でも、道内の雇用情勢は求職に対して求人の動きに弱さが見られると明記されており、企業側の採用姿勢に変化が生じていることが示唆されている。
まず全体像として、有効求人数は72,667人で前年同月比5.9%減少し、8か月連続で前年を下回っている。一方で有効求職者数は80,824人で前年同月比0.9%増加しており、6か月連続で増加している。このように求人が減少し求職者が増加する構造は、企業にとって採用しやすい環境と捉えられがちだが、実際には単純ではない。なぜなら、求職者数が増えているにもかかわらず、企業と求職者のニーズの不一致が拡大している可能性が高いからである。
新規求人の動向を見ると、25,331人と前年同月比7.6%減少し、8か月連続の減少となった。特に宿泊業・飲食サービス業が30.4%減、運輸業・郵便業が19.7%減、製造業が14.8%減と大きく落ち込んでおり、地域経済の基盤となる業種で求人抑制が進んでいる。一方で建設業は1.9%増、サービス業は1.3%増と一部で持ち直しの動きも見られるが、全体を押し上げるまでには至っていない。このような業種間の差は、求職者の志向とのミスマッチを引き起こし、採用の難易度をさらに高める要因となる。
さらに注目すべきは正社員の有効求人倍率が0.81倍と前年同月より0.03ポイント低下している点である。正社員求人は13,700人で全体の約52.0%を占めているが、その割合も伸び悩んでいる。これは企業が人件費や将来の不確実性を考慮し、正社員採用に慎重になっていることを意味する。一方で求職者側は安定した雇用を求める傾向が強く、ここでも需給のズレが発生している。
求職者の構成を見ると、新規求職申込件数は14,884人で前年同月比0.3%減少しているものの、有効求職者数は増加している。特に在職者や自己都合離職者の割合が一定数存在しており、より良い条件を求めて転職活動を行う層が増えていることがうかがえる。このような層は企業選びに慎重であり、単に求人を出すだけでは採用につながらない。
地域別に見ると、有効求人倍率には大きな差が存在する。例えば岩内では1.77倍、浦河では1.74倍と求人が求職を大きく上回る地域がある一方で、札幌東では0.69倍、函館では0.74倍と求職者が多い地域もある。このような地域差は採用戦略に直接影響を与えるため、中小企業は自社の所在地だけでなく、周辺地域の動向も踏まえて人材確保の方法を検討する必要がある。
こうしたデータから中小企業の採用担当者が導き出すべき結論は、有効求人倍率0.90倍という数値を単なる「採用しやすい環境」と誤解してはならないという点にある。むしろ重要なのは、求職者が増えているにもかかわらず採用が難しい理由を正しく理解することである。その背景には職種別の需給ギャップが存在する。例えば建築・土木・測量技術者は6.02倍、保安職は3.04倍と極端な人手不足が続いている一方で、一般事務は0.39倍と求職者が大幅に上回っている。このような偏りは、企業が求める人材と求職者の希望が一致していないことを明確に示している。
この状況下で採用を成功させるためには、まず自社の求人条件を見直すことが不可欠である。給与や労働時間、福利厚生といった基本条件に加え、未経験者の受け入れ体制や教育制度の整備が求められる。特に人手不足が深刻な職種では、経験者に限定した採用では応募が集まりにくいため、ポテンシャル採用への転換が現実的な選択となる。
また、採用活動のスピードと質も重要な要素となる。求職者は複数の企業を比較検討しているため、応募から内定までの期間が長い企業は機会を逃しやすい。迅速な対応と丁寧なコミュニケーションを両立させることで、企業への信頼感を高めることができる。
さらに、採用チャネルの多様化も検討すべきである。ハローワークだけでなく、民間の求人媒体やSNS、リファラル採用などを組み合わせることで、より幅広い層にアプローチできる。特に若年層や転職潜在層に対しては、従来の方法だけでは情報が届かない可能性がある。
加えて、地域差を踏まえた柔軟な働き方の提示も有効である。リモートワークや勤務地の選択制を導入することで、求人倍率の低い地域から人材を確保することが可能となる。これは地方企業にとって特に有効な戦略であり、人材確保の選択肢を広げることにつながる。
総じて、令和8年2月の北海道における有効求人倍率0.90倍は、単に求人が少ない状況を示すだけでなく、採用市場の構造的な課題を浮き彫りにしている。中小企業の採用担当者は、この数値の背景にある需給の質的な変化を理解し、自社に適した採用戦略を構築する必要がある。データに基づいた判断と柔軟な発想を組み合わせることで、厳しい環境の中でも持続的な採用成功を実現することができる。
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ


