2026年6月24日
労務・人事ニュース
2026年4月鹿児島県の有効求人倍率1.02倍で採用担当者が見直すべき採用活動
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最終更新: 2026年7月13日 16:40
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2026年4月鹿児島県の有効求人倍率1.02倍が示す雇用市場の現状
鹿児島労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の雇用失業情勢によると、鹿児島県の有効求人倍率は季節調整値で1.02倍となり、前月の1.03倍から0.01ポイント低下した。全国平均の1.18倍を下回る結果となったものの、求人数が求職者数を上回る状態は維持されている。しかし、この数字だけを見て採用環境を判断することは危険であり、企業の採用担当者は求人倍率の背景にある求人数や求職者数の変化、産業別の求人動向、地域別の雇用状況まで含めて総合的に理解する必要がある。
今回の発表によると、有効求人数は34,382人で前月比1.0%減少し、3か月連続の減少となった。一方、有効求職者数は33,792人で前月からほぼ横ばいとなり、4か月連続で減少している。結果として有効求人倍率は1.02倍となったが、その内訳を見ると企業側の採用意欲が徐々に弱まっていることが読み取れる。実際に有効求人数は前年同月比で5.3%減少しており、38か月連続で前年を下回っている。これは一時的な変動ではなく、長期間にわたって求人市場が縮小傾向にあることを示している。
鹿児島労働局も、求人が減少している中で求職は横ばいで推移していると分析しており、物価上昇や中東情勢など外部環境が雇用へ与える影響について引き続き注視が必要としている。企業経営を取り巻くコスト負担の増加や先行き不透明感が、採用計画の見直しにつながっている可能性がある。
新規求人の動向を見ても同様の傾向が確認できる。2026年4月の新規求人数は12,274人で前年同月比8.8%減少し、4か月連続で前年を下回った。一方、新規求職申込件数は8,989件で前年同月比0.8%減少となった。求職者数の減少幅よりも求人減少幅のほうが大きいため、企業の採用競争力は徐々に弱まっている状況といえる。
ただし、中小企業の採用担当者が注目すべきなのは、求人倍率が低下したから採用しやすくなったという単純な話ではない点である。現在の採用市場では、応募者数の増減以上に企業選択の基準が変化している。求職者は給与や賞与だけでなく、働き方改革への取り組み、休暇制度、キャリア形成支援、教育制度、職場環境、企業理念などを重視する傾向を強めている。そのため、求人倍率が改善しても応募が集まらない企業と、多くの応募を集める企業の差が広がっている。
産業別の新規求人を見ると、その傾向はさらに明確になる。建設業は1,119人で前年同月比15.3%減少した。運輸業・郵便業は363人で43.1%減少、卸売業・小売業は1,350人で11.2%減少、宿泊業・飲食サービス業は986人で18.3%減少、医療・福祉も4,406人で2.3%減少となった。一方で製造業は1,119人で2.1%増加し、サービス業は1,231人で2.7%増加している。
この結果からわかるのは、業界によって採用環境が大きく異なっているという事実である。採用担当者は自社業界だけで採用戦略を考えるのではなく、地域内の他業界との競争も意識する必要がある。例えばサービス業や製造業が採用を強化している地域では、求職者の取り合いが発生する可能性が高い。その際、給与条件だけで勝負するのではなく、企業文化や働きがいを具体的に発信することが重要になる。
求職者の動向を見ると、新規求職申込件数のうち在職求職者は1,638人、離職求職者は6,488人となっている。特に離職求職者が大きな割合を占めていることから、転職市場の存在感が高まっていることがわかる。中小企業にとっては、新卒採用だけでなく中途採用市場を積極的に活用することが人材確保の鍵となる。
また、有効求職者数は35,526人で前年同月比3.5%増加している。求職者が増えているにもかかわらず採用が思うように進まない企業がある背景には、求人内容と求職者ニーズのミスマッチが存在している。企業側が必要とするスキルや経験と、求職者が希望する仕事内容や待遇が一致していないケースが増えていると考えられる。
就職件数は2,517件で前年同月比4.0%減少した。34歳以下は1,062件で4.6%減少、45歳以上は1,455件で3.7%減少している。全ての年齢層で前年を下回っていることから、単なる若手不足だけではなく、幅広い年齢層でマッチングが難しくなっている状況がうかがえる。
企業の採用担当者は、求人票の内容を見直すことも重要になる。求職者は求人票だけで企業を判断するわけではなく、企業ホームページやSNS、口コミサイトなど複数の情報源を確認する時代となった。求人票に書かれた内容と実際の職場環境に差がある場合、採用できても定着率が低下する可能性が高い。そのため、採用活動では正確な情報発信と入社後のフォロー体制の整備が欠かせない。
正社員採用の状況も重要なポイントである。2026年4月の正社員有効求人倍率は1.02倍となり、前年同月を0.02ポイント下回った。正社員有効求人数は19,240人、正社員有効求職者数は18,872人となっている。倍率としては依然として1倍を超えているが、企業が求める正社員人材の確保は依然として容易ではない。
中小企業においては、正社員採用の難しさを補うために、多様な雇用形態の活用も検討する必要がある。フルタイム正社員だけに限定せず、短時間勤務や柔軟な勤務制度を導入することで応募者層を広げることができる。また、育児や介護との両立支援を充実させることで、潜在的な労働力を採用につなげられる可能性も高まる。
地域別の有効求人倍率を見ると、県内でも大きな差がある。2026年4月時点で熊毛は1.54倍、出水は1.18倍、大隅は1.14倍と比較的高い水準にある。一方で大口は0.75倍、川内は0.85倍、宮之城は0.89倍、加世田は0.97倍となっている。同じ鹿児島県内でも人材需給の状況は異なるため、自社が所在する地域特性を踏まえた採用戦略が求められる。
さらに企業が今後注目すべきなのが若年層採用である。鹿児島労働局は2026年6月1日から2027年3月卒業予定の高校生向け求人受付を開始すると発表した。企業から学校への求人提出は7月1日から、学校から企業への推薦開始は9月5日から、採用選考開始は9月16日からとなる。若年人口が減少する中で、高校新卒採用は将来の人材確保において重要性が高まっている。
鹿児島労働局は企業PR動画やYouTubeショート動画を活用した情報発信も推進している。これは現在の高校生世代が動画を通じて企業研究を行う傾向が強いためである。採用担当者にとっては、求人票だけでなく動画やSNSを活用した採用広報の重要性がますます高まっているといえる。
2026年4月の鹿児島県の有効求人倍率1.02倍は、表面的には求人数が求職者数を上回る状況を示している。しかし実態としては求人減少が長期化し、就職件数も減少し、採用市場のミスマッチが拡大している局面にある。中小企業の採用担当者は、単純に募集人数を増やすのではなく、自社が求職者からどのように見られているのかを客観的に分析し、働く魅力や成長機会を具体的に発信する必要がある。また採用後の定着支援まで含めた人材戦略を構築することで、厳しい採用環境の中でも持続的な人材確保につなげることができるだろう。
⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ


