2026年4月28日
労務・人事ニュース
北九州市2025年9月調査 人権侵害経験32.0%、パワハラ11.6%、悪口10.2%が上位に並ぶ職場環境の課題
令和7年度 人権問題に関する市民意識調査(北九州市)
北九州市は2025年9月、市民の人権に対する意識や課題の現状を把握するため、最新の意識調査を実施し、その概要を公表した。この調査は1976年から約5年ごとに継続して行われており、今回で11回目となる。社会環境の変化に対応するため、設問の見直しや追加が行われている点も特徴といえる。
調査は市内に住む18歳以上79歳以下の男女5,000人を対象に、住民基本台帳から無作為抽出で実施された。調査期間は2025年9月16日から9月29日までで、郵送とインターネットを併用する方法が採用されている。有効回答数は2,405件となり、有効回収率は48.1%だった。こうした回収率は自治体調査として一定の信頼性を確保する水準とされ、地域の実態を把握する基礎資料として活用される。
回答者の属性を見ると、女性が55.3%、男性が40.2%で、70代が25.9%と最も多く、次いで60代が20.9%を占めた。居住年数では20年以上が79.7%に達し、長期居住者の意見が多く反映されていることが分かる。地域別では八幡西区が24.7%で最も高く、次いで小倉南区20.8%、小倉北区18.0%と続いた。人口構成と大きな乖離は見られず、地域バランスにも配慮された調査設計となっている。
人権問題への関心については、「多少関心がある」が63.9%、「非常に関心がある」が13.3%で、両者を合わせた関心層は77.2%に達した。2015年の74.4%からは上昇しているものの、前回2020年の77.7%と比べるとほぼ横ばいで推移している。一方で「関心がない」と「あまり関心がない」を合わせた割合は21.7%となり、前回よりわずかに増加している。全体として関心は高水準を維持しているが、伸び悩みの傾向も見受けられる。
人権意識の変化については、「あまり変わらない」と感じる人が64.9%で最多となったが、「高まっている」と回答した24.5%が「低くなっている」の8.7%を上回った。大きな改善実感は限定的ながらも、前向きな評価が一定数存在する状況が読み取れる。市民の意識は停滞ではなく、緩やかな向上の兆しを示していると考えられる。
関心のある具体的な人権課題としては、「障害のある人に関する問題」が56.0%で最も高く、「インターネット上やSNSによる人権侵害」が55.6%、「女性の人権」が51.1%、「子どもの人権」が49.7%と続いた。情報通信環境の発展に伴い、オンライン上の人権侵害への関心が急速に高まっている点は、近年の社会変化を反映している。また、外国人に関する人権問題への関心は37.5%で、過去調査より増加しており、多様性への意識の広がりも見て取れる。
過去5年間で自身の人権が侵害されたと感じた経験については、32.0%が「ある」と回答している。この割合は前回30.8%、前々回31.4%と大きな変化はなく、一定の水準で推移している。具体的な内容としては、職場などでの優位な立場を背景とした嫌がらせが11.6%で最も多く、根拠のない噂や悪口が10.2%と続いた。日常生活や職場環境における心理的負担が依然として課題となっている現状が浮き彫りになった。
さらに、人権に関する法制度の認知状況では、複数の法律について「知っている」と回答した割合はいずれも2割未満にとどまった。最も高いものでも17.8%にとどまり、7.3%という低い認知率の項目も見られる。制度整備が進む一方で、市民への周知が十分に浸透していない実態が明らかとなり、今後の啓発活動の重要性が強調される結果となった。
今回の調査結果は、人権意識が一定の高さを維持しながらも、具体的な理解や行動への転換には課題が残ることを示している。特にデジタル社会の進展に伴う新たな人権問題への対応や、法制度の認知向上に向けた取り組みが求められる。地域に根差した継続的な調査と分析を通じて、実態に即した施策を展開していくことが、今後の人権尊重社会の実現に向けた鍵となりそうだ。
⇒ 詳しくは北九州市のWEBサイトへ


