2025年10月30日
労務・人事ニュース
令和7年8月 高知県の有効求人倍率1.04倍 採用市場の転換点を迎える
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最終更新: 2025年10月29日 21:00
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最終更新: 2025年10月29日 21:00
高知県の雇用失業情勢(令和7年8月)(高知労働局)
この記事の概要
令和7年8月、高知労働局が公表した最新の雇用失業情勢によると、高知県の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍となり、前月から0.03ポイント低下しました。3か月連続の減少であり、求人数が減少し、求職者が増加するという構図が続いています。労働需給の改善傾向には弱さが見られ、企業の採用活動には慎重な姿勢が求められる局面となっています。本稿では、高知労働局のデータに基づき、地域経済の実情を踏まえながら企業がどのように採用戦略を立てるべきかを詳しく考察します。
令和7年8月の高知県の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍となり、前月比で0.03ポイントの低下となりました。3か月連続の下落は、雇用環境における慎重な動きを示しており、県内の経済活動が落ち着きつつあることを反映しています。有効求人数は13,217人で前月比2.1%減、有効求職者数は12,739人で1.3%増加しました。求人減少と求職増加が並行して進み、労働需給のバランスが緩やかに変化しています。
一方、新規求人倍率(季節調整値)は1.88倍で前月比0.01ポイント上昇し、2か月連続の増加を示しました。新規求人数は5,079人で前月比2.8%増、新規求職者数は2,697人で2.0%増加しています。これは一部の業種で採用活動が再び活発化している兆しであり、特に運輸業や情報通信関連で新たな求人需要が見られました。しかし、全体としては雇用情勢の改善に勢いが欠け、労働市場の構造的な課題が引き続き残っています。
正社員有効求人倍率(原数値)は0.86倍で、前年同月比0.01ポイント低下しました。14か月ぶりの減少となり、正社員採用の厳しさが再び浮き彫りになりました。正社員求人は6,428人で前年同月比7.4%減、正社員求職者は7,476人で6.0%減でした。正社員比率は全体の49.9%を占めていますが、依然として企業の雇用方針が慎重であり、即戦力よりも柔軟な非正規雇用の活用に傾く傾向が見られます。
産業別に見ると、増加したのは農林漁業(16.7%増)、運輸業・郵便業(136.5%増)、生活関連サービス業・娯楽業(6.0%増)の3業種でした。特に運輸業の求人急増は物流需要の再拡大を反映しています。一方で、建設業(▲27.1%)、卸売・小売業(▲11.0%)、サービス業(▲23.3%)など10業種で減少が目立ちました。建設業では資材価格の高止まりが続き、設備投資や人件費負担の増大により採用抑制の動きが強まっています。小売・サービス業も消費行動の慎重化により、採用数を抑える企業が増えました。
新規求人数(原数値)は4,584人で、前年同月比6.8%減と4か月連続の減少。新規求職者数は2,191人で前年同月比0.5%増でした。つまり、新たに職を求める人が増える一方で、企業の新規採用計画は抑制傾向にあることが分かります。このギャップは、採用担当者にとって「選ばれる企業」への転換を促す重要なサインです。単に求人を出すだけでは応募が集まりにくくなり、企業の魅力や働き方の質が問われる時代に入っています。
地域別に見ると、高知所1.24倍、須崎所0.80倍、四万十所0.71倍、安芸所0.68倍、いの所0.48倍と、地域格差が顕著に現れています。都市部である高知市周辺では求人が比較的多い一方、郡部では求人が少なく、就業機会の地域偏在が進んでいます。企業は自社の所在地や産業特性を踏まえ、地域に根ざした採用戦略を立てることが不可欠です。
また、就職件数は623件で前年同月比1.1%増と、7か月ぶりに増加へ転じました。就職率は28.4%で、前年同月比0.1ポイント上昇しています。求職活動自体は活発化しており、転職希望者の動きも一定数見られます。これは物価上昇や働き方の多様化を背景に、労働者がより良い職場環境を求める傾向が強まっているためと考えられます。
雇用保険の被保険者数は187,943人で、前年同月比1.4%減少し、69か月連続の減少となりました。長期的に見ると、県内の就業者人口は緩やかに減少傾向にあります。少子高齢化が進む高知県では、生産年齢人口の減少が地域経済の根本的課題であり、企業にとっては人材確保と育成が持続的成長の鍵を握ることになります。
採用担当者の視点から見ると、有効求人倍率1.04倍という数値は、単なる経済指標ではなく、戦略の分岐点を意味します。求人が求職を上回る「売り手市場」は続いていますが、求職者側の価値観が大きく変化しているため、採用活動の質的転換が求められています。特に若年層では、給与よりも働きがい、職場の人間関係、スキル成長の機会を重視する傾向が強くなっています。企業はこれに対応するため、自社の働く環境やキャリア支援体制を明確に発信する必要があります。
高知県は中小企業比率が高く、地域経済の中核を担う地元企業の魅力発信が十分に届いていないケースが少なくありません。採用担当者は、求人票の文言や採用サイトでの訴求内容を再検討し、企業の「顔」が見える採用広報を意識すべきです。たとえば、社員の声や地域貢献活動を紹介することで、地元志向の求職者に訴求力を高めることができます。
さらに、採用活動におけるデジタル化も急務です。ハローワークインターネットサービスでは、オンラインでの求職登録・応募が可能となっており、応募者との接点をデジタル上でどれだけスムーズに作れるかが重要になります。求人情報の鮮度を保ち、応募後のレスポンスを迅速に行うことが、企業の信頼性を左右します。
また、地域労働市場の人口動態を踏まえた長期的な採用戦略も必要です。高知県のように労働人口が減少する地域では、採用よりも「定着」と「育成」に力を入れることが経営戦略として欠かせません。若年層の離職防止やシニア層の活用、多様な働き方の導入による就業継続支援が企業価値向上につながります。
総じて、令和7年8月の高知県の有効求人倍率1.04倍という結果は、労働需給の転換点を示しています。企業は、採用を単なる人員補充ではなく、「地域とともに成長する経営戦略」として捉える必要があります。採用活動の基盤を整え、データに基づく柔軟な対応力を高めることが、今後の持続的成長に直結するのです。
この記事の要点
- 令和7年8月の高知県有効求人倍率は1.04倍で前月比0.03ポイント低下
- 有効求人数は13,217人で減少、有効求職者数は12,739人で増加
- 新規求人倍率1.88倍で2か月連続増加
- 建設業・小売業・サービス業で求人減少、運輸業で急増
- 就職件数623件で7か月ぶりに増加
- 雇用保険被保険者数は187,943人で69か月連続減少
- 採用は「数」より「質」を重視し、定着・育成に重点を置くべき局面
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ


