2026年6月24日
労務・人事ニュース
2026年4月徳島県の有効求人倍率1.22倍が示す転職市場の最新動向
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2026年4月徳島県の有効求人倍率1.22倍と正社員有効求人倍率1.03倍
徳島労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の雇用失業情勢によると、徳島県の有効求人倍率は季節調整値で1.22倍となり、前月の1.20倍から0.02ポイント上昇した。求人が求職を上回る状況は継続しており、県内企業にとって人材確保が依然として重要な経営課題となっている。一方で、景気については日本銀行徳島事務所が「弱含んでいる」と判断しており、企業の採用活動には慎重さと積極性の両方が求められる局面に入っている。
今回公表されたデータを見ると、徳島県の有効求人数は15,396人となり前年同月比0.9%増加した。一方で有効求職者数は13,524人で前年同月比4.5%減少している。有効求人倍率の上昇は求人の増加だけではなく求職者の減少によっても押し上げられていることが分かる。企業側から見れば人材確保が難しい状況が続いていることを意味しており、従来と同じ採用活動では十分な応募者を集められない可能性が高い。
全国平均の有効求人倍率は2026年4月時点で1.18倍となっているため、徳島県の1.22倍は全国平均を上回る水準にある。求職者1人に対して1件以上の求人が存在する状態が続いており、企業同士による人材獲得競争は今後も継続すると考えられる。
新規求人の動向を見ると、2026年4月の新規求人数は5,623人となり前年同月比2.0%増加した。新規求人倍率は季節調整値で2.37倍となり前月を0.32ポイント上回っている。これは求職者が新たに仕事を探し始めても、求人の方が大幅に多い状態であることを示している。採用担当者にとっては応募者不足への対応が引き続き重要なテーマとなる。
業種別に見ると、医療・福祉分野の新規求人は2,032人で全体の中でも圧倒的に多く、前年同月比11.3%増加した。高齢化が進む徳島県において医療や介護を支える人材需要は極めて高く、今後も継続的な採用が必要になると予想される。サービス業も930人で前年同月比6.5%増加しており、人材需要は堅調である。
一方で建設業は476人で前年同月比13.0%減少した。卸売業・小売業も496人で9.3%減少している。宿泊業・飲食サービス業についても243人で16.5%減少した。求人総数が減少している業種も存在するが、これを単純に採用難の解消と考えるべきではない。人件費上昇や経営環境の変化を受けて企業が採用計画を見直している可能性もあるためだ。
特に注目したいのは情報通信業である。新規求人は46人と規模自体は大きくないものの、前年同月比76.9%増加という大幅な伸びを示した。デジタル化や業務効率化の流れが加速する中で、IT関連人材への需要は今後さらに高まる可能性がある。地方企業においてもDX推進は避けて通れない経営課題となっており、人材確保や人材育成への投資が重要性を増している。
求職者側の動向を見ると、新規求職者数は3,369人で前年同月比3.5%減少した。新たに仕事を探す人が減少していることは企業にとって採用競争の激化を意味する。新規求職者の内訳では離職者が1,302人で全体の70.3%を占めている。自己都合離職者は823人となり、転職市場が一定の活発さを維持していることがうかがえる。
この数字から見えてくるのは、企業が新卒採用だけに依存することの危険性である。現在の採用市場では転職希望者が重要な人材供給源となっている。中小企業の採用担当者は中途採用の強化を進めるとともに、経験者だけではなく未経験者の受け入れ体制を整備する必要がある。
正社員市場の状況も重要である。正社員有効求人倍率は1.03倍となり前年同月を0.03ポイント上回った。正社員の有効求人数は8,058人で前年同月比1.1%増加している。正社員を希望する求職者よりも正社員求人の方が多い状況が続いており、安定した人材を求める企業の姿勢が数字に表れている。
地域別に見ると状況には差がある。徳島地域は1.40倍と県内で最も高い水準となった。鳴門は1.03倍、三好は1.15倍となっている。一方で阿南は0.90倍、牟岐出張所管内は0.84倍、小松島出張所管内は0.80倍となった。地域によって求人環境は大きく異なるため、採用担当者は県全体の数字だけでなく自社が所在する地域の状況を把握する必要がある。
職業別の有効求人倍率を見ると、人材不足の深刻さがさらに明確になる。保安職業従事者は6.93倍、建設・採掘従事者は4.15倍、専門的・技術的職業従事者は2.26倍となった。医療や介護、建設、警備など社会インフラを支える職種では慢性的な人材不足が続いている。
例えば建築・土木・測量技術者は4.51倍、医師や薬剤師などは5.40倍、看護師は3.18倍、社会福祉専門職は2.88倍となっている。企業が経験者採用だけに依存した場合、人材獲得競争で不利になる可能性が高い。採用担当者は育成前提の採用モデルを構築し、入社後の教育体制を強化することが求められる。
一方で事務職は0.48倍となっている。一般事務職に限定すると0.39倍であり、求職者数が求人を大幅に上回っている。つまり職種によって採用難易度は大きく異なる。中小企業は不足職種ばかりに注目するのではなく、事務職など比較的応募を集めやすい職種から社内人材を育成し、将来的に専門職へキャリアアップさせる戦略も検討すべきだろう。
また求人と求職のバランスシートを見ると、介護関連職種は有効求人倍率2.98倍、専門的・技術的職種は2.03倍、サービス職は2.00倍となっている。逆に運搬・清掃等は0.52倍、事務職は0.47倍である。こうした数字は採用担当者が採用計画を策定する際の重要な判断材料となる。
徳島県内の景気は弱含みとされているが、雇用情勢は緩やかな改善が続いている。設備投資や住宅投資には弱さが見られるものの、個人消費は底堅く推移しており、企業収益も一定の改善傾向が続いている。こうした環境下では、採用活動を単なる人員補充ではなく将来への投資として考える必要がある。
中小企業の採用担当者が有効求人倍率1.22倍から学ぶべき最大のポイントは、求人票を出すだけでは採用できない時代になったということである。求職者は給与だけでなく、働き方、職場環境、キャリア形成、教育制度、福利厚生などを総合的に比較して応募先を決定している。特に若年層は企業理念や職場の雰囲気も重視する傾向が強い。
そのため採用活動では、自社の魅力を具体的に発信することが重要になる。中小企業には大企業にはない強みがある。経営者との距離が近いこと、意思決定が早いこと、幅広い経験を積めること、地域社会への貢献を実感しやすいことなどである。こうした特徴を積極的に発信できる企業は、採用競争の中でも優位性を持つことができる。
さらに求職者数が減少している状況では、応募を待つ採用から探しに行く採用への転換も必要になる。ハローワークだけでなく、自社ホームページ、採用専用サイト、SNS活用、社員紹介制度など複数の採用チャネルを組み合わせることが重要である。特に地域密着型企業は地元とのつながりを活かした採用活動が成果につながりやすい。
2026年4月の徳島県の有効求人倍率1.22倍は、依然として人材不足が続く市場環境を示している。しかし同時に、企業の採用手法次第で成果が大きく変わる時代に入ったことも示している。求人が求職を上回る状況だからこそ、自社の魅力を正しく伝え、人材育成を前提とした採用戦略を構築できる企業が今後の成長を実現していくことになる。徳島県の雇用市場は大きな変化の中にあり、その変化を正確に捉えた採用活動こそが中小企業の競争力強化につながるだろう。
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ


