2025年12月27日
労務・人事ニュース
令和7年10月岡山県の有効求人倍率1.31倍、人材確保の難易度はどう変化したか
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最終更新: 2025年12月26日 13:36
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雇用情勢(岡山労働局管内)令和7年10月分(岡山労働局)
この記事の概要
令和7年10月の岡山県の有効求人倍率は1.31倍となり、季節調整値で6か月連続の低下が続いた。一方で新規求人倍率も2.21倍と前月から低下し、求人の勢いは鈍化している。雇用は底堅さを見せつつも、物価高騰の影響などにより慎重さも見られる。本記事ではデータに基づく雇用情勢の変化を踏まえ、中小企業がどのように採用戦略を立てるべきかを専門的視点で解説する。
令和7年10月に岡山労働局が公表した雇用動向によれば、県内の有効求人倍率は1.31倍で前月から0.03ポイント低下し、6か月連続の減少となった。この下り幅は大きくはないものの、連続で低下が続いている点は県内の企業活動の慎重さを映し出している。特に新規求人倍率も2.21倍となり、こちらも2か月連続の低下という結果であり、労働需給のバランスが徐々に変化しつつあることを示している。景気回復が緩やかに進む一方で、物価上昇や企業のコスト負担の増大が採用活動に影響を与えていると推察できる。
新規求人数は15,097人で前年同月比6.0%減となり、4か月連続の減少となった点も注目に値する。産業別に見ると、建設業や製造業、医療福祉など多くの分野で前年を下回り、特に医療福祉では8.1%もの減少が見られた。この分野は慢性的な人手不足が続く一方で、求人が減少した背景には各施設における経営環境の変化、物価上昇による設備投資・人件費バランスの調整が強く影響している可能性がある。さらに宿泊・飲食サービス業でも大きく落ち込み、依然として回復途上であることが読み取れる。
また、有効求人数は41,143人で前年同月比5.6%減となり、こちらも4か月連続の減少となった。求人数の減少と求職者数の増加が重なることで、有効求人倍率が低下する構造が明確に表れている。対照的に、新規求職者数は6,437人で前年同月比2.5%増と増加傾向にあり、求職者の動きが活発になっていることを示している。このように求人が減る一方で求職が増える状況は、採用側の選択肢は広がるものの、求職者のキャリア意識が以前に比べて高まり、働く場や条件に対する要望が強くなっている可能性もある。
さらに、正社員の有効求人倍率は1.20倍で前年同月より0.04ポイント低下し、正社員採用市場でも需要がやや落ち着きつつある。正社員求人は企業が慎重姿勢に戻る指標になりやすく、今後も景況感の変化によって影響を受ける可能性が高い。この点は中小企業にとって重要で、慢性的な人材不足から一転し、戦略的に採用活動を組み立てる局面になることを意味している。
新規求人数を産業別に細かく見ると、建設業は前年同月比6.6%減、製造業は6.0%減と幅広い領域での減少が目立つ。中でも製造業は特にプラスチック製品や金属製品などの細分類で変動が大きく、景気や原材料価格の影響を強く受けていることがうかがえる。情報通信業でも大幅な減少が続き、技術人材の需要が以前ほど強くない状況が見て取れる。
雇用保険受給者も増加しており、基本手当の受給者実人数は7,645人で前年同月比8.0%増となり、16か月連続の増加となった。景気全体が急激に悪化しているとは言えないが、企業による人件費調整の影響がじわじわと反映されている格好だ。また、解雇者数が520人で前年同月比81.2%増と大幅に増加している点も見逃せない。雇用情勢が依然として不安定であること、業界によっては事業調整が進んでいることを示唆するデータである。
こうした状況全体を岡山労働局は「求人が求職を上回り底堅さは見られるものの、物価上昇などが雇用に与える影響に留意が必要」と総括している。つまり企業の採用意欲は完全に落ちてはいないものの、慎重な判断が随所に見られるため、中小企業が自社に必要な人材を確保するためには、従来以上に計画的で競争力のある採用戦略が求められる局面に入っている。
ここから、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどう読み解き、どのように採用活動を進めるべきかについて、専門的視点から整理したい。
まず、有効求人倍率が低下しているということは、求職者にとっては応募先が増え、企業にとっては採用しやすい環境に一見見える。しかし同時に求職者の目が肥えており、待遇や職場環境、キャリア形成の機会など、より質の高い条件を求める傾向が強まる。中小企業は「選ばれる企業」であるための努力が欠かせない。求人が減少している今だからこそ、自社の魅力を改めて棚卸しするタイミングといえる。
また、新規求職者が増えている状況は、潜在的な採用チャンスが広がっていることを意味する。その一方で、求職者の増加が全て即戦力とは限らないため、自社が求める人材像を明確化し、求めるスキルと採用後に育成するスキルの線引きを丁寧に行うことが重要になる。さらに、正社員求人倍率も低下しているため、正社員採用を強化したい企業にとっては、他社との差別化がしやすい環境にある。採用条件の一部緩和や、研修制度の強化、柔軟な働き方の導入など、応募者の関心を引くポイントを強化することが得策である。
特に岡山県では、医療・福祉、製造、卸売・小売など地域産業の中核を担う分野で求人の増減が見られるため、業界内の動きを踏まえた採用戦略の立案が欠かせない。たとえば医療・福祉分野では求人が減少しつつも依然として採用競争が激しい状況にあるため、労働条件の改善や職場環境の透明化が必須になる。一方で製造業においては、新規求人が減少している反面、求職者のスキルの幅が広がる可能性があるため、未経験者を育成する体制の強化が有効だ。
さらに、中小企業が有効求人倍率を活用するうえで忘れてはならない点は、地域ごとの雇用バランスである。岡山県内のハローワーク別の有効求人倍率を見ると、地域差が顕著であり、たとえば高梁などの地域では倍率が1.55倍と高い一方、西大寺などでは1.29倍となっている。企業はこの地域差を採用戦略に取り入れ、勤務地の調整や採用ターゲットのエリアを見直すことで採用効率を高めることが可能である。
最後に、雇用環境の変化が続く中、中小企業は「即採用」よりも「長期定着」を重視した採用活動に舵を切るべきである。雇用データが示す慎重な傾向は決して一時的なものではなく、長期的に続くと想定できる。だからこそ、自社の理念や働きがいをきちんと伝え、人材を長く育てる視点が何より重要になる。
この記事の要点
- 岡山県の有効求人倍率は1.31倍で6か月連続の低下
- 新規求人数は前年同月比6.0%減で4か月連続の減少
- 求職者数は増加し採用環境に変化が生じている
- 正社員求人倍率は1.20倍とわずかに低下
- 中小企業は求職者増加を採用機会として活かす必要がある
- 待遇改善や育成体制強化が採用競争力向上の鍵となる
- 地域別求人倍率の差を採用戦略に反映することが重要
⇒ 詳しくは岡山労働局のWEBサイトへ


