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2025年11月25日

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令和7年10月労災速報、死亡者475人・死傷者87,407人の実態を分析

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令和7年労働災害発生状況(令和7年10月速報値)(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が令和7年10月に公表した速報値によると、同年1月から9月までに発生した労働災害による死亡者数は475人で、前年同期比で33人減少し、6.5%の減少となった。一方で、休業4日以上の死傷災害者数は87,407人と、前年より1.1%減少している。業種別では建設業と製造業で減少が見られるものの、第三次産業ではわずかに増加した。依然として「墜落・転落」や「転倒」が主要な災害原因であり、職場の安全対策の継続的な見直しが求められている。


厚生労働省安全課がまとめた令和7年1月から9月末までの労働災害発生状況によると、死亡災害の発生件数は前年同期に比べ減少したものの、依然として高い水準にあることが明らかとなった。死亡者数は475人で、前年同期より33人少なく、6.5%の減少となった。これは労働環境の安全対策が一定の成果を上げていることを示しているが、一方で業種によっては依然として深刻な課題が残っている。

業種別に見ると、製造業では79人が死亡しており、前年から19人減少し、19.4%の改善が見られた。建設業でも156人の死亡者が発生し、前年より8人減少して4.9%の減少となっている。また、陸上貨物運送事業では53人の死亡が報告され、前年から20人減少して27.4%という大幅な改善が見られた。林業においては19人が亡くなり、前年より1人減少した。第三次産業では122人が命を落とし、前年より6人減ったものの、全体としてみると依然として高い数字を維持している。

事故の原因別に見ると、「墜落・転落」が126人と最も多く、依然として労働災害の主要原因であることがわかる。前年と比べて5人減少しているが、全体の26%を占める状況に変わりはない。「交通事故(道路)」による死亡者は82人で、前年より3人増加し3.8%の増加を示している。これは、物流業界における長時間労働や過密スケジュールが依然としてリスク要因となっている可能性を示唆している。「はさまれ・巻き込まれ」事故では80人が死亡し、前年より2人減少しているものの、重機や機械を扱う現場では依然として注意が必要だ。

また、休業4日以上の死傷災害の発生状況を見ると、全体で87,407人が被災しており、前年同期より1,014人少なく1.1%の減少となっている。これは全体的に安全管理体制の強化が進んでいることを反映しているが、依然として年間8万人を超える労働者が重大な負傷を負っている点は看過できない。業種別では、製造業が17,463人で1.6%減少、建設業は8,794人で4.2%減少、陸上貨物運送事業では10,423人で5.2%減少と改善が見られた。一方で、第三次産業は45,484人とわずかに増加しており、サービス業や小売業、医療・介護分野などにおける安全対策の徹底が課題として残る。

事故の型別では、「転倒」が25,100人で前年より1,481人増加し6.3%の増加を示している。これは高齢労働者の増加や、立ち仕事の多い現場での安全配慮不足が一因と考えられる。「動作の反動・無理な動作」は13,141人で4.7%の減少、「墜落・転落」は13,151人で2.7%の減少となったが、依然として重大災害の上位に位置している。

この結果から、厚生労働省は今後も重点的に転倒災害や墜落・転落事故の防止に取り組む方針を示している。特に現場での安全教育の徹底や、労働環境の改善、作業計画段階からのリスクアセスメントの導入が重要とされる。また、第三次産業における災害増加傾向に対しても、職場の特性に応じた安全管理の導入が急務である。

さらに、令和7年の統計からは、過労やストレスによる間接的な事故も増加傾向にあることが示唆されている。こうした背景を踏まえ、企業の採用担当者や安全衛生管理者は、労働災害の現状を単なる数字として捉えるのではなく、現場の声をもとに安全文化を根付かせる取り組みを進めることが求められている。労働力不足が深刻化する中で、安全な職場環境を整備することは人材定着にも直結する重要な要素となるだろう。

この記事の要点

  • 令和7年の労働災害による死亡者は475人で前年より33人減少
  • 休業4日以上の死傷者は87,407人で前年より1.1%減少
  • 建設業・製造業・運送業で改善傾向、第三次産業で微増
  • 死亡原因は墜落・転落が最多で126人
  • 転倒による災害は25,100人で6.3%増加
  • 安全教育と現場環境改善の継続が課題

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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