2026年4月27日
労務・人事ニュース
2026年4月公表で判明した全国870,000区域と公営30,000区域の墓地課題、無縁墳墓対策と自治体対応の実態を詳しく解説
墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として- <通知に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>(総務省)
政府は2026年4月3日、公営墓地における無縁墳墓への対応状況について、これまでの調査結果を踏まえた改善措置の進捗を公表した。今回の公表は、2025年9月に関係機関へ通知された内容に対する2回目のフォローアップにあたり、2026年3月26日時点の対応状況が整理されている。
全国には約870,000区域の墓地が存在し、そのうち地方公共団体が管理する公営墓地は約30,000区域にのぼる。人口減少や高齢化の進行、さらに家族形態や価値観の変化を背景に、承継者がいない無縁墳墓の増加が課題となっている。管理が不十分な場合、衛生面や景観への影響が懸念されることから、行政としての適切な対応が求められている。
今回の調査では、無縁墳墓の発生を抑える取り組みとして、縁故者の情報を事前に把握する重要性が改めて示された。墓地の使用者が所在不明となった場合、戸籍などをもとに縁故者を探す必要があるが、事前に情報が整理されていないケースでは調査に多大な時間と労力がかかる。実際に、約10,000区画の確認に約10年を要した事例も報告されており、現場の負担の大きさが浮き彫りとなった。
一方で、縁故者の連絡先をあらかじめ把握している自治体は全体の10.2%にとどまり、約80.7%の自治体では十分な情報収集が進んでいない実態も明らかになった。事前に情報を取得していた自治体では、使用者が不明となった場合でも迅速な連絡や確認が可能となり、円滑な対応につながっている。こうした事例を踏まえ、関係機関は情報把握の仕組みづくりを促進している。
また、無縁墳墓の解消に向けた課題として、改葬後の墓石の扱いが挙げられている。現行制度では墓石の処分に関する明確な規定がなく、自治体ごとに対応が分かれている。過去5年間で無縁改葬や墓石撤去に着手した自治体は6.1%にとどまり、今後実施を検討している自治体も22.1%にとどまっていることから、対応は限定的な状況といえる。
こうした課題を踏まえ、行政は2025年12月に墓石の取り扱いに関する考え方を整理し、自治体へ周知した。具体的には、行政代執行で墓石を撤去した場合、費用回収のために差し押さえや公売を行う方法が示されたほか、保管費用が墓石の価値を上回る場合には、売却や廃棄も可能とする考え方が提示された。これにより、現場で判断に迷うケースの解消が期待されている。
さらに、無縁墳墓の発生自体を抑制するための取り組みとして、使用許可に期限を設ける「期限付き墓地」の導入事例も共有されている。これにより、将来的な承継問題を未然に防ぐ仕組みとして注目されている。人口動態の変化が続く中、こうした制度設計の見直しは今後さらに重要性を増すとみられる。
今回のフォローアップでは、制度面の整備とともに、現場の実務を支える具体的な指針が提示された点に特徴がある。無縁墳墓の問題は今後さらに拡大する可能性があり、各自治体における実効性のある取り組みが求められる。行政による情報提供と制度運用の改善が進むことで、持続可能な墓地管理の実現につながるかが注目される。


