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2025年10月30日

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令和7年8月 長野県の有効求人倍率1.24倍、採用戦略見直しの好機

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最近の雇用情勢(令和7年8月分)(長野労働局)


この記事の概要

令和7年8月、長野労働局が公表した最新の労働市場動向によると、長野県の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月より0.04ポイント低下しました。求人数の減少と求職者の微増が同時に進み、雇用需給バランスはやや緩和しています。本稿では、長野県の雇用情勢を基に、企業の採用担当者がどのように求人倍率を読み解き、採用戦略を構築すべきかを詳しく考察します。


令和7年8月の長野県の有効求人倍率は1.24倍で、前月比0.04ポイントの低下となりました。全国平均の1.20倍を依然として上回っているものの、求人数の減少傾向が続いており、採用環境にやや慎重さが見られます。有効求人数は42,165人で前月比1.8%減、有効求職者数は33,968人で前月比1.2%増となりました。求職者数が増加に転じたことにより、採用活動における競争の形が少しずつ変化しています。これまでのように「求人を出せば応募が集まる」状況ではなくなり、企業は自社の魅力をいかに明確に打ち出すかが問われています。

長野労働局によると、新規求人数は13,395人で前年同月比4.2%減少しました。特に常用の新規求人は2.2%減、パートの新規求人は6.7%減と落ち込みが見られ、企業の採用意欲がやや冷え込んでいることが分かります。物価高や資材コストの上昇に伴い、企業が人件費を慎重に見直す動きが進んでいることも背景にあります。一方、新規求職者数は5,603人で前年同月比0.5%増とわずかに増加しており、転職希望者や再就職希望者の動きは一定の活発さを保っています。

産業別にみると、求人の増加が見られたのは建設業、運輸・郵便業、金融・保険業、生活関連サービス業、教育・学習支援業などです。これらの業種では、地域の基盤を支える職種が多く、慢性的な人手不足が続いています。特に建設業では、インフラ整備や再開発の需要が高く、若年層や技能継承を担う中堅層の確保が急務となっています。一方で、製造業、宿泊・飲食サービス業、医療・福祉業などでは求人が減少しました。製造業では景気の先行き不透明感が影響し、設備投資や人員補充を控える動きが広がっています。

地域別に見ると、すべての地域で前年同月を下回りましたが、飯山地域のみが前年を上回りました。特に中信地域や北信地域では製造業・サービス業での減少が顕著です。対照的に、東信地域の佐久・上田エリアでは物流業や教育関連職の求人が堅調で、1.27倍前後の水準を維持しています。このように、地域ごとに産業構造や求職者層の違いがあるため、採用担当者は求人戦略を地域単位で最適化する必要があります。

また、職種別の傾向を見ると、事務職では求職者が求人を上回るなどホワイトカラー職の供給過多が続いています。反対に、専門的・技術的職業、建設・採掘職業、介護関連職などは依然として求人が求職を上回っており、人手不足が深刻です。これらの分野では、即戦力人材の確保だけでなく、未経験者を採用して育成する「長期視点の採用」が必要になります。

年齢別に見ると、55歳以上の求職者が全体の約4分の1を占めており、シニア層の就労意欲が高まっています。企業にとっては、経験豊富な人材を戦力化するチャンスであり、柔軟な勤務体系や健康支援制度の充実を通じて定年後再雇用の枠を広げることが重要です。地域経済においても、こうした人材が持つノウハウは中小企業の生産性向上や人材育成に直結します。

一方、就職件数は1,563件で前年同月比9.8%減少しました。常用就職が801件(9.2%減)、パートタイム就職が722件(10.2%減)と、全体的に減少傾向です。求職活動自体は活発であるものの、マッチングの難しさが浮き彫りになっています。特に正社員採用では、求職者の希望条件と企業側の提示条件のギャップが依然として大きく、採用活動の効率化が求められます。

企業の採用担当者にとって、有効求人倍率1.24倍という数字は単なる統計ではなく、採用戦略を見直す指標となります。この倍率は、求人が求職を上回る「売り手市場」が続く一方で、求職者がより慎重に職場を選ぶ「選択的就職」の時代に突入していることを意味します。採用活動では、単に待遇面を改善するだけでなく、企業文化・理念・働きがいといった“非金銭的価値”をどのように伝えるかが成否を分けます。

さらに、採用活動のデジタル化も加速しています。長野県内では中小企業を中心に、オンライン採用説明会や動画求人の活用が広がっており、従来の求人票では伝わらなかった企業の雰囲気や現場の実情を可視化する動きが強まっています。採用担当者は、ハローワークインターネットサービスやSNSを通じて、応募者との接点を増やす努力を続けることが重要です。特に地方では、情報発信の鮮度が応募率を大きく左右するため、求人情報の更新や応募者対応のスピードを重視すべきです。

また、企業が直面している課題の一つに「定着率の低下」があります。採用活動におけるコスト増が続く中、入社後早期離職を防ぐことが採用ROI(投資対効果)の向上につながります。新入社員が安心して働ける教育・研修制度の整備、上司・先輩との信頼関係づくり、キャリアアップ支援など、採用後のフォロー体制を強化することが必要です。これにより、単なる採用成功から“雇用の質の向上”へと軸を移すことができます。

さらに、今後の人材戦略において注目すべきは、地域密着型の採用です。長野県は自然環境や生活の質の高さから、Uターン・Iターン希望者の関心が高い地域でもあります。企業は「地域に根差した働き方」や「社会貢献への姿勢」を発信することで、県外人材にも訴求できます。特にリモートワークの普及により、地方勤務でも首都圏企業と同等の働き方を実現できるようになり、地方企業の競争力を高めるチャンスとなっています。

長野県の有効求人倍率1.24倍という数字は、採用環境の安定とともに、採用戦略の転換点を示すものです。企業は短期的な採用成果にとらわれず、長期的な視点で「人を育てる企業」としてのブランドを築く必要があります。採用担当者に求められるのは、地域の実情を踏まえ、数字の裏にある“人の動き”を読み解く力です。それこそが、これからの採用市場を勝ち抜くための最大の武器となるでしょう。

この記事の要点

  • 令和7年8月の長野県有効求人倍率は1.24倍で前月比0.04ポイント低下
  • 求人減少と求職者微増により雇用需給がやや緩和
  • 製造業・宿泊業・医療業で求人が減少、建設・教育業で増加
  • 就職件数は前年同月比9.8%減、マッチングの難しさが浮上
  • 採用活動は「採る」から「選ばれる」へ転換が必要
  • デジタル採用や定着支援など長期的戦略が鍵

⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ

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