2026年6月1日
労務・人事ニュース
2026年4月先行き 北陸で工作機械受注増加と求人数拡大の兆し、有効求人倍率時代に採用担当者が見直すべき求人戦略とは
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最終更新: 2026年5月31日 22:00
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最終更新: 2026年6月1日 01:40
景気ウォッチャー調査(令和8年4月調査)― 北陸(先行き)―(内閣府)
2026年4月に公表された北陸地域の景気先行き調査では、富山県、石川県、福井県を中心とした地域経済において、観光需要の回復やインバウンド需要の継続、工作機械や設備関連の受注増加など前向きな動きが確認される一方で、中東情勢の長期化に伴う原油価格の高騰、ナフサ由来資材の供給不安、物流費や人件費の上昇、生活必需品の値上げなど、地域経済を支える企業活動と家計消費の双方に大きな影響を与える懸念材料も広がっています。
製造業の比率が高く、観光や地域商業も重要な産業基盤となる北陸では、景気の変化が雇用市場や採用活動に与える影響も大きく、企業の採用担当者にとっては売上や受注動向だけでなく、有効求人倍率や求人数、人材確保の難易度まで見据えた判断が求められる局面に入っています。
観光関連では、明るい材料が数多く確認されています。商店街では5月のゴールデンウィークを控え、国内観光客の増加が確実視されており、欧州やアジアを中心とした多国籍なインバウンド需要も引き続き堅調に推移しています。中国からの訪日需要の回復はやや鈍いものの、全体としては前年を上回る水準が維持されるとみられています。タクシー業界からも、気候が良くなるこれからの季節は観光客が増加し、豪華客船の寄港予定も多いことから、人の移動が地域経済を押し上げるとの期待が高まっています。北陸新幹線延伸効果や訪日客の地方分散も重なり、観光都市を中心に宿泊や飲食関連の需要増加が見込まれています。
家電販売では、省エネ基準の改定を背景にエアコン需要が拡大しています。家電量販店では、新たな省エネ基準導入前の駆け込み需要によってエアコンの前倒し購入が増加しており、生活必需品の値上げが続くなかでも、家電製品については計画的な買換えを進める家庭が増えています。光熱費の上昇を背景に、省エネ性能を重視した商品への関心も高まっており、夏本番に向けて販売増加が期待されています。ただし、リフォーム関連商材では供給の不確実性やパソコン関連部品の高騰もみられ、楽観視できないとの見方も出ています。
自動車関連では、新車販売に一定の明るさがみえています。乗用車販売店では新型車のモデルチェンジが販売増加につながるとの期待があり、新車と中古車の双方で一定の需要が継続しています。しかしその一方で、ガソリン価格の高止まりや税負担の重さが購買意欲を抑える要因にもなっており、消費者の慎重な姿勢は続いています。さらに、自動車備品販売の現場では中東情勢の影響によって一部商品の入荷が滞り、販売機会の損失も出始めています。地域の基幹産業でもある自動車関連の動向は、今後の採用計画にも影響を与える可能性があります。
商業施設では集客強化に向けた投資も進んでいます。ショッピングセンターでは施設のリニューアルが予定されており、来客数増加への期待が高まっています。ただし、改装資材の入手が難しくなっていることに加え、設備投資コストも上昇しており、投資判断には慎重さも求められています。百貨店では株高の恩恵を受ける富裕層への販売戦略を強化する動きがある一方で、中間所得層では物価高の影響から節約志向が強まっており、高価格帯商品の購入には慎重な姿勢がみられます。消費の二極化がさらに鮮明になっている状況です。
日常消費の現場では、節約意識の高まりがより顕著になっています。精肉店では原油高を背景とした原料価格上昇により、牛肉から豚肉や鶏肉へのシフトが進むとみられています。鮮魚店でも原材料費や物流費の高騰が限界を超えており、価格転嫁の動きが加速する見通しです。スーパーではナフサ関連資材の供給不安から、これまで経験したことのない緊急的な値上げや出荷制限の連絡が相次いでいます。必要なものだけを購入する傾向が強まり、今後さらに購買力の低下が進むとの見方も出ています。
外食や宿泊関連でも慎重な見方が広がっています。高級レストランでは仕入れが困難な食材や商材が増え始めており、値上げも避けられない状況です。一般レストランでも可処分所得に占める外食費の割合が低下するとみられており、来店頻度の減少が懸念されています。都市型ホテルではゴールデンウィークの団体予約は前年並みを確保しているものの、個人客の動きは弱く、稼働率低下を見込む声もあります。テーマパークでも5月以降の予約状況が前年同月を下回っており、レジャー需要の先行きには慎重な見方が強まっています。
住宅や建設関連では、経営環境の厳しさがさらに増しています。住宅販売会社では建築資材の高騰に加え、職人不足や市場環境の変化によって先行きへの不安が強まっています。夏場以降も中東情勢が長引いた場合には、建築資材の流通停滞や工事着手停止もあり得るとの見方も出ています。建設業でもアスファルト舗装工事に使用する資材が3月から値上げされており、発注価格への転嫁までに時間差があることから利益圧迫が懸念されています。地域インフラを支える企業にとっても、資材確保と採算維持の両立が重要な課題になっています。
製造業では、業種によって明暗が分かれています。一般機械器具製造業では国内の工作機械受注が堅調に増加しており、設備投資への期待も高まっています。電気機械器具製造業でも金型や設備関連の受注が増加しており、今後2か月から3か月程度は現状の受注水準を維持できるとの見方が示されています。一方で、プラスチック製品製造業では原材料供給に2か月程度の空白が生じており、その影響が数か月続く可能性が指摘されています。金属製品製造業でも接着剤の入手難から生産障害が発生し、顧客側で受注制限が始まるなど、供給網の不安定さが現実の経営課題となっています。
雇用市場では、地域ごとの業種差が目立ちながらも、人材不足そのものは継続しています。新聞社の求人広告担当者からは、今後求人数が増加する見込みとの前向きな声がある一方で、人材派遣会社では繁忙期による依頼増加が景気悪化による依頼減少で相殺されるとの慎重な見方も示されています。職業安定所では中東情勢の影響を懸念する事業所はあるものの、現時点では全体として大きな雇用変動には至っていないと分析しています。しかし大学の就職担当者からは、原材料調達の難化や生産計画見直しは避けられないとの声も出ており、今後の採用市場には下振れリスクも残されています。
北陸地域で採用競争を勝ち抜くためには、求人票を出すだけでは人材確保が難しい時代に入っています。初任給、昇給率、年間休日、住宅手当、資格取得支援、平均残業時間、育児支援制度、交替勤務手当、離職率、管理職登用実績など、働く環境を具体的な数字で示し、求職者が将来のキャリアを明確に描ける採用設計が求められています。有効求人倍率が高い地域では、求人数が増えても応募数が比例して増えるとは限りません。2026年春の北陸市場では、観光需要の追い風と原材料不足の逆風が同時に進行しており、人材戦略そのものが企業の競争力を左右する重要な経営課題となっています。
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