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2025年1月14日

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全国の学校給食無償化、40%の自治体で実施!課題と財源問題

「給食無償化」に関する課題の整理について(文科省)

令和6年12月27日に発表された「給食無償化」に関する課題の整理についての文部科学省の報告では、現在の取り組みとその課題が詳細に示されています。この政策は、子ども・子育て政策の一環として、学校給食費を保護者負担から公費負担へと移行し、経済的負担の軽減を図ることを目的としています。特に、少子化対策や地域活性化の観点から、給食無償化の可能性が検討されていますが、その背景や課題について具体的なデータとともに整理されています。

学校給食の歴史的経緯を振り返ると、その目的は単なる栄養補給に留まらず、食育の推進や地域活性化など多岐にわたるものです。明治22年、山形県鶴岡市の私立小学校で始まった給食制度は、戦後の昭和21年に全国的に再開され、昭和29年には学校給食法が制定されました。現在では全国の公立小中学校で広く普及しており、その栄養教育や健康保持への寄与は評価されています。

一方で、自治体が実施する給食無償化には、様々な課題が残されています。令和5年9月時点で、自治体独自の無償化を実施している自治体は1,794のうち722(約40%)に上り、そのうち547自治体がすべての児童生徒を対象としています。しかし、その財源には地方創生臨時交付金やふるさと納税が多く活用されており、財政的な持続可能性が課題とされています。また、無償化の目的として子育て支援が9割を占める一方、少子化対策や食育の推進を目的とする自治体は少数に留まっています。

また、給食の提供内容や費用には地域差が見られ、例えば小学校給食費の平均月額は福島県の5,314円から滋賀県の3,933円まで幅があります。この地域差は、自治体ごとの財政力や地元食材の活用度合いによるもので、公平性が課題となっています。

さらに、無償化を進めるにあたっての大きな壁は、限られた財源の中での優先順位の設定です。現在、約14%の児童生徒が経済的理由で教育扶助や就学援助を受けており、これらの家庭では既に給食が無償化されています。このため、新たに全児童を対象とした無償化を実施する場合、困窮世帯に追加的な恩恵を与えることはなく、格差是正の観点では効果が限定的とされています。

さらに、成果目標や評価の欠如も指摘されています。無償化を実施する自治体のうち、目標を設定しているのはわずか13.4%で、効果検証を行っている自治体も16.5%に留まっています。特に、少子化対策としての効果を中長期的に検証する指標(出生数、婚姻数など)を定めている自治体は少なく、この点が政策の実効性を疑問視する要因となっています。

今後の課題として、国と地方の役割分担や、財政力格差を超えて全国一律の給食無償化を実現するための仕組み作りが挙げられます。特に、地域の財政力指数による無償化実施率の差異が明らかになっており、財政力の低い自治体では政策の持続性が懸念されます。

このように、給食無償化は、子育て世帯の経済的負担軽減や少子化対策として重要な意義を持ちながらも、地域間格差や財源確保といった複数の課題に直面しています。これらの課題を克服するためには、政策の目的と優先順位を明確にし、効果的な財源配分と施策の検証を行う必要があります。

⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ

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