2026年4月28日
労務・人事ニュース
2026年3月の有効求人倍率1.18倍と令和7年度平均1.20倍低下で読み解く採用市場の変化と人材確保の新局面
一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)について(厚労省)
2026年4月28日に公表された2026年3月の職業紹介状況で、有効求人倍率は1.18倍となり、前の月を0.01ポイント下回りました。低下は小幅にとどまったものの、求人動向には慎重な見方も広がっています。一方、新規求人倍率は2.15倍となり、前月より0.05ポイント上昇し、新たな人材需要には持ち直しの動きもみられました。求人市場では強弱が入り交じる状況となっています。
正社員の有効求人倍率は0.99倍となり、前月と同水準でした。1倍をわずかに下回る水準が続く中、正社員採用では需給の引き締まりが続いていることがうかがえます。月間有効求人数は231万9,596人で、前年同月と比べ5.1%減少しました。有効求職者数は190万8,594人で0.5%増えており、求人減少と求職増加が並行する動きが確認されています。
新規求人数は785,351人となり、前年同月比で2.6%減少しました。一方、新規求職申込件数は395,232件で4.5%増え、求職活動には広がりがみられています。採用ニーズは残るものの、企業側の求人姿勢にはやや慎重さも見え始めており、人材確保をめぐる環境に変化が生じていることが数字から読み取れます。
産業別では明暗が分かれました。サービス分野は前年同月比3.1%増、製造業は2.0%増、建設業は0.1%増となり、採用需要の底堅さが示されました。一方で情報通信業は15.8%減、卸売・小売業は6.5%減、宿泊・飲食サービス業は6.4%減となり、一部業種では求人抑制の傾向がみられています。業種ごとの採用温度差が一段と鮮明になっています。
規模別では29人以下の事業所による新規求人が478,727人と全体の中でも大きな比重を占めており、中小規模の採用需要が市場を支えている構図も確認されました。医療・福祉は206,738人と引き続き高い求人規模を維持しており、人手需要の強さが続いています。人材不足分野と求人調整分野が併存していることが特徴となっています。
地域別では就業地ベースの有効求人倍率で福井県が1.74倍と最も高く、大阪府が0.96倍で最も低くなりました。受理地別では東京都が1.74倍で最高、神奈川県が0.83倍で最低となっています。同じ国内でも地域による求人環境の差が大きく、採用戦略では地域特性への対応が重要性を増している状況です。
2025年度平均の有効求人倍率は1.20倍となり、前年度の1.25倍を0.05ポイント下回りました。有効求人は前年度比4.1%減、有効求職者は0.7%減となっています。年度ベースでみても求人側の減速感がみられ、人材獲得競争の構造変化が進みつつあることが示されました。単月では小幅変動でも、年度平均では変化の流れが見えてきています。
就職件数は125,652件となり、前年同月と同水準でした。採用成立件数が維持されたことは一定の安定材料といえますが、求人減少の流れが続くなかでは今後の動向も注視されます。求人数の減少と一部業種の増加が同時に進む現状は、採用市場が一様ではなく、業種ごとの見極めが欠かせない局面にあることを示しています。
今回の結果では、有効求人倍率1.18倍、新規求人倍率2.15倍という数字に加え、業種別と地域別の差が際立ちました。人材採用を進める側にとっては、単純な売り手市場や買い手市場では整理できない局面に入りつつあります。求人減少の動向を見極めながら、需要が強い分野と地域をどう捉えるかが、今後の採用判断に影響しそうです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


