2025年11月6日
労務・人事ニュース
定昇制度あり企業81.2%、2025年の昇給が制度として定着―厚労省調査
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最終更新: 2025年11月5日 09:38
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賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要 定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省が実施した令和7年(2025年)「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、全国の企業のうち定期昇給制度を導入している割合は81.2%となり、賃金改定を実施または予定している企業の大多数で昇給制度が機能していることがわかった。また、ベースアップ(基本給引上げ)を実施した、もしくは予定している企業の割合は57.8%に達し、前年に続き高い水準を維持している。労働組合の有無によっても実施率に大きな差が見られた。
厚生労働省は2025年、「賃金引上げ等の実態に関する調査」を実施し、定期昇給制度およびベースアップ(ベア)の実施状況に関する詳細な結果を公表した。この調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する民間企業を対象に行われ、企業の賃金改定方針や実態を明らかにすることを目的としている。結果からは、賃金上昇が単なる一時的な動きではなく、企業の制度として定着しつつある実情が浮き彫りとなった。
まず、定期昇給制度の有無についてみると、「定昇制度あり」と回答した企業の割合は81.2%に達した。一方で、「定昇制度なし」と回答した企業は17.7%であり、昇給制度が未整備の企業は少数派にとどまった。労働組合の有無別に見ると、労働組合のある企業では92.3%が「定昇制度あり」と回答し、労使協議に基づく昇給ルールの浸透が明確に見られる。これに対し、労働組合のない企業では77.9%が定昇制度を有しており、組合の存在が制度整備の推進に一定の影響を与えていると考えられる。
定昇制度の内容をみると、「自動昇給」と回答した企業は27.5%、「業績評価などによる昇給(その他)」が72.4%と、成果や貢献度を重視する企業が多数を占めた。これは、年功的な昇給から、実力主義・成果主義を取り入れた柔軟な運用へと移行している企業が増えていることを示している。特に大企業では業績に連動した昇給制度を採用する傾向が強まっている。
次に、定期昇給の実施状況についてみると、「定昇を行った・行う」と回答した企業は全体の76.8%にのぼり、前年に比べて高水準を維持した。「定昇を行わなかった・行わない」企業は2.6%、「定昇を延期した」企業は0.1%にとどまり、ほとんどの企業が昇給を実施している。労働組合がある企業では「定昇を行った・行う」と回答した割合が90.0%と高く、労使協議を通じた安定した昇給制度が機能している。一方、労働組合のない企業では72.9%にとどまっており、経営環境や人件費の制約が制度運用に影響していることがうかがえる。
さらに、ベースアップ(基本給引上げ)の実施状況を見ると、定昇制度を持つ企業のうち、「ベアを行った・行う」と回答した企業の割合は57.8%に達した。前年の水準を上回る結果であり、物価上昇や人材確保競争を背景に、企業が積極的に基本給の底上げを図っていることが分かる。一方、「ベアを行わなかった・行わない」と回答した企業は15.1%にとどまり、賃金引上げを見送る企業は少数に限られている。
労働組合の有無で比較すると、労組あり企業では「ベアを行った・行う」が82.1%に達し、組合による賃上げ交渉が賃金改定に大きく寄与している。一方、労組なし企業では49.4%と半数を下回り、組合の存在がベア実施の有無に大きく影響していることが明らかとなった。労使交渉の仕組みを持たない中小企業では、業績連動型の賞与や一時金による対応にとどまるケースも見られる。
企業規模別では、従業員5,000人以上の大企業が最も積極的で、「ベアを行った・行う」割合が85%を超えている。これに対し、100~299人規模の中小企業では53%程度にとどまり、企業規模による格差も依然として存在する。業種別では、製造業や建設業、電気・ガス業などで高い割合を示し、特に製造業では68.3%がベアを実施している。一方、宿泊業や生活関連サービス業では4割前後と低く、業績の回復状況が賃金改定に影響している。
この結果は、賃上げの流れが単なる一過性の動きではなく、制度的な仕組みとして根付きつつあることを示している。特に物価上昇が続く中で、賃金水準の引き上げを通じて実質所得を確保しようとする企業の動きが強まっており、政府が推進する「構造的な賃上げ」の成果が現れ始めている。今後は、中小企業への支援や人材育成投資の拡充によって、持続的な賃金上昇の定着が求められる。
この記事の要点
- 定期昇給制度ありの企業は全体の81.2%
- 労組あり企業の定昇制度保有率は92.3%、なし企業は77.9%
- 自動昇給よりも業績評価型昇給が主流(72.4%)
- 定昇を行った・行う企業は76.8%、延期はわずか0.1%
- ベアを行った・行う企業は57.8%で前年を上回る
- 労組あり企業のベア実施率は82.1%、なし企業は49.4%
- 大企業でのベア実施率が高く、中小企業との格差が続く
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


