2026年9月15日
労務・人事ニュース
2026年9月、漁村の経済・雇用維持に44.5%が期待 地域産業の役割に注目
世論調査報告書概略版(速報)(令和8年9月4日掲載)(内閣府)
2026年9月4日、水産業をめぐる国民の意識を調べた世論調査の速報結果が公表されました。全国の18歳以上の日本国籍を持つ3,000人を対象とし、1,522人から回答を得ています。回収率は50.7%でした。
調査期間は2026年7月16日から8月23日までで、郵送方式で実施されました。今回の速報値は8月14日までに到着した回答を集計したもので、回収数や割合は今後公表される確報で修正される可能性があります。
調査ではまず、日本近海の海水温が上昇し、獲れる魚の種類や量が大きく変化していることを知っているか尋ねました。「よく知っている」は25.2%、「ある程度知っている」は57.6%となっています。
2つを合わせた「知っている」は82.7%に達した一方、「あまり知らない」は14.2%、「まったく知らない」は2.6%でした。海洋環境の変化が水産業に影響している状況は、多くの人に認識されていることがうかがえます。
水産業に期待する役割で最も回答が多かったのは、資源管理や養殖などによって水産物を安定的かつ持続可能に供給する機能で81.0%でした。食料を継続的に確保する役割への関心が高い結果となりました。
魚介類の産卵場や育成場、餌場となる藻場や干潟などの環境を守る機能にも60.9%が期待しています。水産業を単に魚を獲る産業としてではなく、海の環境を維持する役割まで含めて捉える回答が目立ちます。
漁村の経済や雇用、人のつながりを維持する地域の基幹産業としての機能を挙げた人は44.5%でした。不審な外国漁船などを監視、通報する国境監視の機能についても43.8%が期待を示しています。
水産政策への期待では、水産物の安定供給に向けて漁業や養殖業の技術開発、操業改革を進めることが71.6%で最多でした。環境変化が進む中でも供給を維持するための技術や生産体制への関心が高く表れています。
稚魚の放流や魚礁の設置、藻場や干潟の保全による水産資源の増殖は57.1%、漁獲量の制限などを通じた水産資源の管理は56.9%でした。外国漁船による違法操業の取り締まりも54.5%となっています。
岸壁の耐震化や防波堤の強化など、漁業地域の防災・減災対策を求める回答は32.1%でした。環境に配慮した漁具などの取り組みは24.3%、調理しやすい加工品の開発による魚の消費拡大は19.3%となりました。
持続性や環境に配慮して生産されたことが表示された水産物について、どこまで価格が高くても購入したいかも尋ねています。「1割高から2割高までなら購入する」と答えた人が59.5%で最も多くなりました。
「3割高までなら購入する」は8.4%、「価格は気にせず購入する」は5.4%でした。一方、「同等の価格なら購入するが、少しでも高くなるなら購入しない」とした回答も24.0%あり、価格への意識も明確に表れています。
水産業を将来にわたって維持するため、消費者としてできることでは「国産の水産物を積極的に購入する」が65.0%でした。冷凍・加工水産物も利用し、魚を食べる機会を増やすとの回答も63.7%に上っています。
水産業や漁村が抱える課題に関心を持ち、消費や観光を通じて漁村とのつながりを持つことは36.3%でした。資源管理や環境に配慮して生産された水産物を選ぶことを挙げた人は29.5%となっています。
活力が低下した漁村地域との関わり方では、国産水産物を購入し、消費を通じて地域を支えたいとの回答が74.4%で最多でした。地域への支援を消費という日常的な行動から始めたい意向が強く示された形です。
寄付制度などを通じて漁村地域の取り組みを支援したいとの回答は35.9%、観光やイベントを通じて地域を訪れ、住民と交流したいは23.7%でした。漁業や漁村について情報発信や応援をしたいとの回答も20.5%あります。
一方、2地域居住やボランティアなどを通じて地域活動に関わりたいとの回答は4.5%でした。「特に関わりたいとは思わない」は6.3%で、関わり方によって参加への意欲に大きな違いがあることも確認できます。
水産業への理解を深めるために効果的な取り組みとしては、テレビや新聞、SNSなどを通じた分かりやすい情報発信が69.4%で最も多く、学校教育や食育を通じて学ぶ機会を増やすことも65.7%に達しました。
店舗や魚市場で体験や学習の機会を設けることは31.3%、資源管理や環境保全への取り組みを認証や表示で伝えることは30.6%でした。漁業体験や観光によって都市部と漁村の交流機会を増やす案も29.8%となっています。
今回の速報では、海洋環境の変化への認知が82.7%に達し、安定的な水産物供給への期待も81.0%となりました。漁村の経済や雇用を維持する機能にも44.5%が期待しており、水産業を地域社会と結び付けて捉える意識も示されています。
技術開発や操業改革への期待が71.6%に上る一方、消費者側でも国産水産物の購入を通じた支援が65.0%となりました。生産、資源管理、消費、地域との関わりを含め、水産業を支える方法への関心が幅広く表れた調査結果です。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


