2025年6月17日
労務・人事ニュース
令和7年4月の新潟県雇用統計、有効求人倍率1.50倍で企業が見落としがちな採用課題
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最終更新: 2025年6月16日 22:31
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最終更新: 2025年6月16日 22:31
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最終更新: 2025年6月17日 08:12
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最終更新: 2025年6月16日 22:31
サービス業が前年比22.3%増、新潟県における今後の人材獲得戦略をどう描くべきか
令和7年4月、新潟労働局が発表した県内の一般職業紹介状況によれば、雇用環境にはいくつかの重要な変化が見られました。有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.06ポイント上昇し1.50倍となり、全国平均である1.26倍を大きく上回る水準を維持しています。これは一見すると企業にとって採用が進めやすい状況のように見えますが、実際には有効求職者数が減少傾向にあるため、優秀な人材の確保は容易ではない状況にあることが浮き彫りになっています。
特に注目すべきは、有効求人数が前月比で3.2%増加した一方、有効求職者数は0.6%減少しているという点です。すなわち、求人数の増加に対して求職者数が追いついていない構図となっており、企業側にとっては「求人を出しても応募が集まらない」という採用難が進行している現実があります。このような状況下で企業が採用活動を成功に導くためには、ただ単に求人を出すのではなく、より戦略的かつ柔軟な対応が求められます。
たとえば、正社員に関するデータを見ると、有効求人倍率(原数値)は前年同月比で0.04ポイント上昇し1.38倍となっていますが、正社員の有効求人数は前年同月比で2.1%減少しており、求職者側の動きも鈍化している状況です。つまり、正社員を求める企業が多い中で、希望者が少ないというアンバランスが生じており、このギャップをどう埋めるかが人事戦略上の大きな課題となります。
企業の採用担当者はこのような数値を冷静に分析し、自社の求人が他社と比較してどのような位置にあるのか、またどの職種が競争の激しい領域であるのかを見極める必要があります。特にサービス業や医療・福祉、建設業などは新規求人の伸びが大きく、今後も人材確保競争が激化することが予測されます。これらの業種においては、求職者に対して「職場環境の見える化」や「柔軟な勤務体制の導入」といった施策を打ち出し、選ばれる企業としての魅力を高めていくことが求められます。
また、新規求人倍率は2.47倍と非常に高く、企業が新たに出す求人に対する求職者の応募数が極端に少ないことを示しています。これは単に給与や待遇だけでなく、企業のブランド力や働きやすさ、キャリアパスの提示など、多角的なアプローチが欠かせない時代に入っていることを意味します。求職者は一つの職種や会社に縛られることなく、より自由な選択肢を持って転職市場に参加しているため、企業側も一歩踏み込んだ情報提供と対応力が問われることになります。
具体的な採用活動としては、インターネットやSNSを活用した情報発信に力を入れることが有効です。特に若年層においてはハローワークを利用しないオンライン上での求職活動が一般化しており、自社の魅力をいかにデジタル空間で伝えるかが鍵となります。また、企業説明会のオンライン開催や、現場社員のインタビュー動画など、視覚的に職場の雰囲気を伝える取り組みも有効です。
新潟県における雇用市場のもう一つの特徴として、季節調整値と原数値の乖離があります。たとえば、原数値における有効求人倍率は1.36倍となっており、季節要因を除いた場合にはやや低下する傾向があることがわかります。これを踏まえると、短期的な求人の波に合わせて採用計画を立てるのではなく、中長期的な人材育成を見据えた採用活動がより重要であることが理解できます。
さらに、産業別の新規求人動向を見ると、サービス業は前年比22.3%の増加、医療・福祉は16.7%増加といった伸びを見せていますが、一方で宿泊業・飲食サービス業は14.5%減少、運輸業・郵便業も6.8%減少しています。このように、業界ごとの求人動向には大きな差があり、自社が属する業界の特性を理解したうえでの差別化戦略が不可欠です。
求職者の側に目を向けると、新規求職申込件数は前年同月比で4.6%減少しており、離職者・在職者ともに減少傾向にあります。このことは、現在の職場にとどまる意向を持つ労働者が増えていることを示しており、企業としては即戦力の獲得よりもポテンシャル人材の育成や職場定着施策を重視する姿勢が求められる局面に来ているといえます。
今後、新潟県内における人口動態や産業構造の変化を見据えた戦略的な人材確保が、企業の持続的な成長に直結することは明らかです。有効求人倍率という数値は単なる指標ではなく、地域の経済・雇用の実情を映し出す鏡であり、それを読み解く力が人事担当者に強く求められています。
採用活動における「数の勝負」から「質の勝負」への転換はすでに始まっています。企業は採用戦略を刷新し、「どれだけ応募を集めるか」ではなく、「どれだけ適合度の高い人材を見つけ、育てていくか」という視点に立って、より実効性のある採用活動を展開する必要があります。
⇒ 詳しくは新潟労働局のWEBサイトへ