2026年5月8日
労務・人事ニュース
外食業7割と他業種との差が浮き彫りになった外国人労働者組織化の現状
外国人労働者の雇用・組織化の現状と課題 ―UAゼンセンアンケート調査の2次分析から―(JILPT)
2026年4月13日、外国人労働者の雇用や職場における位置づけをめぐる実態と課題を整理した調査結果が公表された。近年、日本国内では人手不足の深刻化を背景に外国人材の受け入れが拡大しており、その就労環境や権利保障の在り方が重要な政策課題となっている。こうした状況を踏まえ、労働現場における実態を把握することを目的に、過去に実施された複数のアンケート調査をもとに分析が行われた。
今回の分析では、2021年、2022年、2024年に実施された調査データを活用し、外国人労働者の雇用状況や労働組合への加入状況の変化が検証された。その結果、この3年間で外国人労働者を雇用する組織数および従業員数は増加傾向にあることが確認された。多くの外国人労働者は非正社員として働いているものの、そのうち約5割が労働組合に加入している実態が明らかとなっている。
特に外食分野では組織化の割合が約7割と高く、他の分野と比べても顕著な水準にある。この背景には、留学や身分に基づく在留資格など、本来就労を主目的としない資格で滞在する外国人が、パートやアルバイトといった既存の雇用形態の中で働いていることが影響しているとみられる。結果として、従来の労働組合の枠組みに組み込まれやすい構造が形成されている点が特徴となっている。
一方で、技能実習生や特定技能といった就労を目的とした在留資格を持つ外国人については、雇用は拡大しているものの、労働組合への加入率は1割から2割程度にとどまっている。こうした層は今後さらに増加する見通しとされる中、組織化の遅れが課題として浮き彫りになっている。さらに、技能実習生を組織化している組織では特定技能外国人も組織化されている傾向がある一方、いずれも未組織のままとなっているケースも確認されており、取り組みの有無によって格差が生じている状況がうかがえる。
産業別にみると、製造、流通、サービスなど各分野で状況は異なるが、特にサービス分野の中でも外食や介護では一部に特徴的な動きが見られる。例えば、技能実習生を雇用していないにもかかわらず特定技能外国人を組織対象としている事例や、逆に技能実習生の組織化が進んでいないケースなど、多様な対応が存在している。こうした差異は、業種ごとの人材需要や雇用形態の違いが影響していると考えられる。
また、外国人従業員を対象とした調査からは、技能実習生が仕事や生活面で課題や不安を抱えている一方で、受け入れ企業に対して一定の期待を持っている実態も確認された。こうした状況を踏まえると、日常的な職場環境の改善やコミュニケーションの充実が重要であり、その役割を担う主体として労働組合の関与が求められている。
今後、外国人労働者のさらなる増加が見込まれる中で、企業は在留資格の違いを踏まえた雇用戦略を整理し、組織内での位置づけを明確にする必要があるとされる。同時に、労働組合においても従来のメンバーシップの範囲を見直し、多様な人材を包摂する仕組みづくりが求められている。今回の分析結果は、外国人雇用の実態把握と今後の制度設計を検討するうえでの基礎資料として活用が期待されている。
⇒ 詳しくは独立行政法人 労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ


