2026年4月5日
労務・人事ニュース
2024年外国人雇用調査で判明、日本語能力により最大約80,000円の賃金差が発生
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第13回)会議資料 【資料1】令和6年外国人雇用実態調査を用いた日本語能力と賃金に関する分析について(厚労省)
令和6年に実施された外国人雇用実態調査をもとに、日本語能力と賃金の関係性について詳細な分析結果が示された。この分析は、業務遂行に必要な日本語水準がどの程度成果や処遇に結びつくのかを明らかにする目的で行われたものであり、客観的なデータに基づいた検証として信頼性の高い内容となっている。これまで曖昧だった日本語能力と賃金の関係が、具体的な数値によって可視化された点に大きな意義がある。
本分析では、事業所への調査と労働者本人への調査を組み合わせ、複数の情報を突合することで精度の高いデータを構築している。個人を特定するために年齢や性別、在留資格などの一致を確認し、同一人物と推定されるデータのみを対象としている。一致率は67.4%とされており、統計としての信頼性を確保しつつ分析が進められている点も特徴的である。
対象となったのは短時間労働者を除いた一般労働者であり、雇用形態の違いによる影響を排除して比較可能な条件に整えられている。賃金については、月額給与を労働時間で割った平均時給に加え、残業の影響を除いた所定内時給も算出されているため、実態に近い形で日本語能力との関連が確認されている。
分析の結果、日本語の会話能力が高いほど賃金が上昇する傾向が明確に示された。会話能力が母語レベルに近い層では平均賃金が341,265円、平均時給が2,113円となっている。一方で、短い会話や基本的な挨拶にとどまる層では平均時給が1,400円台にとどまる水準となっており、能力差が賃金差として表れている実態が確認された。
読解能力についても同様の傾向が見られた。読解力が最も高い層では平均賃金が353,605円、平均時給が2,209円と高水準に達している。一方で、基礎的な理解にとどまる層では平均時給が1,300円台となり、会話能力だけでなく文章理解力も処遇に大きく影響していることが明らかになった。
さらに、在留資格別に見た場合の賃金水準にも差が存在する。一般労働者全体の平均給与額は274.9千円であるのに対し、専門的・技術的分野では318.6千円、技能実習では210.0千円、特定技能では250.3千円となっている。このような差に加えて、日本語能力の違いが重なることで、賃金格差がより顕著になっていると考えられる。
この結果は、企業にとって人材育成の方向性を示す重要な根拠となる。日本語教育への投資が、単なるコミュニケーション改善にとどまらず、賃金水準や生産性の向上に直結する可能性が示されたためである。特に、地域全体での受け入れ体制や教育環境の整備を進める際に、具体的な数値をもとにした判断が可能になる点は実務的な価値が高い。
また、働く側にとっても日本語能力の向上が収入増加につながる可能性が示されたことは重要である。語学学習の成果が処遇に反映されることで、学習意欲の向上や長期的な定着にも寄与すると考えられる。こうした好循環を生み出すためには、教育機会の充実と評価の透明性が欠かせない。
今後は、今回の分析結果を踏まえ、企業や地域がどのように日本語教育を体系的に整備していくかが課題となる。データに基づく政策や取り組みを進めることで、外国人材がより安定して働ける環境の構築が期待されている。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


