2025年11月2日
労務・人事ニュース
令和7年9月の沖縄経済、最低賃金1023円で中小企業の採用負担増加
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最終更新: 2025年11月18日 10:13
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最終更新: 2025年11月18日 05:58
景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 沖縄(先行き)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年9月の景気ウォッチャー調査によると、沖縄県の景気は観光関連分野の好調を背景に緩やかな回復基調を維持しているものの、物価上昇と最低賃金引上げによる企業負担の増加が懸念されている。大型レジャー施設の開業やインバウンドの回復により観光業は堅調だが、消費者の節約志向が続き、個人消費の伸びは鈍化している。12月に予定される最低賃金の改定(時給1023円)は、特に中小企業やサービス業の採用意欲に影響を及ぼすとみられ、有効求人倍率の高止まりにも関わらず求人控えの動きが広がる可能性がある。
沖縄県の経済は、観光業を中心に一定の回復を見せながらも、物価上昇と賃金改定をめぐる不安が企業活動や雇用に影響を及ぼしている。調査によると、コンビニや小売業では年末年始にかけての販売拡大を期待する声が多く、催事関連商品や高単価商品の予約が順調に進んでいるという。商店街では飲食店の出店が増え、街全体の人の流れが活発化していることが報告されているが、一方で物販店舗の減少が続いており、地域経済の構造変化が進行している。
観光関連業では、大型客船の寄港や国慶節に伴うアジア圏からの旅行客の増加が見込まれており、観光型ホテルや土産物販売店では前年を上回る入域観光客数を予測している。特に観光型ホテルでは、9月の販売室数が前年同月比18%増加したのに対し、12月末時点の予約室数は13%増加と依然高い水準を維持しているものの、伸び幅の鈍化が見られる。これは宿泊費の高止まりや物価上昇による個人消費抑制が影響しているとみられ、旅行代理店からも「宿泊料金が高く、個人旅行の増加が鈍い」との声が上がっている。
一方、建設業では公共・民間工事ともに見積依頼の件数に大きな変化はなく、堅調な受注を維持している。経営者からは「技術者の配置を最適化しながら、質の高い案件の受注に注力していく」との声もあり、景気の下支え役として期待されている。住宅販売会社では、資材や人件費の上昇を消費者が受け入れ始めている兆しがあり、購入の意思決定を後押しする動きも出てきている。
小売・サービス業では、最低賃金引上げの影響を強く受ける業種が多い。12月から県内最低賃金が1023円に改定されることを受け、企業では人件費増加への対応が急務となっている。特にコンビニエンスストア業界では「雇用契約更新時に時給を引き上げるが、売上は伸び悩み、顧客がスーパーに流れる可能性がある」との見方が示されている。スーパーでも電気・ガス料金支援の終了によりコスト増が進んでおり、「価格転嫁と値引きセールの両立が難しく、消耗戦が続く」との現場の声がある。
通信業や家電量販店では、新型スマートフォンの発売やエアコンの買い替え需要が業績を支える要素となっており、「販売は前年並みに推移している」との報告もあるが、消費全体の盛り上がりには欠ける。輸送業では運賃交渉が奏功し、収益の改善傾向が見られるほか、レンタカー業界では個人利用の拡大が続いており、前年よりも受注状況が上向いている。
雇用関連では、求人活動の動向に注目が集まっている。学校関係者によると、2027年卒業予定の学生を対象とした企業説明会の問い合わせが前年より増加しており、年内の求人件数も多い見込みだという。これは観光業やサービス業を中心とした人手不足の影響が背景にある。しかし、求人情報誌制作会社からは「最低賃金引上げに伴う人件費上昇を価格に転嫁できない企業が増えており、求人抑制が進む懸念がある」との報告があり、特に中小企業や小売・サービス業では雇用環境が停滞する可能性が指摘されている。
人材派遣会社では「物価上昇の歯止めがかからず、景気は変わらない」との見方が根強く、採用活動を控える企業が増加傾向にある。今後の有効求人倍率は高水準を維持しつつも、採用意欲の停滞と求人件数の伸び悩みが続くと予想されている。これにより、求人市場は「人手不足とコスト上昇が同時に進む」という構図がより鮮明になっている。
総じて、沖縄県の景気は観光業を中心に堅調に推移しているが、物価上昇と最低賃金引上げが企業経営に重くのしかかり、雇用環境にも不安要素が残っている。観光需要の回復が地域経済を支える一方で、消費の持続的回復には時間がかかるとみられ、今後は賃上げの効果と物価上昇のバランスが大きな鍵を握る。
この記事の要点
- 令和7年9月の沖縄景気は観光需要を背景に緩やかに回復
- 大型レジャー施設の開業やインバウンド増加が追い風
- 最低賃金は12月から1023円に引上げ、企業負担が拡大
- 中小企業では人件費上昇で求人抑制の動きが広がる懸念
- 観光型ホテルの販売室数は前年同月比18%増
- レンタカー業界で個人利用の増加が継続
- 学校関係では求人件数が増加する見通し
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


