2025年10月31日
労務・人事ニュース
令和7年9月の南関東雇用情勢、求人数増加も採用率伸びず人材確保難続く
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景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 南関東(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年9月に実施された「景気ウォッチャー調査」によると、南関東の景気は一部業種で改善の兆しがみられるものの、物価高と人手不足が依然として重しとなっている。特に雇用関連では、人材派遣会社を中心に求人数は増加傾向を示すものの、求職者の確保が追いつかず、マッチングの難しさが浮き彫りとなった。有効求人倍率の上昇にはつながらず、採用計画を見直す企業も増加しており、採用活動の停滞が地域経済の回復を鈍らせている。
令和7年9月の南関東経済は、販売や観光分野で一部好調な動きがみられる一方で、物価高騰と人手不足が企業経営を圧迫し、雇用環境にも大きな影響を及ぼしている。東京都内の小売業では、カレンダーやダイアリーなどの季節商品が好調で、前年同月比で売上が2〜3割、レジ客数が4割増加するなど明るい動きがみられた。百貨店業界もインバウンド回復の影響を受け、国内客・外国人客ともに販売量が堅調に推移している。しかし、物価上昇によって食料品価格が高止まりしており、米や生活必需品の値上げが消費者心理を冷やしている。結果として、購買点数の減少が続き、実質的な消費活動は依然として抑制されたままである。
また、外食産業では売上そのものは回復傾向にあるものの、来客数は前年を下回る店舗も多く、特に居酒屋やカフェでは高騰する光熱費や仕入価格に悩まされている。高級レストランでは客単価が前年比103.7%と上昇したものの、来客数は前年比96.3%と減少しており、限られた層の消費に支えられた構造が続いている。旅行代理店では販売量が前年比120%と大幅に増加し、外国人観光客の回復が追い風となっているが、一般的な旅行客の予約は物価高の影響で減少傾向にある。
一方、住宅関連や建設業では、資材価格の高騰と人件費の上昇が続き、受注が伸び悩んでいる。住宅着工戸数は微減ながら、単価上昇に対応できる高所得層による購入が支えとなっており、全体としては安定を維持している。企業の設備投資については様子見の傾向が強まり、特に中小企業では経営環境の厳しさから新規事業を見送る動きも見られる。
こうしたなか、雇用関連の動きには複雑な様相がみられる。人材派遣会社では求人数が7月から増加し、前年同月比でも上昇していることが報告された。社会課題解決型の案件を中心に派遣依頼が増えており、エンジニアやIT分野など専門職のニーズは高い。しかし、求職者数の確保が追いつかず、派遣成約率は伸び悩んでいる。人材の奪い合いが発生しており、受注増加に対して実際の売上が比例しない状況が続いている。また、秋の採用ピークを前に求職者の反応が鈍く、採用活動全体が横ばいにとどまっているという報告も多い。
求人情報誌を制作する企業では、新卒・中途採用ともに計画を見直す企業が出てきており、景気の先行き不透明感が採用意欲の低下につながっている。大学の就職担当者によれば、新卒採用を取りやめたり、採用人数を減らす企業が見られ、学生の就職活動にも影響が出始めている。民間職業紹介機関では、求人は多様化しているものの、企業が求める人材要件に合致する層が少なく、特に年齢や経験条件を満たす人材の不足が指摘されている。
さらに、人手不足と最低賃金引き上げへの懸念が企業経営に影を落としており、採用コスト上昇に耐えきれず採用活動を縮小する企業も増えている。製造業や飲食業では、従業員確保のための賃上げが進まず、物価上昇とのバランスを取ることが困難な状況だ。職業安定所の報告では、企業の多くが「景気は良くも悪くもない」と回答しており、採用活動における慎重姿勢が根強いことを示している。
結果として、南関東全体の有効求人倍率は緩やかに上昇傾向にあるものの、実際の雇用成約率は低下傾向にあり、採用と求職のミスマッチが拡大している。求人数の増加が雇用改善に直結していない現状は、地域経済の構造的課題を浮き彫りにしており、今後は企業による柔軟な働き方の導入や、ミドル層・シニア層の労働参加促進など、多面的な人材活用が求められている。
この記事の要点
- 令和7年9月の南関東経済は物価高の影響を受けつつも一部で回復傾向
- 人材派遣会社の求人数は前年同月比で増加したがマッチング率は低迷
- 中小企業では人手不足が深刻化し採用計画を見直す動きが広がる
- 新卒採用の縮小や採用中止企業が現れ大学就職活動にも影響
- 有効求人倍率は横ばいで雇用成約率の低下が課題
- 最低賃金上昇と採用コスト増が企業経営に負担を与える
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ
 
  
  
 
 
                                        

