2026年9月18日
労務・人事ニュース
北海道の有効求人倍率0.73倍、2026年8月の採用市場は前年より0.08ポイント低下し12か月連続で前年割れ
景気ウォッチャー調査(令和8年8月調査)― 北海道(現状)―(内閣府)
2026年8月の北海道では、観光や航空需要、建設投資など一部で堅調な動きがみられる一方、物価高や人件費上昇を背景に企業の採用姿勢には慎重さも残りました。求人市場では人手不足と求人抑制が同時に進んでいます。
雇用関連では、ある管内の2026年7月の月間有効求人倍率が0.73倍となり、前年を0.08ポイント下回りました。前年割れは12か月連続となっており、求人と求職のバランスには弱さが残っています。
新規求人数についても減少傾向が続いているとの回答がありました。ただし、求人の減少幅は月によって変動しており、単純に景気悪化だけが原因とは判断できない状況とされています。
背景には物価高や人件費負担の増加に加え、人口減少や少子高齢化など複数の要因があります。企業側では人手不足が続く一方、経営コストを考慮して採用人数を抑える動きもみられました。
求人事業所数については横ばいとなっているとの回答があり、人手不足を理由に企業の雇用意欲そのものは高い状態が続いています。求人件数の減少と人材確保意欲の高さが併存している形です。
業種別では、運輸、不動産、外食などで求人の改善がみられ、全体の求人件数は横ばいとなったとの見方があります。一方、宿泊、建設、小売では求人が低迷しており、業種ごとの差が鮮明です。
観光関連では北海道を訪れる国内客や訪日客の動きがあり、航空需要も国内線、国際線ともに伸びています。観光や帰省に加え、半導体関連やコールセンターなどのビジネス利用も堅調となりました。
観光需要を巡っては、来年に4つのホテル開業や民泊の増加が予定されているとの回答もありました。航空路線の通年就航も決まっており、今後の宿泊・観光需要拡大につながる材料が確認されています。
ただし、こうした好調な動きが北海道のすべての業種に広がっているわけではありません。観光や農業など一部では需要が強い一方、物価高の影響を受ける小売や住宅関連では厳しい状況が続いています。
企業動向では、データセンターやGX関連産業の動きが活発となり、地域経済の押し上げ要因となっています。通信関連でもこうした分野の事業活動を背景に、経済の盛り上がりを指摘する回答がありました。
建設分野では、公共投資や民間設備投資を背景に案件が存在する一方、対応できる人材が不足し、仕事を断るケースも生じています。求人を出す必要性があっても、採用が追い付かない状況が表れています。
人材市場では、直近3か月の新規面談数は落ち着いているものの、書類推薦や1次面接に進む件数が増加傾向にあります。転職相談だけでなく、実際に転職活動を進める求職者が増えているとの見方です。
求職者の動きが活発になる一方、企業側には採用抑制の動きもあります。物価高や企業収益の先行き不透明感を背景として、求人を抑える企業が増えているとの回答も確認されました。
また、管内の新規求人数が前年を下回る一方、人手不足感は解消していないとの見方があります。求人を減らしている企業があっても、必要な人材を確保できているとは限らない点が特徴です。
小売では物価高を背景に消費者の節約志向が続いており、客単価の上昇ほど来客数や買上点数が伸びないケースがあります。企業にとっては売上増だけで採用余力を判断しにくい環境となっています。
自動車販売では、3か月前に新車と中古車がともに前年比120%程度だった事例に対し、8月は新車80%、中古車160%となったケースもありました。高額消費でも選択の変化がみられます。
観光では、大規模ビヤガーデンの来客数が前年を12%上回ったとの回答もありました。一方、旅行相談件数が例年より低いとの声もあり、観光需要についても地域やサービスによって濃淡があります。
住宅関連では、金利上昇と資材価格高騰が引き続き重荷となっています。戸建て住宅の取得に必要な年収が平均1,000万円まで上昇しているとの指摘もあり、住宅需要の先行きには慎重な見方があります。
こうした経営環境の中でも、北海道では人材不足を理由とする企業の雇用意欲は残っています。求人件数だけでなく、求人事業所数や求職者の応募行動、採用までの進捗を見ることが重要になっています。
2026年8月の北海道は、有効求人倍率0.73倍となった管内がある一方、転職活動を実際に進める求職者は増加傾向でした。採用担当者にとっては、人手不足と求人抑制が並行する複雑な市場環境となっています。
今後は、宿泊や建設、小売で低迷する求人が回復するかに加え、運輸や不動産、外食などでみられる改善がどこまで広がるかが焦点です。観光やデータセンター関連の需要も採用市場を考える材料となります。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


