2025年10月28日
労務・人事ニュース
固定電話通話時間96%減少の現実、総務省が移行の円滑化へ本格議論開始
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最終更新: 2025年10月28日 00:34
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「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」の情報通信審議会への諮問(総務省)
この記事の概要
総務省は令和7年10月3日、情報通信審議会に対し「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」について諮問した。NTT東日本・西日本が2035年頃までにメタル回線を用いた固定電話の維持が困難になると発表したことを受け、利用者保護や事業者間競争への影響、通信市場全体の公平性を確保するための議論が始まる。固定電話から光回線やモバイル回線への移行が避けられない中、約1,100万契約者を抱える現行サービスをどのように円滑に移行させるかが焦点となっている。
総務省は令和7年10月3日、情報通信審議会に対して「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」について正式に諮問を行った。これは、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社(NTT東西)が公表した、メタル回線を利用した固定電話サービスから光ファイバやモバイル回線を活用した新たな通信サービスへの段階的な移行計画を受けたものである。NTT東西によると、従来のメタル設備を用いた固定電話は利用者数の大幅な減少や設備の老朽化が進んでおり、またメタル回線に精通した技術者の確保も難しくなっている。こうした背景から、2035年頃までには現行のサービス水準を維持することが困難になる見通しが示された。
ピーク時と比較すると、固定電話の契約者数は1998年度を基準に約80%減少しており、通話時間も2000年度と比べて約96%減少している。それでもなお、2024年度末時点でおよそ1,100万件の契約が残っており、多くの家庭や事業者にとって固定電話は依然として重要な通信インフラである。また、NTT東西のメタル設備を利用して独自の固定電話サービスを提供している事業者も存在し、これらの事業者にとっても今回の移行は経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。
さらに、NTT東西が所有する電柱や管路などの基盤は、光ファイバ設備と共用されており、これを活用してサービスを展開する多くの電気通信事業者にも関係する。固定電話の移行が進むことで、通信事業の競争環境にも少なからず変化が生じるとみられており、市場全体の公平性や公正な競争条件をどのように確保するかが大きな課題となる。
総務省は、こうした状況を踏まえ、利用者が不利益を被らないようにするための保護策や、関係事業者が安定的に事業を継続できる環境を整えることを目的に、情報通信審議会へ諮問を行った。審議会では、「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」を中心に、移行過程での利用者保護、関係事業者への影響、競争環境の確保など、幅広い視点から検討が進められる予定である。
また、NTT東西の移行計画は単に技術的な問題にとどまらず、社会的な影響も大きい。特に、高齢者層を中心に固定電話を主な連絡手段としている利用者が多く、通信手段を光回線やモバイルに切り替える際の費用負担や操作面での不安をどう解消するかが焦点となる。通信の安全性や安定性を維持しながら、新しい通信基盤へとスムーズに移行するためには、技術支援や説明体制の整備が求められている。
さらに、企業や自治体の中には、現在もメタル回線を基盤とした通信システムを運用しているケースがあり、これらの機器の置き換えやシステム更新にも相応のコストと時間が必要となる。今後の検討では、こうした利用者や事業者が混乱することのないよう、段階的かつ計画的な移行スケジュールが求められるだろう。
総務省は、今回の諮問を通じて、固定電話の移行に関する具体的な指針づくりを進める方針であり、情報通信審議会からの答申は令和10年春頃に提出される見込みである。これにより、今後10年を見据えた通信インフラの在り方や、誰も取り残さないデジタル社会への移行をどのように実現するかが問われることになる。固定電話が果たしてきた社会的役割を踏まえつつ、通信の未来を見据えた新しい制度設計と環境整備が期待されている。
この記事の要点
- 総務省が「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」を情報通信審議会に諮問
- NTT東西は2035年頃までにメタル固定電話の維持が困難になる見通しを発表
- 固定電話契約者はピーク時から約80%減少、通話時間は約96%減
- 2024年度末時点で約1,100万契約が残存
- 利用者保護と事業者間の公正な競争環境の確保が検討課題
- 答申は令和10年春頃を目途に提出予定
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ


