2025年10月26日
労務・人事ニュース
広島県雇用情勢 令和7年8月有効求人倍率1.41倍 新規求人4か月連続減少
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管内の雇用情勢(令和7年8月分)(広島労働局)
この記事の概要
令和7年8月の広島県における有効求人倍率は1.41倍となり、中国地方では1位、全国でも8位という高水準を維持しました。しかし、前月より0.03ポイント低下し、雇用情勢には弱さが見られます。新規求人数は前年同月比で4.3%減少し、製造業や卸売・小売業での落ち込みが目立ちました。企業は採用難と求職者増加の両面を踏まえ、戦略的な採用活動を進める必要があります。
令和7年8月の広島労働局の発表によれば、広島県の有効求人倍率(季節調整値)は1.41倍となり、全国平均1.20倍を大きく上回っています。全国順位では8位、中国地方では1位という高さを維持していますが、前月から0.03ポイント低下しており、求人と求職のバランスが変化していることが明らかになりました。有効求人数は61,330人で前月比1.3%減少し、有効求職者数は43,474人で0.8%増加しました。この動きは求人の減少と求職者の増加が同時に進んでいることを意味し、採用市場における競争環境が変化していることを示しています。
新規求人数は21,532人で前年同月比4.3%減少し、4か月連続の減少となりました。特に製造業では13.6%減、卸売・小売業では19.2%減と大きな落ち込みが見られます。運輸業・郵便業も11.4%減少し、物流分野における採用需要も弱含みとなっています。医療・福祉分野も7.5%減少し、慢性的に人材不足が叫ばれる業界でも求人が減少するという逆風がみられました。一方で、情報通信業は18.8%増加、生活関連サービス業・娯楽業は12.0%増、宿泊業・飲食サービス業も6.9%増加するなど、分野によって明暗が分かれる結果となっています。
新規求人倍率は2.46倍で、前月比0.12ポイント低下しましたが、依然として高水準を維持しています。正社員有効求人倍率は1.23倍となり、前年同月より0.06ポイント上昇しました。これは企業が非正規だけでなく正社員採用にも積極的な姿勢を見せていることを示しており、安定した雇用を求める求職者にとっても好ましい傾向といえます。
広島労働局は基調判断として「県内の雇用情勢は求人が求職を上回って推移しているが、持ち直しの動きに弱さがみられる。物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要がある」と発表しています。つまり、求人が多い状況は続いているものの、景気動向や生活環境の変化によって企業の採用意欲が揺らぎつつあるといえるのです。
企業の採用担当者にとって重要なのは、業種ごとの採用環境の違いを正確に把握し、それに応じた戦略を立てることです。例えば製造業や小売業では新規求人が減少しているため、採用競争は一見緩和しているように見えます。しかし求職者のスキルや希望条件とマッチングしなければ採用に至らない可能性が高く、むしろ質の高い人材確保の難しさが浮き彫りとなっています。一方、情報通信業や宿泊業・飲食サービス業は求人が増加しており、今後も競争の激化が予想されます。このような分野では、企業が自社の魅力を強調し、働きやすさや成長機会を打ち出すことで求職者に選ばれる戦略が不可欠です。
また、地域ごとの求人倍率の差にも注目が必要です。広島市中心部では求人倍率が比較的高い一方、可部や廿日市といった地域では1倍を下回る状況もみられます。採用担当者は自社の募集地域を見直し、人材が集まりやすいエリアや通勤利便性の高い地域をターゲットにすることも有効です。
さらに注目すべきは求職者の属性の変化です。55歳以上の中高年層の求職者が増加傾向にあり、経験やスキルを活かした採用が可能になっています。人口減少が進むなかで、年齢層を限定せずに幅広い人材を受け入れる柔軟性が今後の採用成功に欠かせません。特に人材不足が深刻な医療・福祉分野では、中高年層や多様な人材を活用する戦略が必要となるでしょう。
正社員求人倍率が上昇していることは、企業が長期的な人材確保を視野に入れていることを示しています。採用担当者は即戦力のみに頼るのではなく、育成を前提とした採用方針を持つことが求められます。特に若年層については、研修やキャリア形成の仕組みを整え、成長を支援する体制を示すことが人材確保に直結します。
総じて、広島県の雇用情勢は「求人過多の状態を維持しつつも変化の兆しがある」局面にあります。採用担当者は、単に募集を出すだけではなく、待遇改善や柔軟な働き方の導入、教育体制の整備といった付加価値を強調することが不可欠です。労働市場の変化を冷静に見極め、自社の強みを最大限にアピールできる戦略を構築することが、今後の採用成功の鍵となるでしょう。
この記事の要点
- 令和7年8月の広島県有効求人倍率は1.41倍で全国8位、中国地方1位
- 有効求人数は61,330人で減少、有効求職者数は43,474人で増加
- 新規求人数は21,532人で前年同月比4.3%減、4か月連続の減少
- 製造業や小売業で大幅減少、情報通信業や宿泊業で増加
- 正社員有効求人倍率は1.23倍で上昇、長期的な人材確保の動きが顕著
- 地域ごとの求人倍率に差があり、募集エリアの見直しが必要
⇒ 詳しくは広島労働局のWEBサイトへ


