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2024年6月18日

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家族の苦悩と精神医療 入院同意の影響とトラブルの現状

⑥精神医療の現状と課題(厚労省)

精神医療の現状と課題について、大阪精神医療人権センターの西川氏が解説を行いました。この内容は、精神医療の現状に加え、入院形態や在院期間、処遇、隔離および身体拘束といった具体的なポイントに焦点を当てています。精神医療における入院形態には、患者自身の意思によらない強制入院が存在し、多くの入院者がその詳細を十分に理解していない現状が浮き彫りになりました。統計データからは、半数以上が非自発的入院となっており、家族の同意が必要な医療保護入院が主流を占めています。

入院期間については、精神科では長期入院が一般的であり、20年、30年といった長期間にわたるケースも珍しくありません。この長期入院の背景には、退院を諦めざるを得ない状況が存在し、患者の生活に大きな影響を及ぼしています。2022年のデータによると、新規の医療保護入院患者の多くが1年未満で退院する一方で、10%以上が1年以上の長期入院を強いられていることが明らかになっています。

精神科病院の処遇に関しては、閉鎖病棟という鍵のかかる病棟が特徴的です。患者の状態に応じて精神科医が必要と認めた場合や、患者本人の同意がある場合に閉鎖病棟での治療が行われますが、外出の自由が制限されるため、不便を感じる患者の声が多く聞かれます。多くの任意入院患者が鍵のかかった病棟で治療を受けており、これが患者にとって精神的な負担となっています。

隔離や身体拘束については、患者の尊厳を奪う大きな精神的苦痛を伴い、そのトラウマが精神科医療への不信感を生む原因となっています。隔離や身体拘束の件数は減少傾向にはないものの、適切な管理と監督が求められています。

精神科病院における事件や人権問題も重要な課題です。過去には宇都宮病院事件や大和川病院事件など、看護職員の暴行や不適切なケアにより患者が命を落とすケースが発生しています。これらの事件を契機に法改正や制度改善が進められてきましたが、依然として精神科病院内での虐待や不正が続いている現状があります。

精神科病院における虐待防止策としては、法律に基づいた定期的な指導や審査が行われており、外部の第三者が関与することの重要性が指摘されています。閉鎖的な環境では不適切な処遇が発生しやすいため、第三者の目が必要とされているのです。

また、精神科医療の背景には家族の問題もあります。家族が患者の入院を決断する場面では、トラブルや葛藤が生じやすく、家族自体が精神的な負担を抱えることも多いです。家族が支え合える環境の整備が求められています。

精神科病院の人員配置も課題の一つです。法令では精神科病床の医師や看護師の配置基準が一般病床に比べて低く設定されており、これが治療の質に影響を与えています。地域資源の充実も必要であり、在宅サービスの整備が進めば、多くの長期入院患者が退院可能になるとされています。

さらに、精神障害者に対する偏見も大きな課題です。施設やグループホームの設立に対する反対の声が多く、正しい情報を伝えることが偏見の解消につながるとされています。家族も差別や偏見に苦しむことが多く、社会全体での理解と支援が求められています。

このように、精神医療には多くの課題が存在し、それらを解決するためには法改正や制度改善だけでなく、社会全体での取り組みが必要です。入院患者の人権を尊重し、適切な医療と支援を提供するための努力が求められています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のYoutubeチャンネルへ

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