2025年1月30日
労務・人事ニュース
全国の救急出動件数が過去最高764万件、救助活動も大幅増加(令和6年版 救急・救助の現況)
「令和6年版 救急・救助の現況」の公表(総務省)
2025年1月24日、総務省消防庁が「令和6年版 救急・救助の現況」を発表しました。この報告書は全国で行われた救急業務および救助業務の詳細なデータを取りまとめたもので、毎年発行されています。今年の報告では、令和5年中の救急および救助活動の増加傾向が際立っています。これらのデータは、救急車や消防防災ヘリコプターによる緊急対応の状況、搬送人員の変化、事故種別の詳細分析など多岐にわたります。
令和5年の救急出動件数は過去最高を記録し、764万987件に達しました。このうち救急車による出動件数は763万8,558件で、前年比5.7%の増加を示しています。また、搬送された人員は664万3,379人で、こちらも前年比6.8%増と大幅な伸びを見せました。救急業務の出動件数や搬送人員の記録は、昭和38年に統計が開始されて以来の最高値となりました。
搬送時間に関するデータでは、現場到着までの平均時間が10.0分、病院収容までの平均時間が45.6分と、いずれも新型コロナウイルス感染症流行前に比べて延長しています。この傾向は高齢化や医療機関の対応能力の変化を背景にしており、救急現場の課題を浮き彫りにしています。
救急出動の内訳を見ると、「急病」が全体の67.7%を占め、件数は517万4,494件に上りました。次いで「一般負傷」が15.5%、「転院搬送」が7.3%と続いており、いずれも前年に比べて増加傾向が見られます。一方で「交通事故」の割合は減少傾向が続いており、全体の5.2%を占める結果となりました。
搬送人員の分析では、高齢者の割合が特に増加しており、全搬送人員の61.6%を占めています。高齢化社会が進む中で、救急サービスの重要性が一段と高まっていることが示されています。また、乳幼児の搬送件数も前年比22.6%増と顕著な伸びを示し、幅広い年代で救急需要が増加していることが明らかになりました。
救助業務においても、出動件数は7万1,707件で前年比5.3%増加しました。救助人員は6万6,815人で、こちらも6.6%の増加を記録しています。「建物等による事故」の件数が全体の半数近くを占めており、特に意識障害などによる室内での動けない状態への対応が増加しています。一方で、「火災」や「交通事故」による救助件数は減少傾向にあります。
消防防災ヘリコプターによる活動も注目されます。全国で77機が配備されているこれらのヘリコプターは、救急および救助活動で大きな役割を果たしています。令和5年中の出動件数は5,440件で、前年から0.8%減少したものの、「一般負傷」や「転院搬送」の対応は引き続き高い水準を維持しています。
この報告書は、救急・救助体制の現状を詳しく理解するための貴重な資料です。急増する需要に対応するため、救急搬送の効率化や救助体制の充実が一層求められています。企業や自治体にとっても、地域住民の安全を守るための施策立案に役立つ内容です。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ